数年前までは、ハイエンドイヤホンにしかノイズキャンセリング機能は搭載されていなかった。最近では、手頃な価格のイヤホンでこの機能が実現できるようになっている。Soundpeats Capsule3 Proもその1つで、アクティブノイズキャンセリング(ANC)を低価格で実現している。
本モデルはANCが最大の魅力かもしれないが、Capsule3 Proの興味深い点はそれだけではない。Soundpeatsは、最大52時間のバッテリー駆動を謳っており、これは、他社製の高価なワイヤレスノイズキャンセリングイヤホンでも見られない仕様だ。
仕様だけ見ると確かに期待できそうなイヤホンなのだが実際の音質や使い勝手はどうだろうか。今回の記事は、Soundpeats Capsule3 Proを実際に使って試したレビューをお伝えする。
軽量かつ快適な使い心地
- イヤホン寸法軸長1.29インチ(33mm)、奥行き0.9インチ(23mm)
- ケース寸法2.51 x 1.88 x 0.94in (64 x 48 x 24mm)
- イヤホン重量:0.15オンス(4.52g)
- ケースとイヤホンの重量:1.66オンス(47.3g)
- 耐水性IPX5
Soundpeats Capsule3 Proは、ブラックとゴールドのカラーリングが選べる。ゴールドのアクセントは見た目も良いが、タッチコントロールの役割も果たしており、機能的にも優れている。
形状はAirPods Proにとてもよく似ており、それぞれのイヤーバッドはわずか5gと軽量で、長時間の使用でも快適さが維持できる。
他のワイヤレスイヤホンと同様に、Capsule3 Proは、耳にタイトなフィット感を与えるために、シリコーンチップを使用している。これはイヤホンの脱落を防ぐだけでなく、ノイズキャンセリングやイヤホン全体の音に対しても重要な素材だという。
このイヤホンのチップは、箱から出してすぐに使えるMサイズを使用したが、箱の中には他のSサイズとLサイズの2つのサイズが同梱されていた。
全体的に、Capsule3 Proは快適なつけやすさと低価格のイヤホンであることがわかった。これまでAirPods Proを使っていたが、交換してみる小さな違いはあるにせよ、AirPodsが劇的に音質が優れ、明らかに快適なつけ心地、というわけでもなかった。
Capsule3 Proは、何時間も使用したがAirPodsと同様の快適性を備えていた。
全体的な重量は他のイヤホンよりも若干重い。しかし、イヤホン自体の重量配分のおかげで、例えばsony WF-1000XM3などとくらべても、重く感じることはなかった。また、IPX5の防水性能を備えており、ローラーのウォーミングアップやトレーニング中の雨や汗にも耐える性能を備えている。
接続性:音切れはほぼナシ
- Bluetoothバージョン:5.3
- コーデックLDAC、SBC、AAC
- ブルートゥースプロトコルble/ hfp 1.7/ a2dp 1.3/ avrcp 1.5
オーディオメーカーがBluetoothの古いバージョンにこだわるのはよくあることらしいが、Capsule3 ProはBluetoothバージョン5.3を使用しており、より高速で安定した接続が可能になっている。
また、ソニーのLDACコーデックを採用しており、通常のSBCやAACのBluetoothコーデックよりも高音質なオーディオを提供している。最近のBluetoothは低レイテンシー化が進んでおり、Capsule3 Proにもゲームモードが搭載されている。レイテンシー(伝送遅延時間)はわずか70msに抑えられている。
Soundpeatsアプリ
Capsule3 Proの主要な機能は、搭載されたコントロールですべて操作できる。左右をタップ、ダブルタップ、トリプルタップすることで、再生の一時停止と再開、音量調整、ゲームモードの有効化と無効化を行うことができる。
しかし、これらのタッチコントロールは非常に敏感だった。耳のポジションを調整している際に誤タップしてしまうことが多々あった。
幸い、Soundpeatsアプリ(iPhone、iPad、Android端末で利用可能)を使えば、この機能をオフにすることができる。また、このアプリを使って、イヤホンのファームウェアをアップデートしたり、ゲームモードを有効または無効にしたり、EQプリセットとカスタムEQを入れ替えたりすることも可能だ。
また、アプリから自分の聴力に合ったノイズキャンセリングの設定ができる。若者はモスキート音が聞こえるがお年寄りは聞こえない。そういう個人個人の聴力にあった調整が可能だ。
音質は、中庸。
ドライバー:12mmバイオダイアフラムドライバー
Capsule3 Proは、12mmのバイオセルロース・ダイナミック・ドライバーを採用している。これは、他社のワイヤレスイヤホンに見られる8mmや9mmのドライバーよりは大きい。これらのドライバーは、20Hzから40kHzの周波数帯域を提供している。
全体的な音の特徴は、これまで使用してきた同社のイヤホンよりも特徴に乏しくニュートラルに感じた。他のモデルは低音が強かったり、高音がきつかったりしたが本モデルは中庸だった。
ノイズキャンセリング性能
ANC:あり、43dBまで。
ANCは普通だが、他のSoundpeats製品と比べて風切り音がほとんどなくなった。ローラー中に扇風機を最大にして使用したのだが、「ボボボボ」という風切り音が殆どきこえなくなったのは大きな進歩だ。
価格を考えてもこのノイズキャンセリング性能は良いと思う。sony WF-1000XM3を使用していたが、あのノイズキャンセリングよりも優れていると感じた。ローラ中の干渉音などもほとんど消し去ってくれる。
ANCは、主に人間の声の基本周波数を対象にしているようだ。電車の中の大人の声は容易にキャンセルしたが、子供の高い声などはよく聞こえた。
最近の多くのANCイヤホンと同様に、これらも外の音をより聞き取りやすくするモード、外部音の取り込み機能をサポートしている。このモードは、AppleのAirPods Proに搭載されているトランスペアレントモードにはまだ及ばないと思う。
バッテリーと充電ケース:十分な再生時間
1回の使用で再生可能な時間最大8時間(ANCオフ、SBC)最大4.5時間(ANCオン、LDAC)
充電ケースを使用した場合の再生時間最大52時間
ケース充電容量:500mAh / 1.85Wh
クイックチャージあり – 5分前後から約2〜3時間
Soundpeats は、Capsule3 Pro が1回の充電で最大8時間使用できるとしている。充電ケースを使用すれば、さらに6~7回充電することができ、何も接続する必要がない状態で最大52時間の再生が可能だという。
バッテリー容量は35mAh、ケースのバッテリー容量は500mAhで、完全に充電するのに1時間以下しかかからない。
実際の動作時間は、7時間前後だった。通勤の行き帰り時間を参考にするとそれくらいになる。つまり、ケースを外した状態での充電時間にもよるが、最大で43時間から50時間ということになる。通勤に片道1時間だとすると、少なくとも20日前後はバッテリーが持つ計算だ。十分なバッテリーライフと言える。
充電ケースは、イヤホンをはめ込んで充電するのが簡単だ。残念ながら、イヤホンの充電量に関する情報は得られない。バッテリー残量はおおよその目安を把握することができ、前面のLEDが緑色の場合は、バッテリー残量が50%以上であることを意味している。オレンジは残り50パーセント未満、赤は残り10パーセント未満を意味している。
残念ながら、ワイヤレス充電には対応していない。ケース底面のUSB-Cポートに接続して充電する。しかし、このケースはQuick Chargeに対応しているので、少なくとも充電に時間がかかることはない。
Soundpeats Capsule3 Proは買うべき?
Soundpeats Capsule3 Proは、価格に対して総合的な性能が高く、特に音質とANCの面で優れている。アクティブノイズキャンセリング(ANC)のイヤホンを持っていない方は候補に入れても良いと思う。
音響マニアをうならせることはできないが、わたしのようなある程度良い音で満足する人であれば、Soundpeats Capsule3 Proで十分だと思う。良いサウンドとより効果的なノイズキャンセリング機能を持つワイヤレスイヤホンは世の中にたくさんあるが、それらは2倍以上の値札が付けられている可能性が高い。
ワイヤレス充電も欲しいところだ。しかし、急速充電に対応しているため、有線充電は簡単だった。バッテリーの寿命はSoundpeatsが主張するほどではないにせよ、少なくとも私の使用環境では、同一価格帯の競合製品よりも多くのバッテリー寿命を提供してくれる。
ある程度音質がよく、手頃なアクティブノイズキャンセリングイヤホンを探しているのなら、このバッテリー寿命が相まって、他の製品よりも選ぶ価値のある製品かもしれない。