新型S-WORKS CRUXをざっくりいうと↓
- 世界最軽量725gのグラベルフレーム
- AETHOSの技術を応用
- ピーター・デンクが開発
- グラベルレース用途にカテゴリチェンジ
- タイヤクリアランスは最大47C
- 72mmハンガー下がり
これまでシクロクロスバイクとしてカテゴライズされていたスペシャライズドのCRUXが「グラベルレースバイク」として生まれ変わった。カーボンの魔術師ピーター・デンク氏が開発に携わった。グラベルレースフレームとして生まれ変わったCRUXは世界最軽量の725gだ。
新型CRUXはスペシャライズドの軽量ロードフレームAETHOSの技術がふんだんにつぎ込まれている。AETHOSで用いられていた切れ目のないカーボン層をなるべく長いまま配置することによって、剛性とレイヤーの軽減を果たした。
グラベル用バイクは悪路を走るためフレーム事態を頑丈にする必要がある。そのためバイクの総重量が重くなってしまうが、フレームを超軽量にすることでそのデメリットを補った。フォーク類もAETHOSのようにシャープで洗練されている。
そのため、グラベルロードのトレンドであるケーブル内装化は行われていない。ハンドルバー周りの油圧ホース類はすべて外装仕様だ。
新型のCRUXはグラベルレース用に最適化されているため、タイヤクリアランスは大幅にアップデートされた。700x47Cで650bx2.1インチも飲み込むタイヤクリアランスを備えている。シクロクロスバイクではなしえないタイヤ幅に対応するため、様々なグラベルロードを攻略できる仕様に仕上がっている。
シクロクロスバイクとグラベルバイクを明確に分けるのはジオメトリだ。特にBBドロップの設計は、グラベルバイク用となのかシクロクロスバイク用途なのかを見分けるための材料になる。シクロクロスバイクとして設計されたCRUX(54サイズ)のBBドロップは69mmだった。新型CRUXは72mm(AETHOSやSL7も同様)であり、ジオメトリ上もロードバイクより変更されている。
シクロクロスバイクはBBドロップが小さく設計されている。
- 沢田時選手が乗るアンカーCX6は58mm
- 竹之内悠選手が乗るTOYO CX-Dは60mm
- 辻浦氏がプロデュースするOnebyESU JFF #807は60mm
- RIDLEY X-NIGHTは62mm
- CANYON INFLITEは66mm
- TREK BOONEは68mm
最後の3台は海外のシクロクロスバイクでプロの使用率が非常に高いモデルだ。設計を見る限り、CRUXはシクロクロスバイクではなくグラベルレース用途といえるだろう。
BBドロップの設計はバイクの運動性能に大きな影響を及ぼす。新型CRUXは一般的なシクロクロスバイクと比べてBBドロップが大きいため、以下の特徴がある。
- 重心は低くなる。
- 安定性が増す。
- 足が付きやすくなる。
BBドロップが大きくなることによるデメリットは、BBの位置が地面に近づくためペダルヒットがしやすくなる。そのため、丸太を超えるときにチェーンリングが当たってしまったり、木の根っこを超える際にペダルヒットするなんてことも十分に考えられる。
それでも、「グラベルレース」をターゲットとして設計されているため走破性や安定性を優先したのだろう。また、リーチは長くなり、スタックハイトも低めに設定されている。
一部ドライブトレインに制限があり、機械式コンポーネントには対応していない。SRAM eTAPやSHIMANO GRX 2xDi2には対応する。Cruxの完成車重量は56サイズで7.25kgと非常に軽量に仕上がっている。グラインデューロやグラベル系のレースに出る選手は、軽さとワイドなタイヤクリアランスを備えたCRUXを用いることでこれまでにない高い走破性と安定性を手に入れられるだろう。