286gの世界。
クランクアームの重量なのかと、疑いたくなる数値だ。
300gも下回り200g台に突入してしまった。
自転車競技において、機材の重量はライダーのパフォーマンスを決定づける重要なファクターとして君臨し続けてきた。
物理学的に、勾配のある路面を登る際に必要なパワーはシステム重量(ライダー+バイク)に比例するため、グラム単位の軽量化が勝敗を分けるマージナル・ゲインとして、ライダーは涙ぐましい軽量化を追及している。
しかし、自転車コンポーネント、とりわけパワー伝達の中枢である「クランクセット」において、軽量化は常に「剛性」とのトレードオフの関係にある。材料を減らし、軽くすればするほど、剛性は落ちていく。物理的法則からは逃れられない。
剛性が不足したクランクは、ペダリング時の入力パワーをたわみ(弾性変形)として損失させ、ドライブトレインの効率を低下させるだけでなく、変速性能の悪化やライダーへのフィーリング悪化を招く。
長らく、この「超軽量かつ高剛性」という矛盾する課題に対する回答は、ドイツのTHM-Carbones社が製造する『Clavicula』シリーズに代表される、超大径カーボンアクスルを用いたシステムが独占的な地位を占めてきた。
これらは300gを切る重量を実現する一方で、専用のボトムブラケット(BB)や高額な導入コストをユーザーに強いてきた背景がある。こうした膠着した市場構造に対し、中国の深センを拠点とする新興ブランドElilee(エライリー)は、破壊的なイノベーションをもたらした。
同社は、元来OEM供給で培った高度なカーボン成形技術と、独自の研究開発能力を背景に、2020年代に入り急速にその名を世界に知らしめた。日本でもそのシェアを拡大し、特に、先行モデルであるX310/X320シリーズは、そのコストパフォーマンスと性能で市場を席巻した。
今回レビューする『Elilee X-Trecento(エックス・トレチェント)』は、同社の技術的到達点を示す最新のフラッグシップモデルである。「Trecento」はイタリア語で「300」を意味し、製品重量が300gを大きく下回る285g(公称値)であることを示唆している。
しかし、本製品の真の革新性は単なる重量数値ではない。「φ24mmチタンアクスル」を採用することで、世界で最も普及しているShimano規格のBBとの完全な互換性を維持しながら、THM等の競合製品に匹敵する軽量性を実現した点にある。
技術的アーキテクチャー
Toray T1100とM40Jのハイブリッドレイアップ
Elilee X-Trecentoのクランクアームは、中空構造を持つCFRPで形成されている。この製品の極めて高い剛性重量比を支えているのが、使用される原材料のグレードとその積層設計である。
Toray T1100G:次世代高強度繊維
Elileeはフレーム製造において、日本の東レ(Toray)が開発した『T1100G』炭素繊維を使用していると公表しており、この技術はX-Trecentoにも転用されているという。T1100Gは、従来のT800系やT1000系と比較して、引張強度と弾性率の両方をナノレベルで高めた素材である。
技術的な意義として、従来、炭素繊維は「高強度」を求めると「弾性率」が伸び悩み、逆もまた然りというトレードオフがあった。
T1100Gはこの壁を突破し、極限まで薄肉化しても破断しない強度を持たせることを可能にした。これにより、X-Trecentoのアームは極薄の壁厚でありながら、スプリントの衝撃に耐える強度を確保している。
M40J:高弾性率繊維による剛性強化
強度(壊れにくさ)だけでなく、ペダリングパワーを逃さないための剛性(変形しにくさ)を確保するため、Elileeは『M40J』のような高弾性(ハイモジュラス)カーボンを適所に配置している。
レイアップ戦略として、クランクアームの長手方向には曲げ剛性を高めるために0度配向の繊維を、ねじれ剛性を高めるために±45度配向の繊維を複雑に積層(レイアップ)している。
M40Jのような高弾性繊維は脆い特性を持つため、衝撃を受けやすい表面層ではなく、構造体のコアに近い部分や応力が集中する部分にリブが配置されている場合が多い。
6Al-4Vチタン合金製φ24mmスピンドル
X-Trecentoのアイデンティティーとも言えるのが、φ24mmのチタンアクスル(スピンドル)である。
チタン合金(Ti-6Al-4V)の優位性と課題
一般的に、クランクアクスルにはクロムモリブデン鋼(スチール)や7075アルミニウム合金が用いられる。
- 比強度: チタン合金(Grade 5: Ti-6Al-4V)は、鉄の約60%の比重(密度約4.43g/cm^3)でありながら、鋼鉄に匹敵する引張強度を持つ。
- ヤング率(縦弾性係数): チタンのヤング率は約110-120 GPaであり、鋼鉄(約200 GPa)の約半分、アルミニウム(約70 GPa)の約1.6倍である。
- 設計の妙: 24mmという小径アクスルで十分な剛性を確保するには、ヤング率の高い鋼鉄が有利である。しかし、それでは重量が嵩む。一方、軽量なアルミニウムで剛性を出すには、断面二次モーメントを稼ぐために径を30mm(BB30/DUB規格)に拡大する必要がある。
Elileeは、このジレンマに対し「チタン」という高コストな素材を選択することで回答した。
チタンは24mm径のまま肉厚を調整することで、鋼鉄よりも軽く、かつShimano互換の24mm径を維持できる唯一の解であった。これにより、ユーザーは耐久性に定評のあるShimano Dura-Ace BB(BB-R9100等)を使用し続けることができる。
異種材料を接合する?
カーボン製のアームとチタン製のスピンドルを接合する技術は、クランク製造における最大の難所の一つである。カーボン(導電体)とチタンは電位差が比較的少ない組み合わせではあるが、アルミニウムパーツが介在する場合や、湿潤環境下ではガルバニック腐食(電食)のリスクがある。
Elileeはこれに対し、航空宇宙グレードの構造用接着剤の使用や、接合面への絶縁層(ガラス繊維層など)の介在を行っている。
単なる接着だけでなく、スプライン形状や多角形形状による機械的な噛み合わせ(機械的嵌合)を併用することで、千ワットに達するスプリントパワーによるトルク伝達を確実にしている。
マウント:Elilee 13T / Easton Cinch互換
チェーンリング、パワーメーター、スパイダーの固定には、独自の「Elilee 13T」インターフェイスが採用されている。マウントするインターフェイスはEaston社の『Cinch(シンチ)』規格と互換性がある。
ユーザーメリットとして、Cinch規格はオープンスタンダードに近く、Wolf Tooth、Garbaruk、Absolute Blackといった主要なアフターマーケットブランドから、多様なチェーンリング(真円、楕円、フロントシングル、ダブル)が供給されている。
これにより、X-TrecentoユーザーはElilee純正オプションに縛られることなく、好みのギア構成を選択できる自由度を持つ。
ジオメトリ
Qファクターの定義と重要性
Qファクターとは、左右のクランクアームのペダル取り付け面間の距離を指す。この数値は、ライダーのスタンス幅決定し、生体力学的(バイオメカニクス)な効率と関節への負荷に直結する。
- 狭いQファクター(145-148mm): 骨盤幅が狭いライダーや、ペダリングの回転効率を重視するライダーに好まれる。空気力学的にも前面投影面積が減るため有利である。
- 広いQファクター(150mm以上): 骨盤幅が広いライダーや、MTB出身のライダーに適している場合がある。また、近年タイヤ幅が拡大するグラベルロードやエンデュランスロードにおいて、チェーンステーとクランクアームのクリアランスを確保するために広がる傾向にある。
Elilee X-TrecentoのQファクター仕様と論争
Elilee X-TrecentoのQファクターについては、公式スペックや日本国内での表記、そして実測値の間で異なっているが、おおむね150mmのようだ。
151.5mmという設計意図の解釈
Shimano Dura-Ace (148mm) や THM Clavicula SE (148mm) と比較して、X-Trecentoの151.5mmという数値は明らかに広い。
設計意図として、この+3.5mmの拡幅は、最新のディスクロードフレームにおける幅広のチェーンステー(28c~32cタイヤ対応)との干渉を避けるための安全マージンであると推測される。
特に、軽量化のためにアームをストレート形状に近づけた場合、アーム内側とフレームのクリアランスが厳しくなるため、アクスル全体を長くする必要があった可能性が考えられる。
ライダーへの影響としては、従来の146-148mmに慣れ親しんだプロライダーや敏感なサイクリストにとって、片側1.75mmの増加は違和感として知覚される可能性がある。
しかし、多くのホビーライダーにとっては許容範囲内、あるいはクリート位置の調整(Qファクター補正スペーサーの除去など)で相殺可能な範囲である。
非対称性
X-320で「左右のクランク位置が中心からずれている(非対称)」という問題があった。
構造的要因として、X-Trecentoのような汎用アクスル設計(特定のBB規格専用ではない設計)の場合、BBシェルの幅(BSAなら68mm、BB86なら86.5mm)に対して、アクスル長は固定されている。この余剰分をスペーサーで埋めることで固定する。
インストールの落とし穴として、Shimano純正クランクの場合、BB幅に合わせて自動的にセンタリングされる構造(あるいは許容範囲が広い)だが、Elileeのようなサードパーティ製軽量クランクは、ユーザーが自分で左右のスペーサー厚を決定しなければならない。
その際に、チェーンライン(44.5mm)を適正化するためにドライブ側(右)にスペーサーを足すと、相対的に右クランクが外に出る。プリロード調整リングが反ドライブ側(左)にあるため、その厚み分だけ左クランクの位置が制約される。
X-Trecentoは、ドライブトレイン側にスペーサーをはさまない設計に改良されている。FC-R9200から付け替えても、フロントディレイラーの調整は不要だった。ただし、ノンドライブサイド側には、ごく薄いスペーサーを入れる必要があった。
「非対称」という構造は、フレームのBBシェル公差、使用するBBのカップ厚、そしてチェーンライン確保のためのスペーサー配置の相互作用によって発生する「調整の結果」であり、必ずしも製品の製造欠陥ではない。
しかし、これを適正化するには高度な知識とトライアンドエラーが必要であり、ポン付けを期待するユーザーはショップにみてもらったほうがよいだろう。
競合製品との比較
ハイエンド・軽量クランク市場における主要プレーヤーとElilee X-Trecentoを、定量的かつ定性的に比較する。
4.1 比較データ
以下の表は、各製品のスペックを横断的に比較したものである。
| Elilee X-Trecento | THM Clavicula SE | Shimano Dura-Ace R9200 | Rotor Aldhu Carbon | SRAM RED AXS E1 | |
| アクスル素材 | チタン合金 (Ti-6Al-4V) | カーボンファイバー | スチール | アルミニウム (7075) | アルミニウム (DUB) |
| アクスル径 | φ24mm | φ30mm | φ24mm | φ30mm | φ28.99mm (DUB) |
| アーム+軸 重量 | ~285g | ~293g – 302g | ~685g | ~356g (260g+96g) | ~350-400g |
| Qファクター | 151.5mm | 148mm | 148mm | 147mm | 145mm |
| チェーンライン | 44.5mm | 43.5mm | 44.5mm | 43.5mm / 46mm | 45.0mm |
| 剛性重量比 (STW) | 極めて高い | ベンチマーク (最高) | 中 (剛性重視) | 高 | 高 |
| BB互換性 | Shimano互換 | 専用/30mm系 | 専用/サードパーティ | 30mm系 | DUB系 |
THM Clavicula SE:王座への挑戦
THM Clavicula SEは、長年「軽量クランクの王様」として君臨してきた。
重量はX-TrecentoはTHMよりもさらに軽い(-10g~-15g)。これは衝撃的な事実であり、Elileeが単なるコピー製品ではなく、エンジニアリングの極致に挑んでいることを示している。
剛性はClavicula SEのカーボンアクスル構造は、ねじれ剛性において物理的に有利である。X-Trecentoのチタン軸は強度は高いが、剛性面では大径カーボン軸に及ばない可能性がある。
運用の注意として、THMは専用工具やベアリングへの配慮が必要だが、Elileeはどこでも手に入るShimano用BBが使える。交換、トラブル対応の観点ではElileeに軍配が上がる。
対 Shimano Dura-Ace R9200:信頼性との対比
変速性能: Shimanoのチェーンリングは冷間鍛造と高度なプロファイリングにより、世界最高の変速性能を誇る。Elileeを使用する場合、サードパーティ製チェーンリング(Carbon-TiやRotor等)や、シマノチェーンリングを仕様することになるが、変速性能はShimano純正に劣るのが一般的である。
重量は圧倒的だ。X-Trecento導入により、Dura-Ace比で約300g~350gという劇的な軽量化が可能となる。これはホイールやフレームを変える以上の効果を、比較的安価に得られることを意味する。
対 Rotor / SRAM:モジュラーシステム対決
Rotor Aldhu Carbonも軽量だが、30mm軸システムのためBBの制約を受ける。また、アームと軸が別体の完全モジュラー方式は異音のリスクが増える。Elileeはドライブ側アームと軸が接合されている(多くのモデルで)ため、構造的にシンプルでトラブルが少ない。
インストール
Elilee X-Trecentoの性能を100%引き出し、トラブル(異音、ガタ、ヒールラブ)を防ぐためのインストール手順と要点を解説する。
プリロード(与圧)調整の重要性
ベアリングの寿命と回転性能を左右するのがプリロード調整である。X-Trecentoは、反ドライブ側アームにねじ込まれた「プリロードアジャスターリング」を使用する。
手順
- クランクを規定トルク(通常40-50Nm)で締め付ける。
- アジャスターリングを回し、BBベアリングに接触するまで締め込んでガタ(横方向の遊び)を消す。
- (重要)アジャスターリングを固定する小さなロックボルトを締める。
- このロックボルトは振動で緩みやすいため、低強度のスレッドロッカー(Loctite 222等)の使用が推奨される。締めすぎるとベアリングがゴリつき、緩いとガタが出るため、絶妙なトルク管理が求められる。
締め付けトルクとケミカル
チタン軸と固定ボルトの締め付けは注意が必要だ。チタンと他金属の接触部には、カジリ防止のために必ず高品質なアンチシーズグリスまたはチタンプレップを塗布する。
カーボンアームのペダル取り付け部にはペダルワッシャーを必ず使用し、カーボン面への直接的な応力集中を防ぐ必要がある。
インプレッション
インプレッションに入る前に、ここ最近のクランク遍歴は変化に富んでいた。
Elilee X320 → Elilee X310 → CYBREI → Dura-ACE FC-R9200(ASSIOMA PRO RS)ときて、Elilee X-Trecentoだ。不思議な話なのだが、久しぶりにFC-R9200を使ったところ、なぜかしなやかでパワーがかけやすく感じた。
しかも、六甲山のベストタイムが出たためFC-R9200を使い続けていたという経緯がある。
ベスト更新したがゆえ、この時は重量はあまり問題ではないなと思っていたのだが、X-Trecentoの300g切りクランクの誘惑に負けてしまった。クランクはライダーが唯一操作する回転部分であるため、重量の影響はライドフィールに大きな影響を与える。
パワーメーターは新型SIGEYI AXO SLを使用した。

実測重量
気になるQ-Factor
X-TrecentoのQ-Factorが151.5mmであるため、FC-R9200の148mmから左右で1.75mmの増加する影響を気にしていた。結論を言うと、違いは全くわからない。MTBで使っているSRAM XXSLのクランクのQ-Factorは168mmなのだが、「うーん、ちょっと広いかなぁ」程度しか違いがわからなかった。
一番懸念していたQ-Factor問題は、私の場合はあっさりと解決した。もしも 気になるライダーはクリートの位置をわずかに調整したりする解決策もある。ただ、多くの場合1.75mmの差は体感できないと思う。そこまで気にしなくてもよいだろう。
ライドフィールは変わるか
R9200のクランクアーム(チェーンリング抜き)の重量は605gだ。対して、X-Trecentoのパワーメーター着き重量は361gだ。その重量差は244gである。これを完成車重量に当てはめると、7.0kgのバイクが6.75kgになるのだから数値的なインパクトは大きい。
しかも、ライダーが唯一パワーを入力できる回転部品だけで242g軽量化されるのだ。
では、使ってみるとどうか。実際に使うとかなり軽く感じる。特に、軽いギアをかけて負荷がかかっていない状態でシャカシャカと回すと、足だけが宙に浮いているような不思議な体験ができる。ただし、バイクはそれほど進んではいないから、単純な軽さだけの問題だろう。
この軽さが生きる場所はどこだろうか。
間違いなくアドバンテージになるのは、登りのヒルクライムだ。
特にUCIのバイク規定がなく6.8kg制限のないレースならば、X-Trecento以外のクランクを使用することは罰ゲーム、ハンデにしかならない。シマノ互換の24mmスピンドルでこのクランクよりも軽量なクランクが存在しないからだ。
ヒルクライムは比較的ケイデンスが高い傾向がある。90rpmのケイデンスで、60分走ると5400回転することになる。この時、240g以上の差が5400回積みあがることを考えると、単純には比較できないにせよ、非常に大きな負担の差になっていく。
そもそも機材の軽さは体感しにくいはずだが、X-Trecentoに限っては「軽い」とわかるライドフィールが確かに感じられる。
クライマーはマジでこれを使え。アドバンテージにしかならない。いや、クライマーにとってこれ以外のクランクを使うことは罰ゲーム、ハンデだ。UCI規定が無いヒルクライムレースならなおさらである。
剛性感は
FC-R9200からX-Trecentoに変えたが、その変化はわからない。X-Trecentoはポン着けしても、フロントディレイラーの調整が不要だったのが好印象だった。R9200のチェーンリングをそのまま使ったが、変速性能の違いも無い。素晴らしい出来だ。
さて、剛性感に話を戻すが、目をつぶって走らせると、剛性感の違いを見分けるのは不可能だと思う。どちらも剛性が高く、必要十分以上の硬さがある。
具体的には、Elileeは、欧州標準化委員会(CEN)が定めるISO 4210:2015(疲労試験基準)をクリアしており、1800Nの負荷を10万回繰り返すテストに合格している。
破壊試験も実施しており、自社テストにおいて420kgの破壊荷重を記録しており、これは一般的なMTBクランク(350-360kg)を上回る強度である。
剛性感はShimanoからの乗り換えでも剛性低下を感じない(違いを感じたら凄いと思う)。「小気味よい反応」で、ホビーレーサーレベルで不満が出ることはまずない。
メインクランクとして
ロード用のメイン機材をいろいろと考えていたが、どう考えてもX-Trecento以外のクランクを使うことは考えられない。「軽さ」「剛性」「変速性能」この3つを高次元でバランスしているのは、このクランク以外見当たらないのだ。
登り、平坦、スプリントとすべてのシチュエーションにおいて、その軽さとMTB基準の剛性を兼ね備えたクランクが保証してくれる。300gを切り、わずか285gしかないクランクであるが、何も心配することはない。
筆者はロードを主戦場とするが、レース時間が2~4時間と比較的長い時間を走る。それゆえ、重量や空気抵抗を気にするのだが、どう考えてもこの軽さはアドバンテージにしかならない。もう、他のクランクに戻れる自信はない。
メインクランクに決定である。
まとめ:超軽量、高剛性を両立したElilee X-Trecento
Elilee X-Trecentoは、既存のハイエンドクランク市場における価格と重量のバランスを根本から覆す製品である。「Shimano BB対応で285g」というパッケージングは、これまでの常識では不可能とされた領域であり、Elileeのエンジニアリングの勝利と言える。
このクランクは「ポン付け」できる製品ではないが、フレームごとの公差を見極め、0.5mm単位でスペーサーを調整し、完璧なチェーンラインとセンター出しを行うことで優れた軽量クランクに化ける。
これらをクリアすると、シリアス・レーサーやヒルクライマーが導入するメリットは計り知れない。10万円の投資で300gの軽量化は、ホイール交換よりもコストパフォーマンスが高い。Qファクターの広さ(151.5mm)が許容できるかについては、筆者は全く気にならなかった。
T1100GカーボンとTi-6Al-4V合金の接合技術、そして薄肉中空構造の信頼性設計は、現代中国製造業の技術レベルが、もはや模倣の域を超え、独自進化を遂げていることの証左である。
レーサー以外の一般サイクリストにもX-Trecentoの恩恵は計り知れない。「人とは違うパーツを使いたい」「とにかく軽くしたい」という欲求に対し、X-Trecentoは最高の選択肢となる。
ただし、変速性能は組み合わせるチェーンリングに依存するため、変速調整はある程度は必要になるかもしれない。12速のDura-ACE R9200チェーンリングが良いだろう。1mmもチェーンラインを狂わすことなく装着できる。FDの調整も不要だった。
Elileeの登場は、THMやShimanoといった巨人が支配する市場に風穴を開けた。今後、パワーメーターの完全内蔵化や、さらなる剛性強化モデル(スプリンター向け)の展開も予想される。
X-Trecentoは、ハイエンド・コンポーネントの民主化を象徴するマイルストーンとして、自転車史にその名を刻む可能性を秘めている。
賢い購入方法
X-Trecento購入は海外よりも、日本代理店bootlightbikesから購入するのが圧倒的に安い(実は、発売と同時に海外の怪しいサイトで注文したところ届かなかったのだ・・・)
日本代理店bootlightbikesで買うと、bootlightbikes作成の日本語の取付説明書も同梱しているため、手順に従って作業すれば取り付けができた。今回、自分で取り付け作業したが簡単にインストールできている。
来年のクライマー勢で流行るのはこのクランクかな。






































