関東と関西で見える違い
チームを離れて東京で冬の間練習に取り組めたことは非常に良かった。むしろ、通常のオフシーズンとは全く違う練習は良い刺激になったのは間違いない。
チームに染まり、チームのために走ることは良いことだ。ただ、あまりにも長くその環境に居すぎると、本当は貴重な環境や人間関係に気づかないばかりかその環境が当たり前であるかのような錯覚に陥る。
環境とは大事だ。一度外に出て見ることは悪いことばかりではない。走り方も変わるはずだ。仲のいい仲間とのライドも良いだろう。だがそこにいるだけでは得られないこともある。
それぞれの練習の違い
条件は多岐に渡るという前置きをしておこう。冬の練習方法は今までは距離を淡々と乗り小さな上げ下げを繰り返していた。関西の冬はあまり山は登らないといった練習をしていた。木津川の風の強い平坦路を黙々と走る。
これはこれで風との戦いで強くなる。この練習の意味もまたある。関東では平坦路を走り登りを織り交ぜる距離は過去のデーターを見ると180-220km(私は家が遠いのもある)。距離はそこまで乗らず150-180km。
しかしその中坂を10本や、先行者を追うなどのメニュー要素がある。距離で表すと違いがあるが、強度のデーターにしたらその『ゾーン』にいる時間に違いが出てくる。
おそらく関西の練習の時はL3-L4の時間が長く、関東の練習の時はL4-L5の領域が多い。仕事量ジュールも3500-5000キロジュールの間で双方ともに収まっている。
土地の問題か
関西はとにかく走る場所が多い。西に行けば一時間登れる六甲山があるし、150kmストレスなく走れる淡路島がある。南に降ればシマノレーシングの練習場鍋谷峠から護摩壇山へ180kmの距離で60km登れるコースがある。東に行けばうちの近くの十三峠だ。
この好立地が影響してか、難点もあるように思う。短時間高強度で、一つの坂を五回程往復したりすることは滅多にない。私は、このての地味な反復練習が好きだ。おそらく最も効率が良い。そして、一番レースで使うゾーンだ。
レースではある瞬間の高強度から脱落すると終わる。そこを耐えればなんとかついていける。実業団のE1ですら長くて70-80kmだ。この時間ある程度の強度に耐えて、単発的に発生する高強度をしのぐ力が一番求められよう。
ようするに、レースに特化した単位時間あたりの高強度は関東の方が高く密度が高いと言える。これはどちらが良くてどちらが悪いという話ではない。長距離を乗り込むメリットもある。ベースとなる土台の上に高強度練習があることを理解している。
高強度をやるためにはある程度のベースの走力が必要なのである。
長い距離をある程度の高強度で走るエンデュランス能力。そしてその一定のスピードからの高強度耐性。ようするにどちらがかけても強くなることはできない。
バランスが大事で、どこに妥協点とエンデュランスとインターバルの強さが拮抗するバランスのとれた体を持ってこれるかにかかっている。あらゆる要素の集まりが総合力になると考えさせられる。
肝心なのは『練習の意味を理解する』ということだ。距離を乗る理由は何なのか、インターバルをする理由は何なのか。またはローラーで10分をやる意味、五分五セットをやる意味ということだ。
五分五セットは10分間の最大パワーが頭打ちになった時に次のステージに行く為に有効とされる練習だ。闇雲に理解せずやってはいけない。練習メニューや強度とレストには意味がある。本質を理解することは近道になる。
だから、私は5分x5を5.0-5.2W/kgでやるがこれは2-3分で足が終わってしまうような強度で5回やっても意味はない(意図する事から外れている)。重要なのは『適切な強度』で『適切な時間』と『適切なレスト』の組み合わせだ。そこに回数が加わる。
練習メニューにも意味があるように外の実走にもテーマを持って走りたい。たが、我々サラリーマンはプロのような仕事ではなく『真剣な大人の遊び』として自転車に乗っている。だから今詰めてやる時もあっていいと思うし、カフェでダベるのもアリだ。
むしろ練習後のまったりとしたおしゃべりタイムがよくよく考えると一番楽しかったりする。練習も強度のバランスのとれた内容が望ましいように、やる時はやって、休む時は休む方が長く趣味として自転車を続けられるはずだ。
長く自転車と付き合うために
『燃え尽きる』とは、ある一定の行いを辛くてもやり続け燃料がなくなってしまうことだ。まるで、ロウソクのロウがなくなることのようだ。一度は火を消して、ロウを足してあげる時も必要ではないか。
そして、またいっぱいなったロウに火をつけてやればいい。そしたらまた長く燃え続けられる。自分のロウが『チームから離れる』ことなのか『大阪に戻る』ことなのか『ロードをお休みしてMTBをやる』ことなのかは人それぞれである。
物事を長く飽きずに続ける為には、火を消し(休む、環境を変える)、そしてロウを追加してまた燃やす事だ。そのサイクルを理解しさえすれば、ストレスのなく自分の好きなことに打ち込めるはずである。
誰しもがより強くなりたいと思うし、続けたいと持っている。やはり続けるには原理と本質を理解し自分自身をコントロールしなくてはならないのではないか。
私のロウは今、めいいっぱい満タンになっている。さぁ、明日から3月だ。
講談社
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