来年のAG2R(アージェードゥーゼル・ラ・モンディアル、AG2R La Mondiale)の機材は一見なんら目立ったアッセンブルではない。そう表向きには。AG2Rはフランスに本拠地を置く18あるUCIプロチームのうちの一つである。
自転車競技が盛んなフランスにとって根付いた伝統あるチームである。そのAG2Rが使用するコンポーネントはSRAMだ。上記写真にもある通り、ワイヤーをメインコンポーネントにしている。
スラムといえばマウンテンバイクで圧倒的なユーザ支持を得ているがロードの世界ではカンパニョーロやシマノに電動変速において遅れをとっている。ただ、どうやら次期Ag2rのプロバイクに搭載されるコンポーネントはおどろくべきものかもしれない。
プロトタイプが出回っていた「ワイヤレス電動変速」になるかもしれないのだ。そのプロトタイプから実践投入されるであろう機材を見て行く。
Focus izalco
Ag2rのメインバイクはイザルコである。ロードもタイムトライアルバイクもそうだ。メインコンポーネントはスラムである。ホイールはZipp。パワーメーターはQuarqである。
ハンドル、ステム、シートポスト、バーテープはフィジークで統一されている。タイヤはシュワルベだろうか。ペダルはルックを使用している模様だ。
TTバイクも見てみよう。TTバイクは「イザルコ・クロノ」である。ホイールはロードと同様にZIPPでパワーメーターもQUARQである。と一見なんら変哲のない(むしろ面白みのない)アッセンブルである。ただ、次に紹介するAg2rとSramのトレイラーに興味深いものが写っていた。
SRAM ワイヤレス電動変速
何やらメカニックが話し込んでいる。アッセンブルについての打ち合わせだろうか。何気無い風景の画像だが、赤枠で囲った部分をよく見て欲しい。わかりやすく拡大した画像がこちらだ。
なにやら見慣れたワイヤーケーブルが無く、何か黒いボックスが取り付けられている。一体なんだろうか。
別のシーンを見てみると、一見ワイヤーが着いていないただのコンポーネントに見えるが、余計な黒いボックスが着いており間違いなくワイヤレス電動コンポーネントだろう。こちらの画像も拡大してみる。
やはり、ワイヤー式のそれとは異なる機構が目立つ。また、通常のワイヤー式ダブルタップと何ら遜色のないブラケットなのが驚きだ。偶然写り込んだものか、意図的に写り込んだものかは定かではない。ただ、プロチームのバイクに導入され、実践投入される可能性を示唆している。
SRAMのワイヤレスシステムで一時期で回っていたプロトタイプの画像だ。その際に取り付けられていたあの黒い箱は健在である。思ったほど大きくはなく、むしろワイヤレス受信部やモーターを含めてもこれほど小さく収まっているのには驚きだ。
まとめ: 電動ワイヤレスの時代はすぐそこに
SRAMが電動変速について取得している特許がこちらだ。近い将来シマノやカンパニョーロもワイヤレス電動変速システムを導入してくるだろう。電動変速でリードするシマノはシンクロシフトを生み出した。
そこにワイヤレス変速が実現すれば、ワイヤレス変速シンクロシフトとなり電動変速システムはワイヤー式に取って代わる日が来るかもしれない。エアロダイナミクスの観点からも余分なケーブルは増やしたくない。
さらに、メカニックの腕の見せ所ワイヤールーティングも不要になる。さらには、不要な電動ケーブルの穴もなくなるのではないか。さすがにワイヤレスブレーキなんてのは出てこないだろうがワイヤレス化はぜひ実用化して欲しい。
ただ、危惧されることはコンポーネント単体それぞれにバッテリーが必要だということだ。要するにフロントとリア双方にバッテリーが必要になる。これがワイヤレス化による一番の問題だろう。動作時間や、利便性が損なわれる可能性すらあるのだ。
これらの問題が解決した時、製品版として我々の前に登場するかもしれない。それまで楽しみに待っておこう。毎年着実に進歩して行くバイクの機材は今年どのように進化して行くのだろうか。今から楽しみだ。