- リム重量368g
- リムとテープを圧着する独自のマシンを開発
- リムプロファイルはTL設計に
SPECIALIZEDから市販最軽量のグラベルホイールROVAL TERRA CLXが登場した。ラインアップは内幅25mmの700c Terra CLXと内幅30mmのTerra CLX EVOだ。650bと700cの両方のサイズで1300gアンダーを実現している。TERRAはグラベルやシクロクロス向けに特化した同社初のホイールセットになる。
今回の大きなトピックスとしては、内幅が広げられたことよりもディスクブレーキ用に専用設計されたリムだ。以前のRovalホイールはすべて、リムブレーキとディスクブレーキともに共通のリムだった。そのぶんブレーキトラックに余分な材料を使用する必要があった。
ディスクブレーキ専用として作られたTERRAリムは、ブレーキトラックの余分な素材を減らし、軽量化を実現した。また、スポークパーンもハブと合わせて専用設計され、ニップルとスポークは完全に斜めから出ている。そして気になるリム重量はというと、、、
リム重量 368g
368g
もはやブレーキトラックで余計な剛性確保をする必要がないため、368gという驚異的なリム重量を達成するにまで至った。また重量は「トータル重量1300gアンダー」だが、テープとバルブ30〜35gを見積もっており、これらを差っ引くと、ホイールセット単体重量は1266g程度になる。
Rovalの最軽量のロードディスククリンチャーであるCLX 32よりも約84g軽く、ほとんどのカーボンチューブラーホイールセットよりも軽量な「カーボンクリンチャーチューブレスホイール」だ。
また、内部幅は30mmというMTB用のリムにも匹敵する(事実ROVAL CONTROL SLよりも広い)CLX EVOモデルは650bはリムが360g、1セットあたり1303gだ。700cバージョンは、リムが377gで、セット重量はわずか1357gという驚異的な軽さを達成している。
ハブとスポーク
TERRAホイールは、3つのモデルにすべてに同じハブとスポーク、そしてニップルを使用している。DT Swiss Aerolite T-Headスポークと、Pro Lockニップル、Roval AFD1またはAFD2ハブが組み合わさっている。
ハブはすべてDT Swiss製だフリーハブは、240sで使用されている標準的なDT Swiss Ratchetフリーハブではなく、5月に発表された新しいRatchet EXPフリーハブが採用されている。新しいRatchet EXPフリーハブの設計は、2つのスプリングから1つのスプリングに変更されている。内側のラチェットが改良され、ベアリングの経が広げられている。
新しいDT Swiss EXPフリーハブは、1つのスプリングとラチェットから構成されており、部品点数が少ないため軽量なハブに仕上がっている。ハブはスチール製のベアリングと36Tラチェットを備えている。もちろん、DT Swissセラミックベアリングや54TをRovalハブに使用することも可能になっている。
テープとリムの圧着
非常に重要なことだが、見落とされがちなのが「リムテープ」だ。
ROVALのTERRAからは「リムとテープを圧着するマシン」でリムテープがはられている。黒のDTSWISSはマイナーアップデートしたROVAL CLXのロードリムにも採用されているが、明らかに人が適当に貼った痕跡があり、テープが浮いていた。
TERRAでは、テープの素材を変更(現行CLXでもマイナーアップデートされているもの)し、テープをリムにしっかりと押し付けて接着力を高める独自のマシンを開発した。これにより、多くのライダーがチューブレスタイヤのエア漏れに悩まされなくなるという。また、エアポケットが破裂して、破れたテープをもう一度貼り付けるといった問題もなくなる。
あたらしいリム設計
Terraリムは、リムの側壁にむかって斜めになるようにリム内部を再設計した。余談だが、VENGEのローンチの際に「ROVALのリムの設計はチューブレスに対応していない、ENVEやSTANSのようにリム内部の内側を凹ませて、サイドはなだらかに斜行させないとビードが外れてしまい、チューブレスタイヤを使うには不安がある」と開発者の方に要望を出したが、まさにすべてを解決するリムプロファイルに刷新された。
おそらく時期ロード用のCLXも同じリムプロファイルを採用する可能性は高い。というよりも、採用してくるだろう。実際に、MTBで研究しつくされたリムプロファイルと比べるとロード用CLXのリム設計は古い。かなり古い。CLXのバージョン2はかならずenveやstansのリムのような設計に変えてくるはずだ。
まとめ:リムの製造方法も新たに
ここからは、スペシャルな情報を書き残しておきたい。TERRAのリム製造方法は全く新製法で開発されたという。リムを完全にモールド(一体成型)し、スポークがあるところのみ補強する。はじめから一体成型でリムを設計するため、削ってなめらかにするといった工程が無い。
そのため、質感はザラザラしており一見すると品質が悪いと勘違いされやすいかもしれないが、リムを削って成形(多くのリムメーカーがそう)していない証拠だ。ENVEも似たような製法を採用しているため軽く、非常に剛性が高いリムを作り出すことができる。
おそらく、このTERRAで新たに採用されたモールド、リムの軽量化、リムプロファイルの再設計は次期ロード用のCLXにも必ず採用されるはずだ。次の時代はディスク専用になり、チューブレスタイヤ設計になることは間違いない。
ROVALはスペシャライズドのバイクと合わせるのが常識だったが、近い将来MAVICやフルクラムといったブランドと同じように1つのホイールブランドとして認知されていくのだろう。なおTERRAはすでに国内でも販売が開始されており、今シーズンのシクロクロスやグラベルライドにすぐさま投入することが可能だ。