新型DURA-ACE R9200は2.4GHz帯BLEでセミワイヤレス化が確定か。

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米国連邦通信委員会(FCC: US Federal Communications Commission)が、ある申請書を承認した。シマノの次期新型Dura-Aceに関係すると”されている”興味深いものだ。まず最も重要なこととして、今後半年以内にシマノから何か新しいコンポーネントがリリースされることを示唆している。

そして、新型のDi2コンポーネントは何かしらのワイヤレス方式になるという噂を完全に裏付けている内容だ。承認された申請書の内容は、2つの無線通信アプリケーションが明らかになっている。

大きな発表といえば、シマノはもうすぐ創業100周年(2021年3月)を迎える。新しいDura-Aceの12速コンポーネントと新たな仕組みを搭載したコンポーネントをシマノが発表してもなんら不思議な話ではない。そして、Dura-Aceの新型リリーススパンが迫っている事実を加味すると、このタイミングは完璧に理にかなっているとしか言いようがない。

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2.4GHz帯の無線通信

シフターとリアディレイラーが2.4GHz帯(2,478MHz)の周波数で無線送受信機能を提供している。コンポーネントは無線で通信することはほぼ間違いない。ディレイラーにはBLE(Bluetooth Low Energy)とANT+用の無線送受信機能も用意されている。

BLEは低消費電力の通信モードで動作し、デバイスとデバイスが通信をおこなう方法として、ブロードキャストかもしくはコネクションの通信方式がある。コンポーネントは基本的にバラ売りのため、ブロードキャスト方式で無作為にコンポーネントを探索しコンポーネントのペアを登録する形式が予想される。

また、BLEであるためスマホ上で動作する専用のアプリで設定やデバイス登録を行うものと考えられる。Bluetooth接続は、ソフトウェアのアップデートやセッティング、変速のコントロールに使用される可能性が高く、ANT+はサイクリングデバイス間のデータ転送に使用される可能性が高い。

このBluetooth Low Energy(BLE)の2.4GMHz帯域の周波数を使った製品の活用例としては、ビーコンと呼ばれる小型なデバイスを用いて人や物の位置を測定したり加速度や圧力などを検知する仕組みがある。会社のビル入館管理の際に使用するカードホルダーと一体化したビーコン内蔵デバイスなどもある。

BLEを使った製品の中には、省電力を謳うだけありCR2032(220mAh)で最大2年程動作するものもある。また、発信機自体を数ミリほどの薄さに収めることもでき、省電力かつ省スペース化できるメリットもある。

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セミワイヤレス化

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無線の方式としてはセミワイヤレス化になると予想されている。予想されている構造は以下の通りだ。

  • ワイヤレスSTI右
  • ワイヤレスSTI左
  • ビルトインバッテリー -Di2ケーブル- リアディレイラー
  • ビルトインバッテリー -Di2ケーブル- フロントディレイラー

ビルトインバッテリーからリアディレイラーとフロントディレイラーは給電のため配線が行われ、ワイヤレスSTIとディレイラー間は無線通信が行われる方式を採用するのではないかと予想されている。その際にワイヤレスSTIが通信を行う先のデバイスが「ビルトインバッテリー」なのか「ディレイラー」はまだ明らかになっていない。

ワイヤレスSTIを採用した場合の利点としては、ハンドルの配線が複雑になるという問題が大幅に解決される。ハンドル周りのワイヤーが無くなることによって、新型エアロロードのフレーム開発(ヘッド周りの複雑なオイルホースとケーブルルーティング等)が飛躍的に進化するかもしれない。

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待ち望まれるXTRワイヤレス化

最もワイヤレス化が待ち望まれているのがMTBコンポーネントだ。シマノのMTB用コンポーネントは完全にSRAMに遅れを取っている。SRAMのEAGLEはシフターとリアディレイラーがワイヤレス、さらにドロッパーのROCKSHOX Reverb AXSとも連携している。もちろん”おまけ程度に”12速だ。

近年のXCでもコースの難易度が上がったことにより、ドロッパーの使用が一般化してきている(余談:ヘッドアングルは一昔前のAMバイクのように67~68°のXCバイクが登場しているほど)。ドロッパーを動作させるための仕組みはワイヤー式が主流だ。ただし、レスポンスやメンテナンス性ケーブルルーティング等を考えるとボタン一つで動作するROCKSHOX Reverb AXSの利便性は非常に高い。

シマノはワイヤレス化に限っては、ロードコンポーネントのみならずMTBコンポーネントもSRAMに遅れを取っている。セミワイヤレスはSRAMとの差別化の意味も込められているはずだ。というのも、SRAMのワイヤレスシステムは、ディレイラー自体にバッテリーが搭載されておりディレイラーの重量がかさみ見た目も大きい。

SRAMのワイヤレス方式では、ディレイラーからバッテリーを取り外して充電する必要があるという手間もある(現場でモバイルバッテリーが使えない)。着脱式のバッテリーは外部からの泥や雨といった条件に対して強いとは言えない。MTBは特に外部からの衝撃でバッテリーが外れてしまったりする可能性もある。その点シマノが採用すると”されている”セミワイヤレス式であれば、既存のビルトインバッテリー形式で給電できるため、ディレイラーは現在の形のままだ。

いずれにせよ、米国連邦通信委員会に申請された資料からBLEを使用したワイヤレス化はほぼ確定だろう。あとは100周年の2021年3月にDura-AceR9200(Dura-Ace R1という噂もある)が登場するのを正座して待つだけだ。

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