ベストセラー「バカの壁」が現代に教えてくれること

養老孟司先生のベストセラー「バカの壁」という書籍がある。なぜか実家のベットの枕元に置いてあるのだが帰省すると毎年読んでいる。419万部売れ日本のベストセラー四位であることから読まれた方も多いと思う。

内容は、あらゆる物事に対して「これが正しい」「あたりまえだ」と思い込むことは思考停止であると述べられている。社会や組織、自分の所属する集団(だけ)の意見を盲信し正しいと思い込み、それらを鵜呑みにするのはバカのすることだ、と綴られている。

まさにおっしゃる通りだ。人は都合の良い情報しか自分の脳に入らない(場合が多い)がさらにタチの悪いのが、それに最もらしく理由をつけることでさらに正当化しようとする。大抵、都合のいいように理由をつけるわけだが、良いことは自分のおかげ失敗は他人の責任といったバイアスをかけてくる。

バカの壁はアドラー心理学やデールカーネギーの書籍で綴られている内容とよく似ている。本文中で言っていることは違うのだが、本質的には人間の根本には己れにしか動かせない確固たる意思があり、それらは他人の力では動かすことができない。

「馬を水辺に連れて行くことはできるが、水を飲ますことはできない」とはよく表現したものである。無理やり外野からこうしろ、ああしろ、と言って見かけ上はコントロール(水辺に連れて行く)はできるかもしれないが、これをやれ!(水を飲ます)と言っても最後は本人の判断に任せることになる。

無理やりやれば、こちらが望むべき結果を、相手に「飲ませる」事ができるかもしれない。ただ、それでは人間関係がうまく行くはずもない。「損して得をとれ」ではないが、こちらができる限りの対応をし、相手に気持ち良く判断をしてもらうことも不可能ではない。

「水を飲ます」という行為に対し「無理やりいやいや」人を動かすのか、「自ら自発的に飲んでくれる」ように促すのか、手腕が別れるところだ。到達地点は同じなのだが、また時間の経過とともに壁が積み上がってしまうかもしれないし、永久に壁がなくなるかもしれない。

ただ、賢い大人や指導者は相手に悟られないようにこちらが期待する行動を相手にしてもらうように仕向ける。もちろん、相手は「自分で判断」したのであって、こちらから命令しているわけではない。結果的には壁を動かすのは本人にしかできないわけだ。ただし人を動かすためには、こちらのアプローチをどうするかで結果は変わってくる。

「◯◯さんは言うこと聞かない」というフレーズをよく聞く。ただそれは全て「◯◯さん」に原因があるわけではなく、あなた(私たち)側に理由があるのかもしれない。悪いことは他人のせいと決めつけず、まずは相手の立場を理解する。そしてうまく水を飲んでもらえる方法を考えなくてはならない。

うまく行くか行かないかはやり方次第と壁の高さ次第だが、初めから無理(自分のバカの壁)と決めつけずに、まずはやってみることだ。やらずして何も変わらない。少しのアプローチで壁は崩れるかもしれないのだ。

本質を突き詰めて行くとまず初めに壊すべき壁は、相手の中にある壁ではなく、自分自身の中にある「バカの壁」なのかもしれない。

バカの壁 (新潮新書)
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養老 孟司
新潮社
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