店舗で買う意味あるの?ネットで買えばいいのに。

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最近はネットで何でも買うようになった。スマホから数クリックですぐに注文でき、家にいながらにして無料で届き、商品は検索すればすぐに表示され、そして安い。わざわざ広い店内を歩き回る無駄な時間も必要ないのだ。

家電、食料品、サービスまでありとあらゆるモノがネット上で完結するようになって久しい。雑誌や、音楽、映画もネットで見たほうが早くて楽だ。自転車機材に限らず、いまや、Amazonや楽天を使っていない人を見つけるほうが難しくなった。

世界をくまなくつなぎ、国と国との垣根、時間や距離を限りなくゼロにするネットが消費の主流になると、実店舗に行くことや、実物を見て買うという「体験」が極端に減ってくる。

だからこそ、いまのネット時代には「実店舗で何かを買う」という行動を消費者に起こさせるために、何かしら別の「意味」や「体験」といった動機付けが必要になってきているようにおもう。

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店舗で買う意味?

実店舗で買うには理由が必要になった。それも、安さ以外の、何か別の強い動機づけが。

店舗にわざわざ出向いて、希望の商品(あるのかないのかもわからない)を探し、購入するという、手間と時間がかかる行動をしのぐ、なにかしら別の理由(多くは利益)がなければ店舗では物を買おうとは思ってもらえなくなってしまった。

各個人が抱く動機づけの理由は千差万別であるものの、消費者の中にその「なにか」がないと同じ商品を高く売っている店舗でわざわざ買う必要などないのだ。

厄介なのは次のようなパターンだ。店舗に行き(ここまではいい)購入前に商品のバーコードをスマホのアプリでスキャンし、メルカリやヤフオクで安い中古がないか、なければアマゾンや楽天で安く売ってないか探し、店舗で買わず結局ネットで注文(店舗にいつつ)なんてこともある。

また別のパターンとしては、店舗で商品に詳しいスタッフから情報をあれこれ聞くだけ聞き出したあげく、「検討します」と立ち去り、帰り道にネットショップで最安の商品を決済するという客もいるかもしれない。

このような状況は、自転車業界にかぎらずどの業界でも起こりうる。特に立ち読みができる本屋はもっと早い段階からこの問題に直面し、結果ここ15年で約40%の店舗が減少している。おそらく、ネットの繁栄も原因の一つとして上げられるが最大の要因はAmazonだろう。1つのプラットフォームが世界中の実店舗を食ってしまった。

ここまでは、ネットですべてが完結するという話で、店舗はオワコンだという話の流れに見える。しかし、わたし自身が確定申告で経費処理をしている際に気づいたことがあった。ここ数年、実際には、自転車機材の場合は店舗で買っている方が多かった。

その理由は一体何なのか、わたし自身の実例で掘り下げてみた。

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店舗で”買いたい”と思う理由

最近では円安で海外で買うほうが高いという事情もある。しかし、どちらかといえば「高くて、不便でも、少々高くても、店舗で買うという選択をするようになった。アマゾンでも楽天でもなく、支払った額や小物の数で圧倒的に多かったのは実店舗だった。

なぜ、「同じ商品」をわざわざ「高い店」で買う必要があるのか―――。

わたしは、単純に店舗ではなく「人」で購入を決めていた。名が通ったショップだとか、品揃えが豊富だとか、そういうのは一切関係ない。冒頭にも書いた「何かしら別の動機づけ」は単純に「人」だった。

これは、初めて自転車機材を買う人には当てはまらない話だ。いろいろな店舗を回り、行き着く先の話であることに間違いない。それでも、同じ商品をわざわざ高い店舗で買う動機は人にほかならなかった。

この、ある「人」は大阪豊中に1人、大阪本町に1人、神戸西宮に1人ずつお世話になっている。

彼らが働いている店舗や品揃えなんてものには、一切の興味がない。ただ、その人自身から商品を取り寄せてでも買いたいと思うのだ。理由を掘り下げてみると、彼らにはいくつか興味深い共通点がある。

まずは、物をまったく売り込まないことだ。しかし、彼らを通してモノが売れていく(もしくは作業の依頼が入る)のだが、彼らはなぜか自ら全く売り込まない。しかし、彼らから買いたいと思ってしまう。

なぜこのようなことが起こって”しまう”のか。

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何が顧客の心を購買に導かせたか

彼らに共通していることは、「何が顧客の心を購買に導かせたか」を探るのが非常にうまかった。顧客が抱えている問題は何なのか、今後必要になる機材や、好きそうな機材は何などを、伝えてもいないのになぜかよく知っている。

ただ、それは超能力でもなく「会話」の中から、仮説と検証を繰り返して手がかりを探っていった結果だとおもう。

その探りから得た情報を足がかりとして、さらに顧客の話に耳を傾け、よく話を聞いてくれる。わたしの場合は、家族の話や子供の話、レース結果の話、新製品や業界の話など何でもする。最近では、家の購入の話や、土地や不動産の話といった自転車に関係のない話もしてしまった。

これは一見すると、「何も買わない、話しがしたい、時間消費おじさん」であり忙しい店舗であれば迷惑な客かもしれない。ただ、全員が全員ではないが、相手が色々とこちらの要望や話、問題に対する解決を提案・実行してくれると顧客としては「何かを返したい」と思ってしまう。

その小さな「何か」は1度限りではなく、もう何年も続いている。おそらく通算すれば1000万円は超えている。多少高くとも継続的に店舗を利用するようになり、いつしか気の知れた知り合いになる。

私は「人」が購入の動機になり、同じ高い商品をその人(店舗)から買っている。これはひとつの例に過ぎないが、安いネットで買うくらいなら、ちょっと店舗に遊びに行って高くても買おうかなと行動している。

同じようなパターンは美容室だ。

どこで髪を3cmカットしても、3cmは3cmだ。それなら1000円弱でカットできるQBハウスに行けばいい。しかし、自分の希望や悩み、思い通りのスタイリングにしてくれる、人としての相性など複雑な条件が絡み合い高いお金を出してでもスタイリストを指名してカットしてもらう。

その人が何気なくスタイリングの際に使っているワックスを買ってしまうなんてこともあるだろう。自転車の整備工賃や機材購入の動機とわりと近いのかもしれない。

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まとめ:物が売れない時代だからこそ

日本はいまだ給料があがらず、デフレ脱却もできず、それなのに物価だけが上がっていく厳しい時代に直面している。消費者の財布のヒモはよりキツくなり、生活もキツくなる。遊びや趣味・嗜好品の自転車にかけるお金も減っていくことは間違いない。

それでも、いくらか個人が楽しむ範囲で機材のアップグレードや新製品を購入するという消費への行動は無くなりはしないだろう。大手は数年に1回新製品を出すし、機材はどんどん進化している。

便利で魅力的な機材が出てくれば、今現在もどんどん売れて完売する。実際にスペシャライズドやCANYONの人気モデルは100万を超えるのに飛ぶように売り切れている。

消費者が購入に至る動機と理由は千差万別であり目に見えない。だからこそ、うまく探っていく必要がある。購入動機や理由も人それぞれ生きてきた環境によって異なり難しい側面もあるだろう。

正解はないにせよ、そこには何かしらの「動機」があることは確かだ。

だからこそ、売り手となる人が顧客をよく探る必要がある。口を開けていても何も生み出すことはできない。何が顧客の心を購買に導かせたかは、商品や店舗、ネームバリューにあるのではない。そこには、「人」こそが私やあなたの内側に、なにか別の意味をもたすことができるかにかかっている。

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