漢たちシリーズ第一話『諦めない漢たち』

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4:30起床。のいさんと走るために。今日は諦めない漢について考える。

のいさんは、言い訳をしない。文句も言わない、人の悪口も言わない。奥さん大好き(←ここ重要)。鉄の心と、向上心を常に持っている。人生の先輩でもあるわけだが、その練習姿勢を見習いたい。まず、いらぬ言い訳をせず毎朝走る。「明日朝練いきます」「小雨なら走ります」「大雨なら危ないのでやめます」と。

私が分析したのいさんの選択肢はこれら三つ。明快な答えだ。日本人は曖昧だというが、日本の建造物は見事に「しきり」や「ふすま」がある。明確に空間を何かしらの方法で分けている。ピシャリと分かれた和室の様に、のいさんの練習姿勢も明快だ。

昔、こんな事を言われた。ある日朝練に誘われた時、私はこう答えた。「起きられたら、行きます」と。その発した答えに残念そうに言葉が返ってくる。「自分の逃げ道を作ってはいけない、宣言してその通りになる様に自分をコントロールしろ」と。朝起きられない、時間を守らないのは私の歳ではもう恥ずかしいことだ。

その基本的な事を改めて諭されている様で、情けなくなった。それから、朝練に誘われた時は返事二つで返す事を自分の鉄の掟にしている。約束に逃げ道を作るのは、自信がないからだ。それ以上分析する必要もない。

「雨が降る前の二時間半が勝負だ。」という意気込みが天に通じたのか、雨空は少しばかり雨を降らせるのを我慢しながら、三人のサイクリストを見下ろしている。最後の峠は、無言で走る。冬だから普段よりも遅い。でも辛さは一緒だ。皆それぞれがもがきながら、山頂に着く。

山頂に着いて写真を撮ろうと言われるが「私が混じると悪いから」と断る。のいさんはあんまり怒らないが、怒られたので写真を撮る。選手が交わすのは誰にも負けないという競り合いと、終わった後の高揚感。それだけで良い。下山しながら、いろんな話をする。のいさんが坂を登る時の息遣いが、長く聞こえる。ということは、そういうことだ。

イチローの名言はいつも心に刺さる。

小さいことを積み重ねるのが、とんでもないところへ行くただひとつの道だと思っています。

自分の能力を過信して、フンズリ返っているといつか大きなしっぺ返しがくる。だから、コツコツやる。自分より遥かに強い人が、毎日毎日コツコツトレーニングしているのを見て、活力になる。ただ、人の中に自分のモチベーションを見出してはいけない。それは自分の中に置いておくべきものだ。

何かを成し遂げようとする時、行動するための信念や原動力は自らの中に置かなくてはならない。人がやってるから、流行ってるからという理由では長続きはしない。常に主体的であるかという点は、注意深く自分を観察していないと見えてこない。のいさんのモチベーションは明らかに自身の中に燃え上がっていた。

帰宅すると、雨空は我慢していた雨を降らし始めた。こんな雨ではのいさんの中にあるものは消えやしないが、この日は朝のトレーニングで一日中、心は晴れやかだった。

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諦めない漢その2

今年関西シクロクロスで急激に力と成績を伸ばしたある漢と久しぶりにロードで走った。日曜日は大勢の猛者たちと走るとても楽しい練習だった。確かにフィジカルは一般人の中では皆ある方だろう。ただ、練習仲間の間に挟まれると如実にその実力差が出てくる。

シクロクロスが終わり、私も次の目的地を見出せずにいた。幾らかの人たちが同じ様なことを経験している様だ。中にはロードが終わってから陥っている人もいるし、もう戻れなくなった人もいるかも知れない。今日その事を考えさせられた。

シクロクロスでマスター上位に位置していた漢は千切れて、千切れて、それでも無言で走っていた。多分今まで走ってきた中でほとんど会話をしていなかったかもしれない。帰り道ふとこんな事を言っていた。「またがんばるよ!」と。恐らく私もなんども(本当に何度も)陥っているが、なにかぽっかりと穴が空いていたのだろう。

受験生が大学に合格したら勉強しなくなるように、目的が達成されれば必要な勉強をしなくなる。ただ我々サイクリストに必要なのは「受験生」的なその場しのぎの勉強(練習)ではなく「研究者」のように日々新しい事、向上し続ける為の勉強(練習)が必要だ。練習することは目的にならず、フィジカルを高めるために必要な研鑽に他ならない。

練習仲間が良いな、と思うのはこんな時にどこか支えになってくれる所だ。いつも支えられてばかりいるから、たまには恩返ししなくてはならない。金銭のやりとりとかそういう希薄な繋がりではなく、かといって言葉もいらない。ただ、無心で走り同じ時間を共有するだけで良い。自分がそうしてもらったように。

サイクリストにとって冬の時期は、少しばかり落ち込んだり目標を見失ったりする。皆凡人なのだから、毎日毎日諦めず、コツコツやるしかない。諦めないことは、続けること。コツコツやることが強くなるコツというが、本当によく本質を突いている。

「続ける」技術
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