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CANNONDALE SUPER SIX EVO インプレッション 2世代目にあえて迫ろう。

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ざっくり言うと↓

  • 過激な軽量化は影を潜めた。
  • 美しきケーブルルーティング。
  • バランスの良いオールラウンドバイク。

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各社の軽量バイクが出揃った今だからこそ、”あえて”軽量バイクの代名詞エボに迫ろうと思う。そして2世代目は一体何が変わり、一体何が新しいのだろうかと問うために。

初代SUPER SIX EVO HI-MODが発表されたとき、一種の熱狂に近いものがあった。フレームは700gアンダーという驚異的な重量と、それでいて高い剛性、下りもこなすスーパーバイクだった。当時、欲しいバイクを上げろと言われれば、間違いなくSUPER SIX EVO(通称:エボ)はその候補に挙げられた。

ただ、あれから何年か経過して、世の中は少し変わってきたように思う。国産のYONEXが高いカーボンの製造技術を活かした軽量バイクをリリースしたり、「重量ではない」と言われていたTIMEが軽量クライミングバイクAlpe d’Huezをリリース。そしてLOOKも一角獣から先祖返りし、トラディショナルなクライミングバイク785HUEZ RSをリリースした。

各社が開発にしのぎを削り続けた結果、「軽量バイクカテゴリ」がコモディティ化していった。そして、刷新された2代目のSUPER SIX EVO HI-MODは「数ある軽量バイクの中の一つ」になってしまった。残念な話ではあるが、2世代目としてエボが改良されたことすら知らないサイクリストさえいる。また、「何が変わったのか?」についてはとんど知られていない。

「エボ=軽い」という式は間違いない。しかし、単純に重量という無機質な数値だけ見ればエボと言えど驚くような軽さではないばかりか、最軽量ですらない。その上で、2世代目のエボである。

私自身「初代と2世代目の違いは何なのか」という漠然とした疑問から今回の調査が始まった。言ってしまえば、2世代目のエボにはTARMACのSL4だとかSL6のように「名前も新しい」という印象がまったく持てない。CANNONDALEは2世代目のエボ(SUPER SIX EVO)も初代のエボ(SUPER SIX EVO)も同じ「エボ」という名前でリリースされている。

EVO SL2だったり、ULTIMATE SIX EVOだったり、すぐに違いがわかるような展開をCANNONDALEは行わなかった。

プロモーション観点から見れば、失敗だと思う。初代の爆発的な人気は影を潜め、2世代目にあの熱狂は感じられない。ただ、2世代目(2018年モデル)の「エボ」に乗り、違う意味で裏切られた。そして思った。CANNONDALEは、正当に進化した真っ当なロードバイクを密かに作っていたのだと。

「前作○○%アップ」「TARMAC史上最も軽い」等というカタログ上目を引き、購買意欲を掻き立ててくれるようなタイトルは、2代目エボの名刺には記されていなかった。しかし、乗れば乗るほどに、「2代目エボ」は「初代エボ」とは全く異なる設計で生み出されたバイクなのだと、気付かされていく。

フレームを傍から見れば、丸パイプとトラディショナル(伝統的)なスタイリングで何も変化はないように思える。ところが、エボに直接触れてみると、ダウンチューブは丸パイプではなく、複雑な形状にブラッシュアップした形状だったりする。BB周りも初代とは異なる幅広い構造に変更されていた。

初代エボと2世代目のエボはパット見、違いがない。ただ、細部に目を凝らし、一歩づつ踏み出すと2世代目の進化が見えてくる。一瞬、双子かと見間違える「初代エボ」と「2世代目エボ」の「エボ」は、全く異なる「EVO」を定義していた。

今回はCANNONDALE SIX EVO HI-MOD 2018をテストした。初代と何ら変わらないとタカをくくっていたフレームの真価に打ちのめされながらも、新旧の違いに胸が躍る。2世代目のSIX EVO HI-MODは何が新しく、何が変わったのだろうか。その一部始終を記す。

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で、何が変わったのか

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率直にいうと、2世代目のエボは確かに「何か」が進化している。メーカーも闇雲には改良しない。しかし「何が」変わったのか本当によくわからない。この、「2世代目だけど何が良くなったのかわからない」という疑問は、実際に手に取っても、まったく理解できなかった。だから、2世代目のエボに実際に乗るまで期待もできなかったし、印象も薄かった。

1つ目の進化:ジオメトリ

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Photo:CANNONDALE

各社の最新モデルを見ると、フランス、イタリア系のバイクはジオメトリーが時代遅れだ。ほとんどジオメトリの設計を変えてきていない。見た目だけ新しく(といってもまるでマンボウな形に)しても、ジオメトリーがほんとうに残念すぎる。特に日本人に最適な小さめのサイズなんて、ジオメトリーが昔のままだ。私が言っているジオメトリーとは、「スタック」と「リーチ」の部分である。

最近は、アメリカ系ブランド(といっても中身は安心の台湾)のジオメトリーが素晴らしい。SPECIALIZED、TREK、CANNONDALE、GIANT、CERVELOはしっかりとスタックとリーチをサイズ毎に変えてきている。そしてトレール量とヘッド角度も許容範囲内に収まるように設計している。残念なことにTIMEのHUEZやCOLNAGO C64でさえ、小サイズのトレール量がかなりいい加減だ。

小さなサイズで最もジオメトリーが秀逸なのはアンカーだ。当ブログでも何回も取り上げているが、スタック、リーチは言わずもがな、トレール量をしっかりと考えて設計している。前置きが長くなったが、2世代目のエボはジオメトリーがとても良い(これだけでも初代からの買い替えの価値がある!)。体に合わない高価なフレームを選ぶよりも、ミドルレンジでも適切な設計で、ポジションが出せるフレームのほうが良い。

フレームという構造体だけを見れば、「前三角」「後ろ三角」という基本的な構造は変わることはない。しかし、旧型エボと新型エボの”体型”を比べると、その違いは明らかだった。新型エボは新しいジオメトリー設計を採用し、数字がとても美しい。それだけでも旧型エボから、新型エボに乗り換える価値があると断言できる。

特にエボ愛好家ならなおさらだ。それほど2世代目のエボのジオメトリー改良は大きい。フレームに黄金比なんてものは無いのかもしれないが、ジオメトリーの数値だけ見ていてもエボは「美しい数字」が並んでいる。それは昨今のアメリカ系ブランドが、積極的に改良を施しているフレーム設計の部分だ。

エボの1つ目の進化、ジオメトリーが大幅に改良されている。

2つ目の進化:ケーブルルーティング

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私が「美しいフレーム」と位置づける条件の中に、ケーブルルーティングがある。余談だが、IT系の用語でもルーティングという言葉は多用する。ネットワーク上でデータ配送の経路を制御する事を「ルーティング」と呼ぶが、この経路は「最も速く届く最適な経路」が選出される(一部、地震多発エリアを遠回りする等の条件も有りうるが)。

自転車の話に戻るが、このケーブルルーティングはバイクの完成体の美しさを左右する。最も美しいケーブルルーティングはTIME ZXRSだ。トップチューブ途中から放物線を描くように、リアブレーキにつながる。途中に無駄な曲げも無く「最適な経路」である。

リアディレイラーの電動用ケーブルも、チェーンステー末端から最小限だけ出ている。私が好きなのは、見て美しく、機能面でも考えられたケーブルルーティングである。もう少し「美しいケーブルルーティング」について語らせてほしい(読み飛ばされてもかまわない!)。

#timezxrs #lightweightwheel #timeframe

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TIME ZXRSのリアブレーキ用ケーブルルーティングはなぜ美しいのだろうか。私は、飲めないウィスキーを傾けながら、TIME ZXRSを眺めた。そして気づいた。TIME ZXRSのケーブルルーティングの美しさの理由は、「ブレーキワイヤーの入射角度と、ダウンチューブ、シートチューブの角度が並行」である点だ。

CANNONDALEの話から大幅にずれそうなので、この辺りで終わりにしたい。肝心のエボのワイヤールーティングである。エボは外出ワイヤールーティングを一貫して採用している。エボはレースバイクに何が求められているのか良くわかっている。何かワイヤー系統にトラブルがあった際に、迅速な処置を行えるのはやはり外出ケーブルだ。

見た目上の美しさよりも、メンテナンス性、バイクとしての取扱いがし易い事を求めた結果だろう。ただ、昔ながらのケーブルルーティングとは異なり、コンパクトなケーブルルーティングが印象的だ。ブレーキワイヤー用ケーブルは、トップチューブ側から入り、シートステイ上部から抜けている。直線的なルーティングは、ブレーキワイヤーの引きを軽くしてくれる。

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肝心のシフトケーブルは違う意味で美しい。見た目が美しいというよりも、仕組みや構造が美しい。左右のSTIから放たれたディレイラー用ワイヤーは、一度ダウンチューブに取り付けられたジャンクションで出会う。そして互いに手を取り合うように進み、並行を保ったままBB下まで向かう。

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リアディレイラー側へは、チェーンステー内部を通って抜けていく。チェーンステー末端の出口から放たれたケーブルは、キレイな弧を描きディレイラーへとつながる。この区間でワイヤーが外部に露出する事はない。「セミインターナルルーティング」と言えば格好が良いだろうか。

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第二世代目のEVOはワイヤーと電動双方に対応している。しかし、ワイヤー式で組み上げたほうが、全体的なバランスが美しいと思うのは私だけだろうか。あえて外部に露出しているシフトケーブルが美しい。そしてトップチューブ正面右側から入るブレーキホースも考えられている。

エボの2つ目の進化、ケーブルルーティングが大幅に”うつくしく”改良されている。

3つ目の進化:重量”増”

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「エボ=軽量」という方程式は、もはや過去のイメージなりつつある。エボはわずかながら(と言っても軽量バイクには変わりないが)重量が増した。前作のように極限まで重量を削ったりせず、適度に肉付けを行い剛性を上げてきた。「軽量のエボ」にとって大きな変化だが、闇雲に1gを削り続けるよりも、僅かな重量増のトレードオフで、より高剛性なバイクを作りたかったのだろう。

このエボに似た”アスリート”を、しばしばお見かけする。線が細い体と言われるのがコンプレックスで、筋トレをした結果、彫刻のような締まった体を手に入れたあの体型だ。

ソフトマッチョ化については、後ほどインプレッションでも記載するが、EVOが服を脱がなくてもそれはすぐにわかる。良いか悪いかの判断が迷うが、明らかに前作の乗り心地とは異なり、硬いフレームに仕上がっている。軽量バイクという地位を確立したエボであるが、コモディティ化するフレームの中で何か差をつける為に、「あえて軽量化を捨てて、ソフトマッチョ化」という路線を選択したのかもしれない。

エボの3つ目の進化、EVOはソフトマッチョ化した。

4つ目の進化:カラーオーダー

フレームの開発は大抵4年周期だ。オリンピックに照準を合わせたり、様々なプロモーションと開発のせめぎ合いがある。4年間かけて、あの手この手で金型代を回収するわけだが、その中でフレームカラーも「限定」だとか「シグネチャーモデル」だとかサイクリストの購買意欲を掻き立てようと必死だ(スペシャライズドが最も巧みだ!)。

新しいエボが魅力的なのは、カラーオーダーの幅がとても広いことだ。そしてデザインもシンプルで潔い。エボのムダのないスタイルを、そのまま表しているかのようである。もしも私がカラーオーダーするとしたら……、という想像をしてみた。Instagramや様々な画像を漁って一つのカラーに辿り着いた。

「私がカラーオーダーするならこの組み合わせ」を紹介したい。

遡ること数年前、世界王者ピーター・サガンがまだCannondaleで育成されていた頃、旧エボにプロ専用の非売品カラーがあった。そのエボにはギラギラとしたクロームメッキ仕上げのロゴと、グロスの塗装が施された、ひときわ目立つカラーだった。80年代のオールドスクールな印象と、現代の最新ハイエンドマシンの融合がクールだった。

旧エボには、EVO NANO(エボナノ)という更に軽量なモデルが存在していた。このモデルはグロス(ツヤツヤ)ではなくマット仕上げで、いかにも軽そうなバイクだった。グロスはクリアーを吹いているからその分だけ重量がかさむ。塗装重量すら気にするサイクリストにとって、NANOのマットカラーは一段と軽く見えた。

このベースになるマットも、単なるブラックではなく、少しばかり茶色っぽい黒だった。単なるブラックマットだと、どこかありきたりだ。このマットカラーをベースに、ロゴはクロームで合わせると、最近のバイクでは見かけない魅力的なカラーになる。

なぜこんな色にしたのか?

フレームは単体では意味をなさない。合わせるなら、ホイール、ステム、ハンドル、コンポーネントと、様々なパーツが必要だ。私はEVOを組むなら、Cannondaleのオーダーシステムにも登場するENVEで統一したい。今、ロードバイクメーカーでENVEが似合うフレームはCannondaleかサーベロ(プロモーションの結果だが)の2つだと言える。

Cannondale SuperSix | eTap | Zipp303 📸: @shepshepshep

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そしてこのカラーの良いところは、現行のシマノのコンポーネントカラーに抜群にマッチすることだ。私は白黒のツートンカラーのバイクが好きだから、全体的に無駄な色を含むのを好まない。ステルス的なENVEのホイールとステム、ハンドル、シックな現行9100や8000のシマノコンポーネントで仕上げる。しかし各コンポーネントがおとなしいだけに、あえてクロームメッキのCannondaleロゴがひときわ目立つことになる。

エボのトラディショナルなフレームスタイルも、さらに全体を引き締めてくれる。もし予算に余裕があるなら、ハブもポリッシュ仕上げのクリスキングR45にSAPIM CX-RAYでENVEリムを取り付けたら……、いや、これは破産してしまうから止めておこう。贅沢の極みだ。

実際にCannondaleのオーダーシステムにおいて、ENVEのホイールが選択できるし、シマノの最新コンポーネントも選択できる。私がオススメするこの構成は、実際に購入が可能である。なお、CADD12でも同様のカラーが実現できる。実はCADD12に一度乗ってみたい。機会があればインプレッションしたい。

エボの4つ目の進化、EVOは好みのカラーでドレスアップできる。

4つ目が終わったところで、次章からはインプレッションに移っていこう。

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インプレッション

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今回のインプレッションにおいて、新型DURA ACE R9100のワイヤー式と、Cannondaleの謎のカーボンクリンチャーホイールを合わせて使用した。ただ、BORA、COSMIC、ROVALと付け替えて最終的にはテストした。合わせるホイールで、良くも感じられるし、また逆もしかりだ。

最近ではタイヤ(クリンチャー、チューブレス)の違い、はたまた空気圧の違いでバイクの印象は全く異なるから注意をしている。

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インプレッションを書き進める前に、一つ困ってしまった。CANNONDALEのWEBサイトやカタログにおいて、EVOに関する情報がとても見つけづらかった。WEBサイトやカタログ共に「どれが第二世代目のエボなのか」という情報の迷路に陥り、希望の情報を探すのに苦労した。これでは、エボがラインナップに存在していないかのような作りだった。ディスクブレーキ仕様のEVOは大々的にWEBサイトに登場しているのだが、リムブレーキモデルを探すのには苦労した。

EVOは別枠でサイトが用意されていた。パーツを含めた完成車を、フルオーダーの感覚で売りたい戦略なのかは定かでないが、そもそもフレーム単体で買えるのかすらも、よくわからなかった。実際は、カラーオーダーでフレーム売も対応してくれるようだが、もう少し購入するにあたって、消費者が情報を見つけやすいように工夫してほしい。

ただ、プロモーションと、実際に開発されたフレーム性能には全く相関関係はない(エボにとってはいい迷惑だ)。プロモーションは巧みに行われても、実際のバイクがどうであるかについては、まったくの別問題である。

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今回のエボの完成車の中で、クランクが特徴的だ。Cannondaleは独自の太陽のようなホログラムクランクがラインナップされている。ホログラムクランクは、MTBの機材でスタンダードなチェーンリングをダイレクトマウントするタイプのクランクである。SRAMやRACEFACE、EASTON、HOPE、QUARQまでもがダイレクトマウントタイプのクランクを採用している。

ホログラムクランクには、そもそもスパイダーアームが存在しない。ダイレクトマウントタイプは、チェーンリングの中心をクランクアームに固定する。ダイレクトマウントのメリットは、チェーンリングの交換を素早く簡単に行える点である。いずれ、ロード用の機材にもこの波が来るかもしれない。Cannondaleは、ダイレクトマウントタイプのクランクとチェーンリングをいち早く展開してきた。

以前ホログラムクランク使用したときは、「高価で軽量なクランク」程度の印象しかなかった。その際、変速性能が気になっていた。シマノを使い慣れると、カンパニョーロやSRAMのフロント変速には正直戻ることはできない。ホログラムクランクも同じなのか、と思っていたが、違う意味で裏切られた。

セッティングした私のメカニック坂口さん(RINGOROAD)の腕が良かったかは定かではないが、フロント変速は、R9100のチェーンリングと大差がないのは驚きだ。目をつぶって変速をして、違いを嗅ぎ分けられるとしたら、それはそれで一つの才能だと思ったほうが良い。大いに自慢して良いだろう。

それほどホログラムのチェーンリングと、R9100チェーンリングの違いがわからない。もしもシマノクランクに「魅力を感じない」としたら、せっかくのCANNONDALEなので、ホログラムクランクで統一しても良いだろう。パイオニアからホログラム用のセンサーが販売されているから、心配もない。ホログラムクランクとチェーンリングは予想以上にR9100との変速相性が良かった。

特徴が見当たらない・・・。

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平地では特に光る点が見当たらない。エボはエアロでもないし、かといってズッシリと安定しているわけでもない。平坦を走らせたり、長距離を走らせるのならば、他にもっと良いフレーム(ZXRS等)があるよな、、、と思う。ただし、扱い方を変えるとエボは違う顔を見せる。

とある強豪選手(ツール・ド・おきなわジュニア優勝、大阪府強化指定選手)にエボを使ってもらったところ、少し興奮気味に「エボの性質」を語ってくれた。まず大きなトルクをかけて踏み出した時の進みが速い。入力に対して、出力が早い、ということらしい。今はS-WORKS TARMACに乗っているが、加速はエボのほうが速い(らしい)。

そしてスプリントがし易い。ゴール前で、ヨーイドンする時の一発目にかなり使えそうだ、とのことだった。この意見に対し、私も大筋同意見だ。もう少し話を掘り下げてみる。大きなトルクをかけた瞬間、ロス無く進む感覚は同意見だ。おそらく私のような最大パワーが1000Wに満たない選手なら、エボの性能を最大に引き出すことはできないだろう。

ただ、問題はクルクルと回すような高ケイデンスでの付き合い方である。

初代エボで感じた、高ケイデンスで回すとリアバックが少し揺れながら登攀していくあのイメージは残っていない。どちらかと言うと、トルクが小さいとスカスカ抜けるような感触すらある。第一世代と第二世代は、まったく性質が異なる。前者はパワーのない軽量ライダーでも快適に感じるが、パワー系ライダーにはあまり印象が良くなかったかもしれない。

後者の第二世代目は、パワー系ライダーに好まれるかもしれないが、純粋なクライマーや軽量なサイクリストが好むような味付けとは言い難い。

世間一般論として、クライミングバイクに位置付けられる(であろう)エボは、結果的に純粋なクライミングバイクだとは言い難い。どちらかといえば、「軽量のオールランドバイク」であって軽量だけを目指したバランスの悪いバイクではないのだ。

先の強化指定選手の感覚と、私感覚をすり合わせると、いよいよ第二世代のエボに対する結論が出つつある。第二世代のエボはクライミングバイクではない。全方位に対応した、オールランドバイクだ。

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5つ目の進化

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冒頭で記した、エボの進化が「4つ目」という中途半端な数で終わっていたのには理由がある。「進化」の1つ目から4つ目で述べたことは、紙の上、カタログを眺めていたら誰にでもわかる部分だ。少しの労力と時間さえ割けば、得られる情報でしかない。

5つ目の進化は少し毛色が異なる。書き出すためには、実際に使ってみないと感じ取れない領域だった。だから、エボの本質の部分は5つ目の進化として別章立てした。5つ目の進化のポイントは、「単なる軽量バイクからの脱却」だ。無闇矢鱈な軽量化や高剛性化、気味の悪いエアロ化とは一線を画する、エボの進化の形は純粋なオールランドバイクだった。

特別硬いわけではなく、特別エアロなわけでもなく、今となっては特別軽いわけではない。ただ、何をやらせてもこなすバイクだが、総合力が高すぎるがゆえに、突出した性能を見出しにくい。ただ、それ自体が第二世代目のエボの最大の特徴なのだ。行き過ぎた軽量化を求めず、VENGEやMADONEのような挑戦的な構造も採用せず、CANNONDALEは純粋な「ピュアロードバイク」を作り上げていた。

「ものすごく軽量ですよ」「ものすごく空力が優れていますよ」という、何かを尖らせないと気が済まない昨今のメーカー戦略の中で、あえて真っ当なロードバイクフレームというアプローチをしてきたと言える。BB規格は確かに残念だが、真っ当なジオメトリー、真っ当な外だしケーブル、ロードバイクらしい真っ当なスタイル。

ロードバイクらしいロードバイクとして、第二世代目のエボは存在している。

エボの5つ目の進化は、過剰な軽量化やエアロ化からいち早く脱却し、真のオールランドバイクに昇華した。

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まとめ:SUPER SIX EVOの5つの進化

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どうせなら、いっその事「EVO2」なんて名前にしたほうが良かったのではないかと思う。初代とくらべても、本当に見分けがつかない。ただ、ここまで紹介してきた5つの進化を持って2世代目のEVOは確実に改良された。初代EVOは登場した時点で、完成度が高かった。初代エボをベースに、さらなるブラッシュアップが施された。

結果的に重量は増したが、逆にこう考えても面白い。もしも、「初代エボよりも10g軽い!」と、2世代目のエボも「軽量化」を全面に押し出していたら。きっと、二番煎じ、今更感を感じ、目新しさもない。逆に「初代エボ最高」という思いを既存ユーザー達に抱かせてしまいかねない。そして結局、心は動かせない。

もしも初代エボを所有していたとしたら、第二世代目のエボは買いだろうか。エボファンならなおさら、ブラッシュアップしたEVO2を試して欲しいと私は思う。お気に入りのカラー、洗練されたケーブルルーティング、「登りだけじゃないエボ」は確実に進化している。

私は過去に生産されたTIMEフレーム(VX,VXRS,RXR,RXRS,ZXRS)を今でも大事に保管している。それと同じくして、初代エボを所有しているCANNONDALEファンならなおさら、2世代目を試してほしい。

軽量化、エアロ化は行き尽くした(もはや少々飽きてきた)感がある。そのような情勢の中、第二世代のエボは、真っ当なロードバイクを作ってきた。まさに真のロードバイクを。そして純粋に走るバイクに変わっている。もしも、超軽量だったり、エアロダイナミクスに優れたフレームをご希望なら、第二世代のエボは買わない方がいい。

それよりも、より本質的な部分「あらゆるシチュエーションに対応する真のロードバイク」をお探しだとしたら、エボは適任だ。そして、伝統的なフレーム形状、完成度の高い構造、秀逸なジオメトリーを有した第二世代のエボは、まさに望む条件に合致していた。

「メーカーのプロモーションにだまされない」と、私はしばしば言う。しかし、逆にプロモーションがされないが故に、エボの本質を余計に探り、知ることになったのだ。そこで垣間見えた「真のオールランドバイクエボ」という位置づけは、今私達が忘れようとしてるロードバイクの本質が何であるかを、改めて考えさせられるのだ。