冬の間にやっておきたいことがある。常圧低酸素トレーニングを正しい手順で取り組んでいくことだ。というのも、いきなり酸素濃度15%や16%からやり始めると、体が慣れていないためパワーが本当にでなくなる。様々な論文や実験を見ていると、1200-1500mほどの標高に滞在し慣れてから2500-3000mの酸素濃度を試していく。
とはいうものの、常圧低酸素に対する体の反応は千差万別で、もともと生まれ持った遺伝子に左右されることが知られている。このことは、西薗良太選手が紹介していた東京大学の筋肉博士、石井直方氏の書籍にも書いてある。
講談社
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エベレスト無酸素登頂した人の遺伝子について。ちなみに、ある遺伝子を持つ人は誰一人として登頂していない。ちなみに、わたしはその遺伝子(T_T)
自宅に設置した常圧低酸素装置に45Lのゴミ袋を接続して酸素濃度計を着けてトレーニング。酸素濃度が落ち着くまでに数十分ほどかかる。はじめは19%ぐらいから始まり次第に17%まで。以前はSpO2(血中酸素濃度)をリアルタイムで計測しながらやっていたけど、メニューに集中できないし、個人差が多くどれだけトレーニングしてもSPo2の反応は改善されない。
はじめは改善を期待していたけど、どの論文をみても、どれだけトレーニングしてもSPo2は改善しないとのこと。まさに、生まれ持った才能に直面する瞬間。なので見ない。ただどれくらい落ちるかは把握しておく。SpO2は、85-90%ぐらい。どれくらいの濃度かというと、息止めて「げんかいだー!」のもう一歩先ぐらいの血中酸素濃度。
ギリギリのパワーそれほど落ちてないなーぐらいの辛さが今は17%ぐらいか。
そういや、豊洲にアシックスの低酸素トレーニングセンタがーできた。そこの説明に「低酸素環境は低負荷でも効果的なトレーニングができます」とある。実はこれは裏を返せば、普段よりも高負荷がかけられないという事だ。逆にこの部分が問題になっていて、本気のアスリートたちが低酸素トレをすると高強度がかけられない。
だから最近の低酸素トレはマチューがやってるLHTL(リビングハイ、トレーニングロウ)法という寝るときに低酸素テント、トレーニングは通常環境がスタンダードになっている。こちらの方法が成功率が高く、効果も出ている論文は多い。たしかにこのほうが、トレーニング強度を落とさず、低酸素に滞在する時間も長い。
実際に箱根駅伝の強豪チームはLHTLで低酸素テントで寝ているらしい。あとはウィギンスやサガンと言った選手も。とはいえ、準備期間で二週間、レース前のテーパリングで一週間など難しい部分も多い。また日本と海外では低酸素トレに対する研究のアプローチも違う。
- 日本: 試合に向けたピーキングのための低酸素室の活用
- 海外:トレーニング効果や効率を高めるための低酸素室の活用
どっちがいいか悪いかは人それぞれだけど、どちらかというと身体のパフォーマンスを向上させたいから私は後者。ただ、何度も言うように個人差が大きい。ハマればニセコクラシックのような奇跡も起きるけど、本当に続けてデーターとり続けないと傾向は見えてこない。
この冬は年末まで、ウェイトトレーニングと低酸素トレに慣れて新しい年を迎えたいと思う。
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