海外の人気メディア、Enduro MountainBike Magazineが行ったベストブランド2023の「コンポーネントブランド」の人気投票において、1位がSRAM、2位がシマノという結果が掲載された。
アンケートの対象エリアは、シマノの自転車機材の売上の大部分を占める欧州・北米市場だ。2万3000人以上にものぼるライダーが回答している。SRAMの人気は年々確実に増加している。一方で、シマノは年々人気が落ちてきている結果だ。
先般発表されたシマノの決算報告書によれば、エリア別の売上規模は海外が3539億8500万円、日本市場は106億9400万円と圧倒的に海外比率が大きい。シマノの自転車部品のエリア別の売上年間比でみると、北米が-35.9%、欧州が-35.3%で売上も確実に落ちてきている。
最近のSRAMコンポーネントの勢いは凄まじいものがある。ロード界隈はいまだ平穏だが、MTBではトランスミッションの開発、そしてUDHの普及など、SRAMのコンポーネントは着実に市場からシマノを締め出しつつある。
ロードバイクよりもMTBやグラベルに人気が高い海外市場において、なおさらシマノにとっては厳しい状況にある。2018年から6年以上も経過しているのにもかかわらず、XTRの新型出ていないことも致命的だ。その間、SRAMは幾度となくコンポーネントをアップデートしている。
MTBの世界ではSRAMが圧倒的だ。シマノからあっと驚くMTBコンポーネントが登場すればよいのだが、UDHがデファクトスタンダードになってしまったMTB市場でSRAMのフルマウントリアディレイラーの性能を超えることはかなり難しい状況にある。
現段階では、シマノのコンポーネントの人気が回復する材料はほとんどない。むしろ、SRAMが何年もかけて、そして気づかれないように、「規格」という兵器を使って業界から締め出しをしたたかに行ってきている状況にある。
シマノの次の一手、XTRの新型、そしてロード機材の改良なども期待が寄せられているが、SRAMの開発能力と新製品の投入スピードや市場の覇権を取る巧妙さは、これまで自転車コンポーネントの王様だったシマノを、窮地に追いやりつつある。