- オリーブオイルよりも抵抗(略
- 最も抵抗が小さいオイル
- 純正ボトルが×
- →小分けボトル小分けで対処
セラミックスピード社が行った実験によると、同社が開発したUFO DRIPは最も抵抗が小さいオイルだ。その抵抗の小ささは食用オリーブオイルを凌ぐという(?)。チェーンのワックスで抵抗が小さい製品と知られるMoltenSpeedWaxもあるが、チェーンを煮たり、施工時間が1時間以上かかったりとあまり利便性が良いものとは言い難かった。
しかしUFO DRIPは、通常時はさらさらとした粘度の低いオイルであるが、時間の経過と共に固まっていきワックス状(またはロウ状)に変化していく。その抵抗の小ささはあらゆるオイルを凌ぐ。これらの状態変化(液体から固体化する)は他のオイルと異なる点だ。
私は先日行われた美山ロードC1でUFO DRIPをぶっつけで投入し実戦テストを実施した。UFO DRIPは高価であるものの実際に抵抗の小ささを感じた。ただし、UFO DRIPは取り扱い方法や、施工方法に少々コツがいることがわかってきた。今回は「なぜ抵抗が低いか」という技術的な話題よりも、UFO DRIPを「いかにうまく扱うか」というUFO DRIPとの付き合い方にフォーカスして記事を作成した。
とはいえ、実験データーも必要だと思うのでセラミックスピード社の実験結果を先に掲載しておく。セラミックスピード社とfrictionfactsとの共同実験であり、これ以上でも、これ以下でもない。現状世界最速のチェーンオイルと言える(念のためMoltenSpeedWaxはワックス式なのでオイルタイプではない)。
では早速UFO DRIPの使い方や、純正ダメボトルの話、レースに投入して気になった事を綴っていこう。
使用方法
UFO DRIPはMoltenのような特殊な施工方法は不要だ。スロークッカーや温度計、待ち時間も不要だ。通常のオイルと同じように使用すればいい。ただし1つ気を付けねばならないことがある。「オイルが固形化するまで十分に待つ」ということだ。季節にもよるが、4~5時間すると完全に固形化する。元々、粘度の低いオイルなので、散布直後にチェーンを動かすことは全くお勧めしない。飛び散ってしまい本来の効果は無くなる。
そのため、前日の夜に丁寧に一コマづつ塗ることが望ましい。レース前日の夜に塗って翌日使うという使い方になるはずだ。
UFO DRIPはまるでワックス状(またはロウ状)に変化してチェーンにへばりつく。ただ、もともとのオイルはかなりさらさらしているため散布する量に注意が必要だ。あまりにも大量に垂らしてしまうと、ボタボタと落下していく(かなりもったいない!)。後述するが、UFO DRIPが入っている専用のボトルがかなり残念で正直に言うと、ま・っ・た・く使い物にならない。
このあたりの話は後ほど触れる。UFO DRIPは特別な作業は不要で通常のオイルと同様に使用する事ができるが、参考までに私が実施した手順と方法を記載しておく。やり方がわかる方は読み飛ばして、次章から読み進めてほしい。
以下は読み飛ばしてよし。
UFO DRIPを使用する前にチェーンをきれいにしよう。できれば超音波洗浄機とワコーズのフィルタクリーナーで洗浄するのが好ましい。ただ、実際に使ってみると普段のチェーン洗浄と同様にディグリーザーとブラシで洗っても十分汚れは落ちる。私はチェーンを洗浄するときにモータウンのチェーンディグリーザーを使用している。私の中でモータウンのチェーンディグリーザーは特にお気に入りだ。今ではリッター買いしている。
チェーンを洗った後は十分に水分を拭き取る。できれば完全に乾燥させることが望ましい。チェーンの水をウェスで拭き取った後、しばらく乾燥させておこう。バイクラックに洗浄したバイクを掛けておき、除湿機の風と工業用扇風機で一気に乾かす。そのあとはUFO DRIPを一滴ずつ垂らしていく、という順序だ。
どんなチェーンオイルであれ、私はここまで紹介した方法でバイクとチェーンを洗浄している。色々と書いたが、「いつも通り洗って、いつも通りオイルを垂らす」という手順で問題ない。
インプレッション
美山ロードのC1で使用した。そこで気づいたのは「漕ぎだしから異次元の軽さ!ギア2枚は軽くなる!」という事は一切ない。むしろチェーンの接触音が増大する。いわゆるチェーンオイルが切れた際の「チャラチャラ音」が発生して気になってしまった。
UFO DRIPを塗ることによって発生する「チャラ音」については、セラミックスピード社も認識しており公式に見解を発表している。「チャラ音は抵抗に関係ない」という実験結果が得られており、「ライダーは気にするけど抵抗には一切関係ない」というのがセラミックスピード社の結論だ。
という前提知識を持っていれば、UFO DRIPを使用したことによるチェーンサウンドの変化は気にならなくなるだろう。なお、漕ぎだしやローラー中に気になるのであって、レース中は一切気にならない(笑)。また、ギア変速が悪くなったり、メカトラが起きたりすることは一切なかった。むしろチェーンが全く汚れないし、手で触っても汚れなかったから驚いた。プラシーボ効果かもしれないが、高出力で踏んでいるときに「若干なめらかだな」という間隔を受けた。もしかしたらナスカルブのように極圧抵抗が小さいのかもしれない。
UFO DRIPを使用して思ったのは「最も抵抗が小さいオイルを使用している」という機材への満足度の高さだった。私の知りうる実験結果で、UFO DRIPよりも抵抗が小さなオイルは存在していない。他の選手より少しでも有利な機材を使用しているという「満足感」はレース中有利に働く。チェーンオイルの抵抗の小ささは明確に判断はできないが、あらゆる抵抗は小さければ小さいほうが良い。
レースで使用しても問題なく、プロに交じって最終集団に残り過去最高順位だったため(パワーは昨年よりも低下している)今後もUFO DRIPをレースで使用しても問題ないと判断した。ただし、問題は価格設定だ。どう考えても1万円は高い。UFO DRIPの常用は、サラリーマンのお小遣いを考えると非常に厳しいと感じた。これらのデメリットを解消するソリューションについては後述する。
デメリット
最も抵抗が小さなオイルという響きは魅力的だ。しかし、気になる点も多数存在している。デメリットについてもしっかりと触れておきたい。UFO DRIPは確かに抵抗が小さいというメリットがあるが、扱っていくうちにデメリットも見つかった。
純正ボトルの使い勝手が悪い
純正の容器は専用の化粧箱に入っておりとてもかっこいい。だがしかし、「チビチビ使いたいのに一気にこぼれ落ちるダメボトル」だった。ただでさえ高価なオイルなのに1滴たらそうとすると3~5滴は垂れてくる。大量にドバッと出てしまうのだ。全てのチェーンに垂らすまでに、数十円無駄にしてしまった。もうすこしノズルの穴を小さくしてほしいのだが・・・。
ただ、このボトル問題は容器を変えることで解消できる。具体的には「AZ調整式オイラー針ノズル(324円)」が最も使いやすくコストもかからなかった。このオイラーが良いところは、オイルが出る量を調整できる点にある。チビチビ使うには最高のオイラーと言える。
UFO DRIPを使用する場合は必須のオイラーだ。
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値段が高い
UFO DRIPは非常に高価だ。僅か180mlのオイルで8964円、ということは1mlあたり約50円というとんでもない価格設定である。ワコーズのチェーンオイルが180mlで1713円で1mlあたり9.5円だから約5倍の価格設定だ。まさに決戦用オイルにふさわしい価格であるが、抵抗を極限まで減らす欲望に終わりはない。しかし、常用することは考えないほうがいい。
まさに一発決戦用だ。ただし、多少価格が高くても極限まで抵抗を小さくしたいのならば絶対使ったほうが良い。だって、「抵抗が最も小さい」と実験でわかっているのだから。
解決:小分け
UFO DRIPのネガティブな面、デメリットは「高価」「ボトルがクソ」という2点だ。これらの問題を解決するソリューションとして「AZ調整式オイラー針ノズル(324円)」を使用しいくつか小分けすることにした。もしも今回の記事を見て
「1本買うのは気が引けるけど、オイラーごと少量分けてほしい」
と思った方は「Twitter」か「Facebook」から連絡してきてくだされば。
ちなみに、180mlと表記があるが実際に測ってみたところしっかりと180ml(126gだったので比重は0.7)入っていた。1gあたり71円だ。
ちなみにこんなこと↑をやって小分けしてお譲りしても、私にとってメリットは全くない。ビン詰め内職作業、梱包作業、発送作業、ポスト投函と手間しかかからない。とはいえ、3本買ってしまって当分レースが無いので使う機会が無いのも確かだ。そのため、当ブログの読者の方向けに興味のある方は小分けしようと考えた。
- セラミックスピードUFO DRIP 12g(17ml):852円
- AZ調整式オイラー針ノズル容器:324円
- クリックポスト送料:185円
- 送付用封筒:48円
- 手数料:100円
なおS-WORKS VENGEのチェーンにすべて塗ったところ1.3g消費した。ということは12g(17ml)で9.2回分使えるということになる。
上記のコストがかかっているが、キリの良い1600円で良いよという方が居れば手持ちをお譲りしたい。今のところ5個ストックがある。5個までクリックポストに同梱できるので必要個数を明記して連絡してきてほしい。ボトルは2本あるので大人買いでもおk
追記:残り2本になりました(滝汗)
まとめ:高価だが抵抗を極限まで抑えたい方に
6月以降はビックレースが目白押しだ。全日本選手権のロードとTT、ニセコクラシック、乗鞍、沖縄とこれらのレースを1年の集大成として設定している選手も多い。また2013年の全日本選手権タイムトライアルの大場選手と西薗選手の接戦のように、1.261秒差で負けてしまうような極限のレース展開も十分ありうるだろう。
ほんの1秒の差で勝敗が分かれてしまうような世界では、UFO DRIPが救世主になってくれるはずだ。速さは金で買えるのである。これから開催されるレースに向けて、機材のアドバンテージを求めている選手にはこれ以上にないチェーンオイルだ。Amazonで品切れの場合は私のところに予備が2本あるので何かしらの方法でDMしていただければお譲り致します。
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