スペシャライズドがAethos(エートス)を発表した。新モデルは完成重量が5.9kg、フレーム重量が588gという軽量バイクで、”史上最軽量のディスクブレーキロードバイク”だという。それでいてライダーファーストエンジニアードにより乗り心地も両立している。
ディスクロードバイク史上最軽量であるが、AethosのフレームはUCI公認だ。レース用には設計されていないため、6.8kgの最低重量制限を大きく下回っている。SPECIALIZEDが掲げたAethosの開発目的は、エアロダイナミクスよりも「ハンドリングと乗り心地の良さ」を優先したバイクだ。
これまでのプロが対象ではなく、競技規則に縛られない究極の高性能ロードバイクを求めるライダーを対象にした。
カーボンの魔術師ピーター・デンク
Aethosは、スーパーシックスエボやスコットアディクトを生み出したカーボンの魔術師こと「ピーター・デンク」が開発した。
ピーター・デンクは、ペダリングの力やコーナリングの力など、フレームにかかる力がどのようにフレームに及ぼされるのかを追求したという。最適なチューブ形状を見つけるために、スペシャライズドのスーパーコンピューターで解析とシミュレーションが行われた。
カーボンの積層を追求していくことで、S-Works TARMAC SL6と比較して、材料を11%削減することに成功したという。チューブの肉厚自体はフレーム全体で確保しているが、積層が少ないため、全体の重量は大幅に減少している。
S-Works AethosはFACT 12rカーボンとレイアップテクノロジーを採用している。そして、フレームの重量は最も軽量なカラーリングでわずか588gだ。この重量は、56cmフレームの平均的な重量である。スペシャライズドによると、Aethosは重量に対する剛性の点で、Canyon Ultimate CF Evo 10.0 LtdやCervelo RCAのような主要なライバルよりも優れているという。
重量がかるすぎると、フレームの耐久性に不安がある。しかし、スペシャライズドによれば、S-Works Aethosは他の同種のバイクと比べても弱いというわけではなく、ライダーの体重制限は125kgだ。
Aethosは最近発売されたターマックSL7と同様に68mmのBSAネジ式ボトムブラケットを採用し、27.2mm径のシートポストが取り付けられる。142×12と100×12のスルーアクスルが付属し、フラットマウントディスクブレーキ仕様だ。
重量
56cmのS-Works Aethosの塗装済みフレーム重量は、サテンカーボン/ジェットが588g。その他の仕上げでは25~45g増となっている。S-Works Di2モデルの重量は、カーボン/カメレオンレッドゴールドで6kgだ。
フレームサイズによって重量も異なることが公開されている。サテンカーボン/ジェットの49cmフレームは平均550gだ。61cmフレームは643gであり、サイズが小さければ小さいほど軽量である。前述の通り、Founder’s Editionの重量は5.9kgだ。
ジオメトリー
AethosのジオメトリーはTarmac SL7と同一(スタックとリーチは若干異なる。
The All-New Aethos
価格
フレームセット価格は55万円だ(49サイズの重量550gにかけたわけではない)。TARMAC SL7のようにステムが付属していないため若干高い価格設定だ。
まとめ:史上最軽量のディスクロード
「ディスクロードは重い」という話は過去のものになった。Aethosの登場はディスクロードバイクの転換点になるのかもしれない。ロードシーンがVENGE一色になったように、アマチュアのヒルクライムシーンでAethos一色になることも十分考えられる。
しかし、SPECIALIZEDが掲げてきた「エアロこそすべて」というスローガンに沿うならば、TREKの「クライミングダイナミクス」のように重量とエアロ性能を総合的に考えたAethosの優位性もアピールする必要がある。公式にはそのようなデーターは公開されていないが、速く走るための要素として必要なのは軽さと、エアロ性能だ。
純粋にフレーム重量の軽量化がどれほど速さに結びつくのかは未知数だ。しかし、軽さこそすべてのホビーライダーにとっては、「史上最軽量のディスクロードAethos」が最も理想に近づく1台であることは間違い。
日東書院本社 (2020-07-20T00:00:01Z)
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