MAVIC Cosmic Ultimate UST Discが1,225gでついに発売へ!

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Photo: MAVIC

長らく発売が延期されていたCosmic Ultimate UST Disc(チューブレス)がついに発表される模様だ。リムは3Kカーボンからより軽量なUDカーボンに変更された。フランス本国や日本でもCosmic Ultimate UST Discが新製品としてアナウンスされている。Cosmic Ultimate UST Discには大きな特徴が5つある。

  • 3Kカーボン廃止、UDカーボンに。
  • チューブレスで重量1225g(チューブラー1240g)
  • 一体成型のR2R(リム to リム)楕円カーボンスポーク
  • カーボン製極薄フランジハブ
  • チューブレス対応、リムテープ不要のホールレス。
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UCI Wheel List.

Cosmic Ultimate UST DiscのUCI承認はまだ未通過だ。チューブラーのみ承認されている。

公式情報が間違っていなければ、チューブラーよりもチューブレスモデルのほうが15g軽く仕上がっている(本件の重量に関してはまとめで後述)。それぞれのモデル共に、リム以外の構成と構造はすべて共通設計だ。そのため、単純にチューブレスリムの重量が7.5gずつ軽い計算になる。

Cosmic Ultimate Discは、軽さ、剛性、NACAプロファイルを採用したエアロダイナミクスを最高レベルで融合したホイールだ。構造面を考えても、Lightweightと肩を並べる究極のカーボンチューブレス/チューブラーホイールといえる。

基本的な構成は、リム以外が共通の設計だ。そのためチューブレスリムとチューブラーリムに分けてCosmic Ultimate Discを確認していく。

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チューブレスリムの仕様

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Photo: Mavic

  • チューブレスリム
  • リムハイト:45.0mm
  • リム外幅:27mm(26mm設計から+1mm増)
  • リム内幅:19mm
  • 左右対称リム

Cosmic Ultimate UST Discのリムは、リムハイトが45mm、リム幅が27mm、リム内幅が19mmと最近のホイールにしては、非常に保守的といえるリムプロファイルで構成されている。エアロダイナミクスを求めた場合、よりワイド化し30mm以上のリムもざらにあるがMAVICは+1mm増加の27.0mm設計にした。

リム内幅は19.0mmであり、ひと昔前の設計にとどまっている。BONTRAGER AEOLUS RSLは23.0mm、ROVALは21.0mmとリム内幅を広げたトレンドの設計を考えると19.0mmは古い設計といえる。リム内幅を広げることによるメリットはいくつかある。

リム外幅を広げることによる恩恵については、以下の記事を参考にしてほしい。

ホイールの空気抵抗を減らすタイヤの105%ルールとは?
ひと昔(といっても2000年代前半)の機材を眺めていると、とても細いタイヤを使っていたことに気づかされる。タイヤと歩幅をあわせるようにリム幅も細く作られ、ロープロファイル(リムハイト低い)のホイールが多くみられた。それに対して、昨今は太いタイヤとディープリムが主流になってきている。 これらの機材の変化は単純に「速く走ること」や「快適な乗り心地」を追求した進化の形と言える。F1は毎年のように複雑な形...

まず、タイヤ内のエアボリュームが増えることで、同一空気圧であればヒステリシスロスが減少する。逆に言えば、内幅が広くなれば空気圧を下げてもヒステリシスロスは据え置きになる。これらはすでに実験結果として出ており、リム内幅が1mm広がることにより、およそ0.3bar下げても抵抗は据え置きになる結果が出ている。

リム内幅を広げることによる恩恵については、以下の記事を参考にしてほしい。<

Bontrager Aeolus RSL 51 インプレッション 真の性能はエアロにあらず
「ボントレガー史上最速のホイール」 製品開発において前作を上回ることは各社の至上命令だ。メーカーが「前作よりも10%空力が劣るホイール」なんてものを作るはずがない。ボントレガーがリリースしたAEOLUSもそうだった。新製品が登場すれば前作を超える性能、新素材を使った目新しさ、軽量性を兼ね備えていることが最低条件になる。 最新機材のAEOLUS RSL 51で悩ましかったのは51mmの「1mm」の意...

リム自体はMAVICが早くから取り組んでいたNACAプロファイルだ。タイヤとリムで1つのNACAプロファイルを作るというもので、現在でも各社がこの方式を取り入れている。リム単体で考えるのではなく、タイヤとインテグレートした状態で1つのNACAプロファイルをつくる。

NACAプロファイルを作る理由に関しては以下の記事を参考にしてほしい。

どちらが空力が良い?なぜDragに重み付けをすべきなのか。
「エアロダイナミクス」という言葉は自転車業界で流行語のように使われている。新製品が登場すれば、必ずと言っていいほどDragデータを掲載し、前作モデルと劇的な格差をこれでもかと見せつける。しかし、これらの数値は「どのように計算」され「どれだけ現実的なのか」まで説明されていることはとても少ない。 2021年2月19日、筆者は自身で作成したホイールの性能を確かめるために風洞実験を実施した。風洞施設は、S...

今回、タイヤとの抱き合わせ販売がないため25Cや28Cどちらで最適化されるのかは公開さ入れていない。おそらく25C(実寸28.0mm前後)に合わせて設計されているのではないかと推測している。

そして、Cosmic Ultimate Discの大きな特徴の一つは、オールカーボン製モノブロック構造だ。モノブロックとは、「一体構造」や「一体成型」の構造を示している。Cosmic Ultimate Discはハブやスポークもカーボン製で作られており、すべてが一体成型だ。

接合部といえば、ハブとスポークの接着ぐらいでそれ以外はすべて一体成型という究極っぷりだ。そして、完全にチューブレス対応するためにリムベットには穴が開いておらず、リムテープが不要になっている。

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チューブラーリムの仕様

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Photo: Mavic

  • チューブラーリム
  • リムハイト:40.0mm
  • リム外幅:26mm
  • リム内幅:非公開
  • 非対称リム(リアのみ)

Cosmic Ultimate T Discのリムは、リムハイトが40mm、リム幅が26mm、リム内幅が非公表だ。チューブレスリムとほぼ同じリムプロファイルに落ち着いている。エアロダイナミクスを求めるとよりワイド化し、30mm以上のリムもざらにあるため、チューブレスモデルと同じく保守的なリム設計といえる。

リムプロファイルはチューブレスリムと同じくNACAプロファイルで構成されている。Cosmic Ultimate T Discもオールカーボン製モノブロック構造だ。ハブやスポークもカーボン製で作られており、すべてが一体成型で構成されている。

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Photo: Mavic

Cosmic Ultimate T Discのみリアリムが非対称設計だ。非対称のリアリムは、カセット側の棚の角度を最適化してある。非対称リムにすることで、スポークの張力の左右バランスを均一にすることができる。横方向の応力により耐えられるというメリットがある。

チューブラーリムとしてはめずらしくリムベットに穴が開いていない。リムセメントを塗ってもリムホールから溶剤が落ちないのがうれしいメリットだ。

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R2R技術

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Photo: Mavic

R2R(Rim to Rim)技術は、スポークがリムの端からハブを介してもう一方のリムまで一直線に伸びている構造だ。そのため、見た目は「2本」に見えるスポークは実際は「1本」のスポークで構成されている。スポークは一方向性(UD)カーボンファイバーが使用されており、伸びることはない。

カーボンスポークを使った場合、Lightweightにも採用されているR2R構成が最上級の構造だ。CADEX、VORTEX、LUNといったブランドもカーボンスポークを使用しているが、交換式のカーボンスポークを使っているうちは、R2R構造は超えられない壁だ。

スポークはリムと一体化されている。そして、リムとリムの間を橋渡しするように1本のカーボンスポークが配置されている。ハブとの接続は一体成型のように見えるが、ハブフランジに接着されている構造だ。この接着はLightweightでも同じように行われている。

Lightweightで採用しているハブフランジとの接着よりも、Cosmic Ultimateのほうが一体成型感があり余計な隙間もなくシンプルだ。

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楕円形カーボンスポーク

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Photo: Mavic

スポークは、楕円形のカーボンファイバー製スポークを採用している。本数は前後共に20本だ。新型のCosmic Ultimateのカーボンスポークで素晴らしい設計だと感じたのは、「楕円」と「扁平」をホイールの部位で可変させていることだ。

エアロが必要な部分、外に露出している風を切る役目を担う場所には楕円カーボンスポークを採用している。そしてハブ部分に近づくに従いカーボンスポークを扁平させ(!)フランジと接着するためにスポーク幅を広げて表面積を広げる工夫が読み取れる。

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1つのスポークは確かに一直線で接続されているが、エアロ効果を高める場所には楕円を採用し、ハブ側には扁平で表面積を広げ接着効果と剛性を高める工夫が施されている。MAVICの技術情報には載っていないが、これらは構造的にも魅力的であり資金力があるLightweightとMAVICでしかなしえない構造だ。

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ID360ハブ

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ハブは以下のメーカーに対応している。

  • シマノ
  • SRAM 11速
  • SRAM XD-R 12速
  • カンパニョーロ10/11/12速
  • N3W 13速

スルーアクスルを採用しており業界標準の12×100、12×142だ。ディスクローターはセンターロックのみ対応だ。

ハブの内部には、最適なプリロードが得られるように自動調整されたシールドカートリッジベアリングが軸が配置されている。リアには、ID360フリーホイールシステムを採用しており、40ポイントで9°づつかみ合う。ID360は素早い噛み合わせと摩擦の低減を実現している。

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重量

Cosmic Ultimate UST Discの重量は1,225gでフロントが560g、リアが665gだ。

Cosmic Ultimate T Discの重量は1,240gでフロントが565g、リアが675gだ。

リムハイトも異なり同一条件で比べることは難しいが、構造が複雑であるチューブレスモデルのほうが軽いことは驚きだ。Cosmic Ultimateはアネシーにあるマヴィック社が設計、製造、特許を取得しており、すべてフランスでハンドメイドされている。

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まとめ:Lightweightと並ぶ究極の回転体

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UDカーボンに変更され、燦然と輝く「ULTIMATE 」のロゴがカッコイイ。

Cosmic Ultimate UST DiscとCosmic Ultimate T Discは、構造や使用している素材を考えてみても、Lightweightと並ぶ究極の回転体であることは間違いない。しかし、リムプロファイルをROVALやBONTRAGERと比較した場合、1世代前の設計である感覚はいなめない。

しかし、重量が1225g(カタログ重量詐欺は考慮しつつも)という強烈な軽さを備えたチューブレスホイールだ。この重量に肉薄するのはITLABの45mmで実測重量1222g~1230gが存在するが、ここであれこれ書くのはお門違いなので参考情報程度にとどめておく。

価格は海外で3,400ユーロ(450,000円)だ。国内定価に変更なければ528,000円だ。

ひとつ気になっている公式情報として、重量の記載内容がちぐはぐになっているのではないかと思っている。現在公開されている2022の情報だとチューブレス1225g、チューブラー1240gだ。しかし、2021年モデルのチューブラーモデルのカタログ重量は「1225g」だった。

おや・・・。

もしかしたら正しい情報は、チューブレス1240g、チューブラー1225gかもしれない。そして、MAVICホイールの実測重量は多くを語らずとも過度な期待は禁物だ。それらを差し引いてもCosmic Ultimateのような構造のホイールはLightweightしかなく構造的、重量的にも非常に魅力的なホイールといえる。

https://www.mavic.com/ja-jp/cosmic-ultimate-ust-disc-rr1207.html
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