10年前の書籍『自転車競技のためのフィロソフィー』をいまでも読み続ける理由

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先般紹介した、廃盤になった書籍『自転車競技のためのフィロソフィー』(柿木克之博士、2012)は私のトレーニングの基礎になっている名著だ。書籍の発売は2012年9月1日だ。この記事を書いているのは2022年8月31日だから、ちょうど10年前の本になる。

10年ひと昔といわれるが、書いてある内容は現代でも通用するのだろうか。10年経過した今だからこそ、本書に書かれている生理学的な「普遍的な内容」が本当に通用することが証明されてしまった。

いわば、時間の経過が、本書の答え合わせをしたのだ。

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生理学からみたトレーニング

生理学的をベースにして、トレーニング方法にアプローチしたは『自転車競技のためのフィロソフィー』が今でもわたしのトレーニングの基礎になっている理由は、生理学ありきのトレーニング内容がまとめられているからだ。

現代は、ZWIFTの各種ワークアウトや、TrainerRoadで人気のCARSONだとか、ああいった「メニューありき」のほうが何も考えなくても良いし、簡単で、入門者にも飛びつきやすく、人気がある。しかし、あのメニューが生理学的にどのような効果があるのかを、はっきりと理解して実行している人は少ない。

(あえて、難しいことを考えさせず、思考停止にさせるのも戦略の一つだが)

「FTPが○○%上がる(可能性が高い)メニュー」なんて言葉は目を引く。そもそもこれらは難しいことを省いて、だれでもすぐに(何も考えさせず)取り組めることが優先されている。しかし、本来は「生理学的に考えたら、このメニュー」というような順番でトレーニングを考える必要がある。

本書の組み立てをざっと説明すると、

  1. 自転車レースの特徴と定量化へのアプローチ
  2. 自転車競技に関わる代謝の基礎知識
  3. トレーニングの定量化について
  4. トレーニングの効果
  5. トレーニングの基本単位構成(メニュー)
  6. トレーニングの目標
  7. トレーニングの構成
  8. トレーニングの管理

私が、何度も読み返しているのは1と2だ。というのもこの1と2を読むとつらい負荷に耐えられるようになる。理由は、体に何が起こっているのかはっきりと理解できるようになるからだ。

「今感じているこのつらさは、LT値付近で最も効果のある負荷ゾーンだ」

という動機づけがよりいっそう深まる。いままで、「このメニューにはどんな意味があるのだろう・・・」と1度でも考えたことのある人こそ読んでほしい。わたしは本書を読んだことによって、

「つらさと自分が、近づいた」

と感じている。「つらさ」とは、自分自身の中で確実に存在しながらも、どこかふわふわした得体の知れない、無形のつかみどころのない体の「拒否反応」だと思っていた。しかし、本書を読むことで、生理学的に「つらさ」の正体が理解できた。

体の中で何が起こっているのかを理解できると、つらいメニューもこなせるようになる。

10年前の本だが、今でも画期的だと思うことは、「1~3月の冬の時期は短時間高強度錬に集中すべき」とLSDに対しては当時から否定的だった点だ。夏の時期は気温の関係から高強度練習がやりにくくなるため、短時間高強度は冬に行うという事を推奨してきた。

2021年10月~3月にかけて、冬の間も高強度練習を行ってきた理由は本書の影響だ。今年のパフォーマンスをみると、一定の効果はあったように思う。

本書の内容に対するエビデンスとしては、英語論文の参考文献リストが3ページにわたって並んでいる。普遍的かつ、流行に左右されないトレーニングの基礎がまとめられた良書だ。ただし、現在は廃盤になっているため入手できない。

実は、私は2回購入している。2回目は中古で200円ぐらいで買ったのだが、当ブログで昨日紹介したところ定価の2倍以上する価格に跳ね上がっていた。できれば、本書をベースに加筆修正した内容で再販してほしいところだ。

著者紹介

柿木克之[カキノキカツユキ]
愛知県名古屋市出身。東北大学工学部化学工学科卒業。同大学院工学研究科化学工学専攻前期・後期課程修了。オックスフォード大学生理学科“Science and Medicine of Athletic Performance”コース留学。東北大学反応化学研究所(現多元物質科学研究所)、JSR株式会社を経て、パワーデータ解析とアドバイスを専門に行うBlueWych合同会社を設立。
日本自転車競技連盟(JCF)医科学部会員

自転車競技のためのフィロソフィー
柿木 克之(著)
5つ星のうち3.5
¥3,519 (中古品)
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