トレーニングの基準は心拍?パワー?

スポンサーリンク

私の基準はパワーです。

パワー(ワット)は瞬間的に数値として反応しますが、心拍(bpm)はかなり遅れて数値として現れます。トレーニングを行う際、リアルタイムでデーターを確認する必要があるため、基準として使用することを考えるとパワーのほうが利便性が高いといえます。

トレーニングを定量化し、データーを解析することを考えると、TrainingPeaksやGarmin Connectといったソフトウェアで解析しやすいのはパワーデーターです。

以上のことから、トレーニングを行う場合の基準はパワーですが心拍計が不要かというと決してそうとは言い切れません。

心拍センサーは腕バンド式のPolar Verity Senseをいつも使用。Photo: watashi_daさん

私が自転車を始めた頃はパワーメーターといえばパワータップとSRMしかありませんでした。そのため、ポラールの心拍計でマフェトン理論を行っていました。この理論は、心拍数を基準にしてトレーニングを行う方法です。

現在では、先程記した通りパワーメーターがあるため心拍数を基準にすることはありません。しかし、調子やフィジカルの向上など「体の変化」を確認するために、私は必ず心拍計を使用しています。

たとえば、長いオフ期間や怪我からフィジカルを高めていく時に顕著にわかることがあります。「パワーは低いが、心拍が高い」というような身体の反応が読み取れます。実際に、今年肺炎にかかって肺に水が溜まりSpO2が80%まで下がり、病み上がりから立て直す期間にこの傾向が確認できました。

具体的には、L2のゾーンで心拍が160bpm近くまで上がりました。ただ、2ヶ月ほど練習を続けていると、160bpmでL4~L5程のゾーンが出せるようになります。つらいことは変わりませんが、フィジカルが向上し同一の心拍数でL4~L5というゾーンでトレーニングできるようになります。

この変化は、パワーメーターではわかりません。別の基準となる心拍を継続的に計測することでわかることです。心拍計がなくとも、「同一負荷でも楽に感じる」というのはパワーに対して心拍が低くなっていると推察できます。

今年9月と10月のデーターを比較した結果は以下です。

左グラフ「Power vs Hert Rate」、右グラフはTSSを積み上げたもの。

左側のグラフは「Power vs Hert Rate」で心拍に対してどれ程パワーが出ているかを示しています。タテ軸が心拍、ヨコ軸がパワーです。右のグラフはTrainingPeaksで言うところのTSSの積算推移です。

9月は病み上がりで低いパワーしかかけられなかったため、トレーニングのボリュームも少なく、TSSも低いです。この場合、「Power vs Hert Rate」のデーターで低いパワー領域における心拍数の高さが顕著です。

最も開きが大きい箇所を確認すると、9月は平均して119bpmで136Wしか出せなかったところが10月には169W(+33W)出せるように身体が変化しています。できるだけ低い心拍で大きな力を出せるのが望ましいわけですが、このように同一心拍でも出せるパワーに変化があることがわかります。

私自身、SSTはロードシーズンやシクロクロスシーズン問わず常に週5毎朝行っている定番のルーティンです。次はこのSST領域のパワーの変化を9月と10月で確認してみます。

青が7月、赤が10月。7月のほうが低い心拍で高い出力を出せている。

9月は277Wで162bpmでしたが、10月は同一の心拍でも285W(+8W)に向上しています。確かに向上していますが、今年のベストパフォーマンスを出したニセコクラシックがあった5~6月のパフォーマンスと見比べると、まだまだ本調子ではないことがわかります。

青が5月、赤が10月。5月のほうが低い心拍で高い出力を出せている。

今度は逆に、低いパワーのゾーンにおける心拍の違いはありません。しかし、L4以上のゾーンにおいて出力に対して心拍数が顕著に低いです。同一心拍で100ワット以上違うポイントもあり、それだけ心拍をあげずに高いゾーンに余裕をもって走れていた事がわかります。

データーを並べると、一目瞭然ですがトレーニングの基準としては「パワー」を活用し、身体パフォーマンスが下がっているか、上がっているかなどは「心拍」を「パワー」と合わせて活用しています。

Photo: マルコマルオ氏

また、ウォーミングアップで心拍が上がっても楽に感じるときは調子が良いなど身体の変化も続けていると心拍でわかるようになります。例えば調子が良いときは、

「心拍は高いけど、呼吸は楽に感じる」

など。

パワーも心拍もどちらも数値として現れますが、数値の意味は全く異なり、活用方法も異なります。基本的にトレーニングは狙ったゾーンに対して、狙った出力(パワー)を出すことを最優先にしています。その際に、心拍は見ませんし、ガーミンには室内だろうが外だろうがそもそも心拍を表示していません。

トレーニング中はおろか、レース中や外練習において心拍を見ていません。あとからデーターを精査する際に振り返って、追い込めたか、追い込めなかったか、前月と比べて同一負荷で心拍が下がっているかなどを確認するという使い方をしています。

したがって、パワーメーターと心拍計の長所をかけ合わせて総合的にトレーニングに活用しています。この方法は、続けてきて個人的に行っている自分の体の変化を確認するものなので知ったからと言って強くなりません。

ただ、「トレーニングの方向性は間違っていない」ということが”あと”からわかります。もしもトレーニングについてまだ経験が浅いなら、トレーナーの指示にしたがって、「トレーニングの方向性を正しく導いてもらう」という”いま”から正しい方向に向かう必要があります。

おそらく、お金払ってコーチ雇ったほうが近道です。私は10年ぐらい遠回りして今でも路頭に迷っていますが、10年前にコーチ雇って正しい方向性に早い段階から導いてもらうほうが良かったのではないかと後悔しています(とはいえ、お金を払うだけの価値のあるコーチが、日本にどれほどいるのかという別の問題もありますが)。

というのも、年齢を重ねることは止められません。

10年前の3万円のコーチング料は、10年後に投資する3万円とは違います。何百倍もの価値があります。長期運用を見越した株式投資と近いところがありますが、時間の効果はとても大きいものです。お金がない若いときから株式投資をコツコツしたほうがいいように、トレーニングも同様です。

すくなくとも、おっさんの私がこの年になっても今年(2022年)前半に人生最高のパフォーマンスとFTP更新できるという事実で、「俺にもできるんちゃうか」という気になってもらえたら記事を書いた意味があると思います。

今回、Twitterで質問を受けた回答なのですが、気が向けば記事として回答できる範囲でいたします。

匿名で聞けちゃう!IT技術者ロードバイクさんの質問箱です
直接は聞きにくいことや秘密の質問でも何でも聞いちゃおう
Ads Blocker Image Powered by Code Help Pro

広告ブロックが検出されました。

IT技術者ロードバイクをご覧いただきありがとうございます。
皆さまに広告を表示していただくことでブログを運営しています。

広告ブロックで当サイトを無効にして頂き、
以下のボタンから更新をお願い致します。