世の中には、珍しい人がいて、私なんぞのトレーニング内容を知りたいという人が極小数いる。トレーニングについてDMを頂いたのだが、目新しいことは何もやっていないため記事化はしないつもりでいた。
結論を言ってしまえば、平日は毎日2種類のメニューを繰り返しているだけだ。そして、長年やってみて、自分に合う合わないを取捨選択した結果が今から紹介するトレーニングのルーティンだ。
したがって、私の生活スタイルの中で最大効率を求めた結果なので、ほとんどの人に合わないとおもう。結論は、このメニュー、というよりも「ATP生成する為の回路を強化する」ということだけしか考えてない。強化するために、時間と強度をうまく調整している。
3種類のメニュー
- SST 25min x2
- Vo2MAX SI 30sec x15 x2~3set
- 土日ロング:3~6時間ノンストップ、レース前箕面第1をL5(5.4~5.5W/kg)x15本
度々登場してるこれらのメニューはすでに固定化している。ZWIFTで組まれているメニューやTrainerRoadのメニューはやってみたけど合わなかった。というのも、エビデンスが無かったのでそもそも信用してない。
このメニューを行う理由は単純だ。
- SST:LT値ギリギリを維持し、有酸素系を向上させるため
- Vo2MAX SI:解糖系と有酸素系を向上させるため
- ロング:体のエネルギーを枯渇させるため。脂肪を使う体(低燃費)にするため
重要なことだと考えているのは、できるだけ「有酸素系でATPの生成が間に合うようにする」ということだ。高いパワーを出しても、有酸素系でまかなえるような体にしたい。この間に合うようにする性能が上がれば上がるほど、いわゆるFTPが向上することと同じ意味を持つ。
最も重要なのが2番目のVo2MAX SIだ。今年6月にFTPを更新、GARMINのVo2MAXは84も、このメニューをやったからかもしれないと思っている。というのも、Vo2MAX SIは20分走などの最大パワーを改善する報告がある。
とにかく、2系統を向上させる事を念頭に練習しているけど、有酸素系を手助けをしてくれる解糖系も強化しましょう、というシンプルなアプローチだ。あとは、意外と軽視されがちなロング。1と2ではなし得ない、糖質を枯渇させるであったり、脂肪の燃焼効率を上げるために行っている。
糖質を徐々に減らしながら170km~200kmほどを走って、最後に登りを設定し必ず出し切ること。10分ぐらいの峠を設定している。これは、ペース配分や、無駄な脚を使わないようにするためには、どんなエネルギーマネジメントが良いのかを、今でも何度も繰り返し試している。
したがって、私はCARSONとか、ZWIFTのメニューなんぞ、一切やっていない。「時間」と「強度」だけに注視する。
あとはレース前ならCTLを130-140程になるように調整する。TSBは回復基調でプラマイゼロになるように。
時間を捻出
メニューと同じくらい重要なのは「どれだけ練習時間に割り当てるか」だ。SSTは朝やるので会社の出社時間までをやりくりする。Vo2MAX SIは夜やるので、会社からの帰宅時間、娘と息子を風呂に送り届けた瞬間に、ローラー部屋にダッシュし、メニューを完遂する。
夜にローラーをする時間はわずかであり、子供がお風呂にはいって、寝る準備をはじめるまでがリミットだ。したがって、時間効率を考えて短時間、高強度インターバルが優先される。
子供が寝てしまうその前にメニューを完遂する必要があるため集中できる。練習後、子供が希望する絵本を読む。トレーニングの優先度は低い。絵本のプライオリティは高い。子どもとの時間を犠牲にしてまで、トレーニングを優先度するつもりはない。休日は家族の時間を大事にしたいため、単独の場合は基本的に早朝4:30に起床し5:00~8:00で決まった峠を登る。
200km近いロングがある場合でも11時~12時には帰宅する。その後、ジャージに着替えて家族を連れて遊びに行く。このように、子供と家族の時間、仕事でフルタイム働きながら、ブログを買いたり、Youtubeで動画撮影、編集を行える。
私は学生時代に、「時間がない」と本気で思っていた。どう考えても、今から思えば時間管理がクソだっただけだ。私は、夕食以外の朝食、昼食も自分で作っているけど、まだまだ時間は捻出できると思う。時間がないのではなく、捻出していない。作ろうとしていない。
まずは、テレビと携帯を使わないことだ。そして、自分の時間をタダで奪っていくようなデバイスと、人間関係を断つことだ。友人や人のつながりは量より質だと思う。無限に付き合うことはできないから、人間関係も取捨選択が必要になる。
所属しているチームは何十人もいるが、連絡や一緒に走るのは3〜4人だ。ただ、それが無駄がなくていい。
特別目新しいことはない
私が行っているトレーニングは目新しいものではない。唯一、ベースになっている知識といえば柿木 克之さんの著書(現在では廃盤)の自転車競技のためのフィロソフィーだ。西薗選手がシマノレーシング時代に大阪にいらっしゃったときに、教えていただいた本だ。
当時、この書籍をベースにトレーニングの講義を西薗選手がしてくださった。
本書は「普遍的な」内容が書かれている。今でも度々読み返している。様々な本を読んできたが、トレーニングメニュー云々というよりもATPを作る回路の話を多分100回ぐらい読み直している。
1回で理解できないほどの情報が詰め込まれている良書だが、書いてあることが難解であるがゆえ読み解くことに苦労する。運動生理学ベースで、トレーニングメニューが書かれているので腑に落ちる内容だ。
それゆえ、細かいトレーニングメニューが載っていない。「ATPを生み出す工場を強化するための”つらい”方法」しか書かれていない。もし、ATPって何?というレベルの人がいたらいろいろなトレーニングメニューを行う前に基本の「き」を抑えておいてもよいかもしれない。
600円ぐらいで買える。