なぜ、初代ROVAL RAPIDE CLXはチューブレス対応しなかったのか?

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ROVAL RAPIDE CLXの2世代目が発表、念願のチューブレス対応をした。しかしなぜ、初代RAPIDEはチューブレス対応していなかったのだろうか。正確には、1世代目もチューブレス対応していたが急遽「チューブレス非対応」としたようだ。

1世代目のROVAL RAPIDE CLX発表の前、ピーター・サガンがテストしていたとき、ロータリーを飛び越えて縁石にぶつかり、ホイールを壊してしまったという。

ここで問題となったのは、「ホイールが壊れた」ということではなく、チューブレスタイヤがリムから外れしまったということだった。タイヤがリムに収まったままであれば、バイクをコントロールしながら停止させることができ、クラッシュを回避できる可能性が高くなる。

Roval-Rapide-CLX-cross-section-rim-profile

チューブレスリムはチューブ付きとは異なる故障の特徴がある。チューブレスリムに亀裂が入ると、チューブレスタイヤ内の空気がリムの中に入り込む可能性がある。ここがチューブタイプと異なるところだ。

独特の破損で急激な圧力変化が生じるため、さらにリムにダメージを与える。結果としてタイヤが外れてしまうことがある。対して、チューブタイプのリムにクラックが入った場合は、チューブは破裂するかもしれないが空気はチューブとタイヤ内で保持される。

初代のCLXホイールはUCIのインパクト試験40ジュールをクリアしていたが、その衝撃基準は実世界での酷使には十分厳しいものではなかったため、ROVALはUCIの40ジュールでは不十分と考えたという。

UCIのインパクト試験は40ジュールをクリアすればいい。しかし、2世代目のRovalのテストは70ジュールまでテストされたようだ。この時、リムはクラックするかもしれないが、タイヤはそのまま残りリムは構造を維持されることが確認できたという。

インパクト試験ごとのリムの状態説明は以下の通り。

  • 40ジュール:ダメージの可能性はあるが、問題なくライドやレースを終えることができる状態。
  • 50ジュール:ホイールは損傷してもタイヤはリムに残っている。システムも無傷なので、安全にホイールは回転して停止できる。
  • 50ジュール:ダメージはみられない
  • 60ジュール:ダメージの可能性はありますが、問題なくライドやレースを終えることができる状態。
  • 70ジュール:ホイールは破損してもタイヤはリムに残っている、システムも無傷なので、バーにつかまっていれば安全に転がりながら停止することができる。

2世代目で施されたこれらの耐久性の向上はすべて、カーボン自体のレイアップと材料の変更によってもたらされたという。

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70ジュールはどれほどか?

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UCIのインパクト試験では40ジュールの衝撃に耐えるだけでよい。ただ、実際にやってみるとROVALの指摘の通り少々甘い設定だ。2年ほど前、筆者自身も”とあるホイール”でUCIのインパクト試験を実施してUCIからの承認を得たことがある。

UCIの認証を取得しました ITLABホイール
UCI LIST OF UCI APPROVED WHEELS 2021年5月28日付けでUCIの承認を取得しました。合わせて公式サイトも更新いたしました。

最終的にはやはりROVALと同様の70ジュールまで耐えられるようなレイアップを採用した。この70ジュールに落ち着いた理由としては、カーボンの積層を増せば強度が増してさらに高い値の衝撃を加えてもインパクト試験に耐える。

しかし、カーボンの積層(レイアップ)は増せば増すほどリム重量は増加する。いわば、インパクト試験で与える衝撃とリム重量はトレード・オフの関係にある。そのいい塩梅のところが70ジュールだった。

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なお、積層を上げると100ジュールまで耐えられることを確認している。この強度を備えたリムを開発しようとするとリム重量は70g~100gほど増加する。これは、軽さを過度に追求するサイクリスト向けには”ウケ”が悪い。

では、ある程度の強度を保ったまま、積層を減らす(コストカットもできる)のはどこか、というのがメーカの腕の見せ所なのだ。

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まとめ:強度と軽さのトレードオフ

ROVAL RAPIDE  CLX

ROVAL RAPIDE CLX (Image credit: ROVAL)

推測だが、初代RAPIDEやALPINISTは70ジュールまで耐えられなかった(40ジュールギリギリの薄い積層)とすると、かなり攻めた(重量を軽くしたかった)リムだという印象だ。実際にやってみると40ジュール”程度”では実走に使うのは心もとない。

それゆえ2世代目のRAPIDE CLXは重量増が100g近く、さらに振りまわすのが重く感じるリムになるだろう。ALPINISTもしかりで、トータル重量はハブのダイエットで減っているが肝心のリム外周重量は強度を確保するために積層増加している。すなわち、外周重量が増加している。

ホイールにおけるカタログ上の重量は無意味だ。肝心なのは外周のリム重量だ。今回の2世代目はチューブレス対応したが、チューブドタイヤしか使わないライダーは1世代目のほうが軽いため、あえてプロファイルも同じで重くなった2世代目を使う必要はないだろう。

チューブレスタイヤを使用するユーザーは2世代目が必須だが、タイヤやシーラント、バルブを含めた総合的なシステム重量を考えると重量観点では良いホイールとは思えない。

1世代目も2世代目も空力が同じであるのならば、軽さとエアロを両立した「TARMAC SL7」のような1世代目のRAPIDE CLXが良いとわたしは結論づける。ただ、何度もいうが、チューブドタイヤで使う場合であってチューブレスは考慮していない。

今回のマイナーアップデートは、1世代目の在庫がはけた後に出すにはちょうどよいホイールだと思う。そして、リムプロファイルを変更しなかったということもエアロホイールが高止まりしているひとつの答えとしてもとらえることができる。

「世界最高峰のチームが使うから必ずしも良いホイール」と断言できるわけでもない。しかし、スペシャライズドは良くも悪くも本当に商売上手、巧みなプロモーションで世の中のサイクリストを丸め込む上手い会社だと痛感させられた、一連のローンチだった。

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