GOKISOホイールワイドクリンチャー38mmをインプレッションし記事化しました。「GOKISOホイールインプレッション 究極の回転体の真実」
私の中で話題のコメントを紹介したい。私は決戦用ライトウェイトを売り、すべての機材をカーボンクリンチャーにした。チューブラーは一本もない。理由は今こそカーボンクリンチャーの闇の部分について語ろうや25Cと23Cを比較転がり抵抗が小さいタイヤはどちらかで散々書いた。
しかし、カーボンクリンチャーの知名度や、信頼度、本当に走るのかなどは未知数だ。だがここにきて状況が変わってきている。先日の乗鞍で優勝した森本選手のリアホイールはカーボンクリンチャーとのこと。軽さが正義のはずのヒルクライムにおいて重量のデメリットを考えればチューブラーホイールがベストな選択だろう。
しかし、重要な駆動部であるリアホイールにおいてカーボンクリンチャーをチョイスしたという意味は大きい。森本選手自身が異次元の強さという事も大きいかもしれないが、「機材として」カーボンクリンチャーを選んだという事は私としては驚きだった
しかし、その驚きは次のようなGOKISOを開発する株式会社近藤機械製作所の代表取締役 近藤信夫さんのコメントを見て考えを改めた。そのコメントは次のように記されている。
この度弊社の社員、森本誠がマウンテンサイクリングin乗鞍で優勝しました。
今年の乗鞍は昨年と同様、天候に恵まれずコースを短縮しての開催になりました。
しかしながら条件の悪い中、途中経過は彼の持っている大会コースレコードを約1分短縮することが出来ていたことは、必ずしも重いホイールが不利にならないことを実証してくれたかと思います。
当日使用した自転車は総重量6.3kg、今の高性能自転車と比べると決して軽い方ではありません。さらに今回使用したホイールは前後で1.9kgにもなります。
「重量のハンディより転がり性能が勝れば業界の常識を覆せる」と信じて開発に取り組んでまいりましたので、今回の優勝は我々にとって非常に励みになったことは事実です。
ここまで応援していただいた皆様にはただただ感謝の気持ちで一杯です、この場をお借りしまして御礼の挨拶とさせていただきます。
代表取締役 近藤信夫
ホイール重量1900gとある。実際にGOKISOのハブ自体が重く、スーパークライマーハブはフロント230g、リアハブ445gだ。そして38mmのカーボンクリンチャーは旧型で480gである。森本選手が使ったカーボンクリンチャーは新型なのでもう少し軽いかもしれないが、驚くほど軽くはないのだろう。
私は次の一文にしびれた。
「重量のハンディより転がり性能が勝れば業界の常識を覆せる」と信じて開発に取り組んでまいりましたので、今回の優勝は我々にとって非常に励みになったことは事実です。
技術者魂にロマンを感じる。
森本選手は自他共に認められる強さを持っており、確かに何を使っても早いかもしれない。しかし実際にコースレコードを大幅に短縮した一つの要因に実験ではじき出された転がり抵抗の低さがあるのだろう。重量のハンディよりも、転がり抵抗が勝ったのだ。
森本選手のタイヤを見るとコンチネンタルのタイヤのようだ。このタイヤが20Cなのか23Cなのか25Cなのかは定かではない。実際にどのタイヤをチョイスしたのか知りたい。そして使ったチューブは。
実際のところ何を使っても早いのだろうが(二度目)、重量のハンデを物ともせずにコースレコードに迫るタイムだった点が興味深い。いづれ不動の地位を築いているチューブラーは、重量の神話が崩れカーボンクリンチャーの時代が来るかもしれない
テレビでブラウン管が当たり前だった時代から、液晶テレビに一気に変わったように、ホイール界にもパラダイムシフトの波が来る日もそう遠くないかもしれない。
少なくとも私は、決戦用ホイールもカーボンクリンチャーなのでこの話はうれしい限りだ。今後もカーボンクリンチャーを使って陰ながらこの発展途上の機材に期待していきたい。ちょっと、機会があればGOKISOのカーボンクリンチャーを使ってみたいのだが、数日だけでいいので愛用者として是非乗ってみたいものである。
河出書房新社
売り上げランキング: 91,321