ブリヂストンサイクルが1月下旬にRP8を発売する予定だ。RP8はハイエンドモデルのRP9の金型を流用し、使用するカーボンをT1100からダウングレードしたモデルだと噂されている。
RP9はブリヂストンサイクルが久々にリリースし話題になったモデルだ。バイシクルオブ・ザ・イヤーも獲得し2021年に最も注目を集めたバイクだった。
ところが、予想以上の売れ行きと材料不足により長期的な品薄に陥ってしまった。シマノの新型コンポーネントを搭載した完成車は、他社よりも1〜2割安い価格設定であったためさらに人気に拍車をかけた。
入手したくてもできない状態が続き、2021年9月の発表からいくらか時間が経ったがここにきて廉価版RP8が発表された。
ただ、このRP8はRP9の下位互換、いわゆるカーボンのグレードを下げたモデルだと言われている。金型を踏襲し、小物類も一部流用されるという。軽量かつ強度が高いT1100からT800やT700といった廉価版カーボンに変えることによるメリット、デメリットは以下の通りだ。
メリットは以下のとおり。
- 安い
- 材料が調達しやすい
デメリットは以下のとおり。
- 重量が増す
- 乗り心地が変化する(傾向がある)
BRIDGESTONEのRP8は、CANYONであればCFシリーズ、スペシャライズドであればPROやEXPERTシリーズ相当といえる。ハイエンドモデルと、廉価版モデルの乗り比べは以下の記事を参照していただきたい。
RP8のターゲットは?
RP8のターゲットとしては、エントリーグレードながらある程度しっかりとしたコンポーネントのバイクを所有したいユーザーだろう。また、昨今の自転車機材の高騰によりさらに高嶺の花となったロードバイク事情に対して、競争力のある価格設定になる可能性がある。
良いものを安くという戦略は、日本企業が取りがちな戦略だ。RP9のアルテグラ完成車が¥825,000という価格設定を考えると、RP8は新型電動105を搭載して60万後半で販売される可能性がある。
RP9のフレーム重量はそこまで軽くはなく、他社と同じくT800やT700の廉価版カーボンを使用するとフレーム重量は100g〜200g増加し1kgを超える可能性がある。しかし、RP9ゆずりの空力性能は踏襲するためある程度の性能は維持されそうだ。
ダウンチューブのロゴなども踏襲され、一見するとRP9と遜色のない仕上がりになるかもしれない。
RP8は買い?
RP9自体は非常に人気のあるモデルだ。スペックを考えても価格は海外の直販メーカーに対抗できる仕上がりになっている。しかし、2022年以降、続々とUCI新規定のバイクが登場し、新しい機構を搭載したバイクが開発されている状況を鑑みると、RP9の設計は少々時代遅れになりつつある。
そのうえでRP8という廉価版バイクの立ち位置を考えてみると、最新のバイクでなくともある程度の設計と、お求めやすい価格設定でエントリーグレードを探しているサイクリストは買いだと思う。
RP9の記事でも述べたが、TARMAC SL7やAEROADといった他社ハイエンドモデルを所有しているユーザーはあえてRP9を買う必要はないと考えている。となると、RP8が適したユーザーは、他社エントリーグレードモデルを検討しているユーザーかつ、新型105のDi2で組み上げを検討しているならベストマッチする可能性がある。
とはいえ、私自身が買いたいか、乗りたいかと問われたら、買いたいとも乗りたいという思いも弱い。この判断は各個人の考え方によるとおもうが、他社ブランド(キャニオンやスペシャライズド)のように、「ハイエンドとローエンド同時発売」という販売戦略を取らないと、話題性や印象に残らない場合が多い。
保守的なシマノですら、DURA-ACEとULTEGRAを同時発売する時代だ。
企業の規模や、予算の関係もあり難しかったかもしれないが、「RP8はRP9の廉価版」という面だけが強く印象に残らないようにプロモーションを工夫する必要があるのかもしれない。
それらを抜きにしてRP8はきっと良いバイクであると期待はしている。しかし、昨今の北米メーカーが新UCI規定で斬新かつ、革新的な技術を盛り込んだバイクが”廉価版であっても”続々と登場しているのをみると、RP8が買いかどうかの判断は非常に難しいところだ。