VENGE DISC 長期インプレ 完結編! ディスクロードの幕が開ける。

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*はじめに*
本記事は、VENGEを2000kmほど乗り込み、感じたこと、気づいたことをまとめている。ボイスメモや書き溜めたメモから起こしたものがほとんどであるが、その間にも各メディアや国内のレースでVENGEが話題に上がらない日はなかった。サイクルスポーツ2018年12月号のエアロロードの比較テストやツール・ド・おきなわ2018の優勝など、もはや最速のバイクとして誰も疑うことはないだろう。しかし、本記事を記している最中は、それらの情報は皆無だった。内容には「いまだ疑わしいディスクロード」という感情が見え隠れしている。それらもふまえて、VENGEに対する受け取り方の変化もくみ取りながら、記事を読み進めて頂きたい。

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photo:SPECIALIZED

あたらしいVENGEを深く知ろうと思ったとき、やるべきことはたった1つだった。VENGEを自分で購入し、理想のポジションと理想の機材で組み上げる。そのうえで記事を書く必要がある。自分のバイクとして乗ることは、私にとって重要なことだった。たとえば学習でも同じだ。参考書やセミナーにお金を出してハラをくくれば、求める要求の高さや取り組みかたも違ってくる。

54万円のフレーム、30万円ものホイール、DURA-ACEのコンポ一式。総額100万円ちかい投資をするわけだ。こんな大金、買うか買うまいか誰だって悩んでしまう。先般のVENGEの記事を読み返していくうちに、わたしはどこか物足りなさも感じていた。「実際に購入したわけではないし、最適なポジションと最適な機材でVENGEを評価できていない」と。

本当のVENGEのことなどは、ローンチで少しばかり乗った程度ではまったく理解できていないと思っていた。インプレッションにおいて重要なのは「お金を出して買うこと」と「レースからトレーニングまで使い倒すこと」そして「中立的な立場で正直に書くこと」この3つだ。VENGEの本質に迫るためには、自分のバイクとして所有することはマストだった。

長期インプレッションをおこなわずして、本質的な部分の理解などできるはずもない。

今回の記事は、私が体験したVENGEの一部始終をお伝えする。VENGEを購入して全て自分好みのセッティングで乗り込んでからインプレッションを行った。S-WORKSよりも注目されるVENGE PROとの比較も追加し、ローンチでは感じ取れなかった「真のVENGE」をお届けする。

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体感できる「速さ」

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photo:SPECIALIZED

VENGEは明らかに速い。どういうわけか速い。

たとえば、次のようなくだりから書き出したかった。「エアロロードなんて所せん、カタチだけだ。ウィンドトンネルで数値上速くったって、ライダーのCdAの方が大きいんだから速さの違いなんて感じられるわけがない。」と。そこらじゅうにあふれ返っているエアロロードに共通していることだが、この程度の印象しか持てていなかった。

いままでのエアロロードが期待はずれだったのかもしれない。しかしVENGEはとにかく速く感じる。

これが率直に感じたことだった。いつもならば「言われてみれば速いような気がする」とあいまいに感じる程度だが、VENGEは明らかに速かった。ZXRSと比べるから相対的に速いと感じているのかもしれない。ところがどう走っても、どう下っても、VENGEは速かった。下りの伸びの良さは怖さすら感じた。「エアロなんて体感できるはずがない」とタカをくくっていたのは間違いだった。

VENGEのエアロ効果は速度が上がれば上がるほどはっきりと感じとれる。例えば集団走行している時だ。勢いよく下りきってから平坦区間に入っても、自分だけがスピードの減衰が少ないことに気づく。前方投影面積の大小だけで言えば、ライダーが占める割合が特に大きいわけだし、ブラケットポジションや下ハンポジションの違いだけで、VENGEで削減された分のCdAはスポイルされてしまうかもしれない。

それでも、なぜか速い。

下り区間は踏まなくてもどんどん加速していく。VENGEをシェイクダウンしたときに下りでスピードが上がり過ぎてしまい怖かった。スピードがとにかく出る。オーバーラン気味になってしまってヒヤッとした。機材の評価は相対的な感覚でしか表現できないが、走りなれた道をであれば「これぐらいのスピードが出るから、これぐらい倒して曲がれる」という感覚がある。

VENGEに乗った途端、この感覚に狂いが生じた。

とにかく自分が想像しているよりも加速していく。高校で習った「v=v0+at」で示される「加速度a」がふだんの感覚とズレ始めていく。v0で走っていたVENGEは、時間tでは速度vに到達する。頭の中ではそうなるはずだった。予想していた時刻tにおける速度vは、頭で理解していた速度よりも速かった。感覚との狂いが生じていた加速度aは、想像以上に大きな値として存在していた。

でも、走ってると慣れてくるんだなこれが。

いつものコースで周回を重ねていくと、しだいにVENGEに慣れはじめてくる。いつのまにかバイクの挙動が読めるようになってくる。たとえばシクロクロスの砂セクションを走るとき、初めはなかなかうまく走れないけど、だんだんコントロールできるようになってくる感覚と似ている。「こうやったらこう」という感覚が次第に生まれてくる。VENGEを扱っていると、同じような感覚が生まれてきた。

体験したエアロダイナミクスの効果は2通りある。1つ目は「わずかな力で走れる」ことと、2つ目は「休める」ことだ。空気の抵抗を受けにくくなるからそのぶん進むことも楽だし、減衰するスピードは緩やかだだから脚を使わずに済む。そして、ローテーション中は脚を止めても前のライダーに近づいてしまうことが度々あった。

「わずかな力で走れる」という効果を感じたのは、ZXRSと同じ感覚でローテーションに加わると前方のライダーに詰まってしまったからだ。「そこまで力強く踏む必要はない」と理解するまで時間はかからなかった。ローテーションで前に上がっていくタイミングで脚を使わなくても済むのだから、そのぶん省エネ走行できる。

レース中できるだけパワーを温存することを考えると、周りの選手よりも力を使わずに走れることは大きなメリットである。100km、200kmと距離と時間が蓄積されるほど、VENGEのメリットはさらに増していく。

ここまで書いて言うのも変な話だが、ホンネを言えばエアロロードというバイクが嫌いだった。とにかく扱いにくいし、ブレーキの引きも最悪。そして利便性を無視したメーカーよがりなバイク設計にうんざりしていた。ところがVENGEはディスクブレーキ化と共に、ネガティブな整備面も改善してきた。さらに高いエアロダイナミクスも実現した。

速さを体感できるVENGEは、普段の何気ない走行すら変えてくれる。たとえば練習の集合場所に早く到着する、単独練習をしても帰宅時間が早まる。最もうれしいのは、朝練の帰宅時間が早くなったことだ(笑)。定時に開催されている朝練の帰宅時間があきらかに早まった。

レースにおける絶対的な速さも重要ではあるが、帰宅時間や単独練習がわずかにでも早まることは、アマチュアライダーにとってうれしい恩恵である。1日5分の短縮で、5日25分、30日で2.5時間の節約になる。VENGEは速度も生み出しサラリーマンの貴重な時間も捻出してくれる。

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試乗時と別物のVENGE

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いま私が操っているVENGEには、試乗会の段階で感じた印象など微塵も残っていなかった。なぜだろうか。購入したVENGEには自分の理想を追求した機材、適切なポジション、いつもの体調で乗れていることが大きな違いだ。試乗時のバイクはCLX64にターボコットンが取り付けられていた。足回りの影響からか、ややモッサリ感を感じた。しかし、私が乗っているVENGEは似て非なるもので本当によく走ってくれる。

試乗で試したVENGEはタイヤが支配的だった。ターボコットンと6barの空気圧は、VENGEという「バイクシステム」の印象をゆがめていた。自分の望むポシジョン、ホイール、タイヤ、空気圧まで細かくVENGEを煮詰めていくと、全体像がはっきりとわかってくる。

試乗会のVENGEと、私のVENGEの印象が全く違う理由はほかにもある。試乗会は飛行機とレンタカーを乗りついで、少々足がむくんだ状態かつウォーミングアップナシで乗った。西日本ロードクラシックのレース直前の練習で追い込み過ぎ(2日でTSS700程)て体の動きも悪かった。体の調子や、なれない土地、支配的な良いタイヤ(モチモチでよく転がるターボコットン6BAR)の影響は、VENGEというバイクの印象をゆがめるには十分だった。

試乗会で感じたファーストインプレッションと、これから記されるVENGEはおおきく乖離(かいり)している。しかし、今こうやって自分のバイクとして乗り込んだ後に書いている内容のほうが、もちろん精度が高い。次章では、レーススピードに近い領域における操作感覚について記していく。

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ハンドリングの良さ

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ハンドルを切るとすぐに、「操作がしやすい」という感覚が体に伝わってくる。最近の米国ブランドは設計が良くなった。トレール量も適正値で確保しているし、小さなサイズであってもジオメトリをよく考えられている。操作がしやすいバイクの特徴は乗っていて怖くないし、自分の支配下にバイクをあやつれる感覚がある。レース中の位置取りや、快適なライドを考えてみても、操作性まわりの快適性を犠牲にはできない。

今までのバイクの特徴というと、小さなフレームサイズになればなるほどトレール量が増してしまう傾向にあった。最近の米国ブランド(キャノンデール、トレック、スペシャライズド)はリーチ、スタック、トレール量の設計をよく考えていて、アンカーが提唱しているバイク設計思想ととてもよく似た設計に仕上げられている。昔のキャノンデールのバイクは、サイズ毎にリーチが逆転するナゾの設計のフレームが存在していた。新しいEVOではそれらが見直されうつくしいジオメトリに変更されている。

それでもVENGEを初めて乗った時は怖く感じた。いくら設計が良くても操作のクセを初めから読み取る事は出来ないし、どんな動きをするのか見当もつかない。しかし、走るごとにVENGEの操作感はみるみる変わっていった。次第に感じはじめたのは、バイク全体の重心が低く安定していることだった。

ディスクブレーキ化に伴って、バイクの重心位置は大きくアップデートした。リムブレーキ式バイクと比較するとコンポーネントの位置が全体的に下がっている。ディスクロードバイクの構造を観察すると気づくことがある。フロントハブとリアハブ中心を結んだライン上に、主要なコンポーネントが集まってきている。ディスクロード化による重心位置の変化については、別章のコラムで記した。「コラム:ディスクロードの重心位置」

VENGEはエアロロードらしからぬ操作しやすいバイクだ。おそらくエアロ効果よりもステアリング周りの操作の良さに驚くだろう。

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柔らかく硬いVENGE

剛性については「システム剛性」という考え方をしなければならない。もしも試乗会でVENGEに乗る機会があるとしたら、CLX64とCLX50の両方のホイールをかならず試すべきだ。できれば事前にマイバイクでターボコットンを使用してフィーリングを理解しておけば完璧である。空気圧ももちろんチェックして、いつもと同じ条件でVENGEを試すことが望ましい。足回りのセッティングひとつで、VENGEの印象は良くも悪くも大きく変わってしまう。

VENGEの剛性はTIME ZXRSよりは硬い。試乗したときの第一印象だ。あえて剛性について書いておきながら言うのもアレな話だが、インプレッションにおいてフレームが「硬い」「柔らかい」という話は、もはや意味をなしていない。「パリッとした」「乾いた」「魔法のじゅうたん」と表現されたって、いったい「何の機材の話」をしているのかさっぱりわからない。

これまでバイクシステムという総合的な剛性を考えるまでに至らなかったのは、ワイ、反省しないといけない

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完全体として組み上げられたバイクに対して、1つの要素(コンポーネント)のみを切り出して剛性を判別できるわけがない。そこでコンポーネントが組み合わさった結果としてのカタチ、バイクシステム全体がどうであるのかを評価せねばならない。とはいいつつもバイクシステムという単位でバイクの印象をとらえられたとしても、ライダーが感じている「剛性」のほとんどはタイヤに支配されている。

1杯のコーヒーで知った自転車機材のこと
先日いつものカフェでこんな話をしていた「車やバイクの雑誌に比べると、自転車雑誌はとても少ない」と。自動車やバイクのカテゴリは、市場と規模の大きさから様々な趣味趣向の雑誌が存在している。そして雑誌やメディアを支えるライター、評論家、専門家...

それらを理解した上で、今まで乗ってきたバイクと相対比較した結果を書き残しておきたい。

  • ZXRS:コスカボUST, MAVICイクシオン25C, 6.5BAR
  • ZXRS:コスカボUST, コンチGPTT 25C, 6.5BAR
  • VENGE:ROVAL CLX50, MAVICイクシオン25C, 6.5BAR
  • VENGE:ROVAL CLX50, コンチGPTT 25C, 6.5BAR

ZXRSはやわらかくてしなやかなフレームだった。そうなってくるとVENGEはZXRSと比べて「相対的にみると硬い」という表現が正しい。ところがSL4のようなカチカチフレームと比較するとVENGEはそれほど硬くないフレームだ。VENGEの剛性を絶対的な硬さ(N/m)として示せないものの、今まで乗ったバイクの中でも特に乗りやすいバイクだった。

VENGEの剛性について質問されたら「私のレベルでも自由に扱えるし乗っていても楽しいフレーム」と答える。厳密にいうと同社のオールラウンドモデルS-WORKS TARMAC SL6とVENGEの乗り味はまったく違う。VENGEは十分な剛性を確保しているが、むやみやたらなガチガチ感はまったくない。ふんばりながら、わずかにたわんで、わずかに押し返してくれる硬さだった。

「押し返してくれるような硬さ」VENGEのフィーリングを一言でいうのならこの表現におちつく。

どーん!って押しかえすんじゃなくて、ぅぅぅぅうわああああぁぁぁ…みたいな。

TARMAC SL4のように「テコでも動かない」ような硬さはみじんも感じない。2014年頃の開発戦争と言えばユーザーを置き去りにした「重量剛性比」を各社が競い合っていた。どれほど軽く、どれほど硬くすることにやっきになっていた。最近では、フレーム剛性過多に関して昔ほど気にすることはない。VENGEも前作よりも剛性が上がっているが、表だってアピールしていない。

ユーザーが真に望んでいることは、「そこ」ではないのだと、メーカー側も気づいてきたのだろう。

「前作よりも○○%剛性がアップ」ということを前面に押し出した新製品がでてきたら、少々時代遅れだなと感じてしまう。スペシャライズドのライダーファーストエンジニアード(サイズ別の剛性調整)もVENGEでうまく発揮されているし、なにより踏み込んでもSL4時代の鉄板を踏んでいるような違和感もない。

次章からはTARMAC SL6とVENGEの違いについてまとめる。

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VENGEとFact 11r

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TARMAC SL6とVENGEを実際に使ってみて思うのは、どちらが良くて、どちらが悪い、という区分けをすること自体無意味だということだった。それぞれのバイクは、方向性が全く異なっているのだ。まずはVENGEとTARMACに関して気づいた違いから書きつづってみたい。まずは使用しているカーボンについてだ。

カタログスペックを注意深くチェックしている方はすでにお気づきかもしれないが、SL6とVENGEで使用しているカーボンに違いがある。SL6はFACT 12rでVENGEはFACT 11rだ。なぜ最新のVENGEに最新のFACT 12rを使用しなかったのだろうか。ローンチでキャメロンさんに聞き忘れた重要な事である。

そして、その真相は今でも闇の中だ。

ただ海外のニュースサイト(BIKECHASER.com)にヒントが隠されていた。その記事は、「Specialized S-Works Venge Review (Versus the Tarmac SL6)」だ。その一文を抜粋しよう。

Regarding the FACT 12r on the Tarmac versus the FACT 11r on the Venge, this is what I got back from Specialized directly:

Essentially the Tarmac frame structure was designed first and foremost for lightweight and stiffness. Because of this, the 12r material was used to amplify that design. The Venge frame had a structure that was focused first on aerodynamics. Using the more premium material wouldn’t have provided a tangible weight or stiffness benefit on that frame.

Originally I thought it might be a cost savings thing here, as the Venge has more frame material. Thus, if you built that bike with the Specialized FACT 12r on the Venge, you might be up for a $20,000 bike. Not practical. The jury is still out if my assumptions are incorrect here!

Reference source:BIKECHASER.com(Specialized S-Works Venge Review (Versus the Tarmac SL6))

ご存知の通り、TARMAC SL6の開発には「軽量化」と「高剛性」という2つの目標を掲げ設計がされた。そのためにはFACT 12rを使用することが必要だった。対するVENGEの開発では、エアロダイナミクスの向上に重点を置いた設計を行った。しかし、FACT 12rを使用したとしても剛性や軽量化のメリットはそれほどなかったようだ(VENGEにおいては)。

コスト面の問題にも触れられているが、TARMACとVENGEでは使用されているカーボンのパターンが違う。それはフレームの姿かたちを見れば一目瞭然だ。カーボンレイアップの数で比較するとTARMACは約300個、対してVENGEは約500個もの数で構成されている。となってくると単純に考えてコスト面の話も出てくるかもしれないが、実際のところはやはり開発者しか知らないのだろう。

ところでFACT 11rを使用するVENGEに対して「11rのvengeはだめだ、12rとはまるで違う!」などとは微塵にも思わない・・・。

カタログスペック好き、あたらしモノ好きにとって「FACTカーボンの番号が若い」ことは残念な話かもしれない。しかし今こうやって11rで存在しているVENGEに対して剛性面での不安は感じないし、むしろSL6と比べても違いがみあたらない。12rを使えば重量面であと数グラム軽くできるとしてもコストアップされてしまっては、ユーザーも容認はしないだろう。

次の改良版VENGEは12rで登場するかもしれないが、現時点での最適解はやはり11rなのだろう。ここで重量面をチェックしてみたい。もペタル、ケージなどが付いていない56サイズの完成車(DURAコンポ)重量は、

  • S-Works Venge 7.1kg(Roval CLX64)
  • S-Works Tarmac SL6 6.65kg(Roval CLX50)

が実測重量(Reference source:BIKECHASER.com)だ。VENGEにCLX50を使うとほとんど差はなくなってくる。たとえVENGEで12rを使用したとしても重量面で大きなアドバンテージを生み出す事は期待しにくい(それならホイールを軽くした方がいい)。カタログ上の違いは明確に両者をわけるが、実際に乗るとどうだろう。次章からはそれぞれのバイクの違いについてみていく。

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VENGE vs TARMAC SL6

「あたらしいVENGEはTARMACのエアロ版だ」確かに見た目はそう思った。しかしそれぞれのバイクを乗り比べてみると、まったく違う方向性の乗り物だとわかる。VENGEで感じられた「味」はTARMAC SL6(リムブレーキ)では感じられなかったし、SL6で感じた「味」もVENGEでは感じられなかった。それぞれのバイクは根本的に「気質」が異なっている。

TARMAC SL6は「あなたが踏めば、わたしもしっかりと進ませてもらいますよ」といったバイクだ。言われたことを忠実に守るタイプで(逆に言われたこと以外はやらないとも受け取れるが)、ライダーが指示した通り正確にバイクが動いてくれる。SL6との付き合い方は、さっぱりとしたドライな関係でうまくいくイメージだ。

対するVENGEは「あなたがそこまで踏むのなら、もう少しだけ粘っちゃおうかなぁ」という、バイクがこちらに合わせてくれるようなやり取りが楽しめる。ちょっとおせっかいだけど、1度で終わらないやり取りがつづく。言うなれば、少し込み入った付き合いができるバイクだ。

誤解を恐れずにいうと、TARMAC SL6は世間一般的にいう「関東人」っぽくて、VENGEは「関西人」っぽい(これは偏見があるかもしれないが、とりあえずこの表現で話を進める)。

どちらが良くて、どちらが悪いという話ではないと前置きをしつつも、根本的に「気質」が異なっている。すこしばかり話は脱線するが、タクシーの運転手さんでも関東と関西で対応が違うのがおもしろい。

東京で乗ったタクシーの運転手さんには「お疲れですね、1週間お疲れ様でした」と話がそこで終わり、次の会話が細切れに始まっていくような話の展開だった。そして新幹線を乗り継いで大阪に到着し、大阪で乗ったタクシーでも同じように会話をしていると、「お疲れですね~、どないしたんですかぁ」と、関西のタクシーでは話のやりとりの続きを”求めて”きた。

関西のタクシーは「ほいで、それで、どした?」と、あいの手を入れてくる(場合がある、関西だからといってすべてではない)。いわゆるテンポがいい。TARMACとVENGEの違いも同じなのだ。TARMACは瞬間瞬間の単発的な能力を発揮してくれるし、VENGEは先を考えた走りかたをサポートしてくれる。私はZXRSとどことなくよく似たVENGEが好きになった。

TARMACとVENGEの気質の違いは確かにある。あとはライダーがどちらを好むのかが問題だ。それぞれのバイクの設計傾向が示す通り、得意とするレースも変わってくる。瞬間瞬間の対応が求められるようなクリテリウム、アタックが散発的に起こるレースではTARMAC SL6の能力が発揮されそうだ。入力に対して、しっかりとした出力を生み出してくれるバイクだし、長い登りを考えてもSL6の性能が生かされる。

対してVENGEが生かされるシチュエーションはどんなときだろうか。私がイメージしているのは、たんたんと長距離を刻み、バイクと手(脚)を取り合いながら走るような場合である。レースのクライマックスを冷静に予想しながら、もっていきたい展開に向かって突き進む。沖縄210kmやエンデューロのような走り方であればVENGEが最適だ。エアロ効果を十分に生かし、脚を使わず長距離を移動する走り方にマッチする。

そういう意味では、スペシャライズドのバイクの中で初めて「脚を残せるフレーム」に出会えたと言っていい。それが今まで乗り味が良くないと言われたきたエアロロードなのだから面白い話である。実はチームの実業団選手である近藤氏も同じような印象を持っていた。初代VENGEからVENGE VIAS、VENGE DISCと乗りついできている。VENGEは「脚を残せるフレーム」ということが同一見解だった。

ところで、一つ気になることがある。VENGE(Disc brake)とTARMAC(Rim brake)の乗り味の違いはいったいどこから生まれてきたのだろうか。考えられるのは、ディスクロード化に伴うジオメトリの変更がある。「ロードバイクトレーニングの科学 (洋泉社ムック)」によると、バイクフィーリングと「かかり」に大きな影響を及ぼしている要素として、チェーンステー長が関係しているという。

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競技種目が異なるとチェーンステーの長さは顕著に変わってくる。ピストバイクは390mm台だし、TTバイクも400mm以下と短い。ロードの標準的な長さは405mmだ。コンフォートバイクやディスクロードはたいてい410mmである。そしてシクロクロスバイクは有名な「魔法の数字425mm」だ。マウンテンバイクになると短いもので435mmほどになる。

ジオメトリとにらめっこしていると、トップ長やリーチはサイズによって大きく異なっている。ところがサイズ問わずチェーンステイ長はたいてい共通の設計だ。私の知りうる限り、フレームサイズによってチェーンステイ長をしっかり変更しているメーカーをあげると、COLNAGO、DE ROSA、TIME、BHが思いつく。TIMEの2005~2009年モデルは398mm、399mm、400mmととても短い設計だった。年が経つにつれてだんだん長くなっている。

VENGEとTARMACのチェーンステイ長を比べてみると、VENGE:410mm、TARMAC:405mmと5mmの違いがある。数ミリ違うだけでトラック用、TT用、ロード用、シクロクロス用の違いが生まれるわけだから5mmの差はとても大きいといえる。この影響からか、TARMACは踏み込んだ時にかかっているスイートスポットが(VENGEとくらべて)狭く感じる。結果的にTARMACはかかっている時間が短く感じる。

表現を変えてみれば、TARMACはイメージ通りの反応が良いバイクだ。対するVENGEのチェーンステイ長は410mmという影響からか、スイートスポットがやや広く感じる。そして、かかっている時間も長めに感じる。この感覚の違いは、たとえば「長い定規」と「短い定規」をしならせるときと似ている。

同じ剛性であっても長い定規は曲げやすいし、短い定規は曲げにくい。長い定規は曲げやすいからその分しなる量も多い。対して短い定規はあまり曲がらない。チェーンステイ長にも同じような現象が起こっているのではないかと推測している。

ためしにやってみてほしいのは、チェーンステイ長が405mmと425mmのバイクを乗り比べることだ。すぐにわかることは、反応速度と登坂性能に大きな違いがある。チェーンステイ長が425mmになると、登坂性能が顕著に落ちる。体感でわかるほどかかりが悪くなって、坂を進まなくなる印象をつよく受ける。実際には同じギア比、同じタイヤ、同じパワー、同じケイデンスで登っていれば速度は変わらないはずだ。しかし、なぜこのような錯覚を感じるのだろうか。

ここからは私の感覚の話で、推論だと前置きをするが、

チェーンステー長が違うバイクを乗り比べると、「かかっている」と感じる時間はたしかに違う。405mmのほうがかかっている時間が短く感じ、425mmのほうが時間が長く感じる。踏み込んだ時にスイートスポットで踏めていると感じるのは405mmだ。ところが425mmはリズムを合わせにくいし、進まない。

もはや感覚的な話で信憑性など皆無だが、これらの事象を文字に落とすと、405mmのチェーンステイの場合は0.3秒間(時間は参考)のスイートスポットがある。425mmは0.5秒間(時間は参考)ほどと長い。0.3秒しか踏めないと思いながら、慣れていない425mmのチェーンステイのバイクを踏むと、のこりの0.2秒(0.5-0.3)分の空き時間をどう処理したらよいのか迷ってしまうのだ。

秒数は参考だが、タイミングがずれるような感覚を受ける。そしてタイミングがしだいにに崩れてきて、425mmのチェーンステイのバイクはリズムがとりづらいと感じるようになる(のではないかと推測している)。ただ、「ロードバイクの科学」に書いてあるからといって、チェーンステイ長ひとつがすべての乗り味を決定しているわけではない。

TARMACとVENGEはほとんど同じような形をしているが、ジオメトリを比較するとstackもリーチも異なっているし、56サイズのstackを確認するとTARMACよりもVENGEのほうが10mm低い。この差は主にエアロダイナミクスに影響を及ぼすが、フレームの設計が違うこと、使用しているカーボンの素材も11rと12rで違うなど相違点は多い。

VENGE(410mm)とTARMAC(405mm)で感じた乗り味の根本原因とは、フレーム設計、使用カーボン素材、ジオメトリ(主にstack)など多くの要素が影響を及ぼしている事には違いないし、違いを生み出している要素は様々だ。それでもVENGEとTARMACそれぞれに「気質」があって「扱い方」は違う。

新型 S-WORKS TARMAC SL6 インプレッション
2017年11月1日インプレッション7〜14追加:7 インプレッション8 ジオメトリ9 剛性10 サイズ11 ホイール相性12 コンポーネント選択13 プロモーションと現実の乖離14 まとめ:TARMAC史上最も進むフ...
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S-WORKSとPROどちらを選ぶか

これ、最大の悩みだよね~。

VENGEの発表からずいぶんと時間が経ってから、VENGE PRO完成車が発表された。VENGE PROで驚いたのは、S-WORKS VENGEのフレームを踏襲していたことだった。そして、コンポーネントとホイールのグレードを下げ、コストダウンとプライスダウンが図られた戦略的な完成車だった。

PROのROVALホイールは”CLクラス”だ。リムは上位機種と同じでハブとスポークの設計が異なる。リムハイトは50mmでS-WORKS完成車の64mmよりもリムハイトが低い。ROVALホイールのリムハイトは32mm,50mm,64mmとあるが、使い分けについては後述する。廉価版CLクラスと、上位モデルのCLXはエアロスポーク、CLは丸スポークだ。ハブはCLXがセラミックベアリング、CLがノーマルベアリングを採用している。

S-WORKSとPROともにフレーム、ステム、ハンドルが「S-WORKS」だ。異なる点といえば、PROのダウンチューブのロゴはご丁寧に「S-WORKS」から「SPECIALIZED」に変更されている。名探偵コナン風に言えば、「見た目はSPECIALIZED、性能はS-WORKS」である。

S-WORKS VENGEをすでに購入しているユーザーたちは、PROの発売にどこか複雑な思いを抱いているかもしれない。しかし、よく考えてみると損をしているわけではなさそうだ。これらは求める条件の違いでしかない。好きなコンポーネントを1つ1つ選んで組み上げたい人はフレームセットを選べばいい。

CLX64やスペシャライズドの珍しいパワーメーター付きクランクがほしいのならば、S-WORKSの完成車がお買い得だ。コストパフォーマンスを第一に考えると、もちろんVENGE PROの完成車がコスパ最強だと思う。それぞれユーザーが1台のバイクに求める条件はまったく異なっているから、条件を満たすバイクを選択すればいい。

VENGE PROが発表されたとき、SNSや自転車界隈の反応を見ていたら、むしろS-WORKS VENGEよりもVENGE PROのほうが話題になっていた。S-WORKS VENGEの完成車は100万円を超える。スペシャライズドは価格であきらめていたユーザーたちを、お買い得感のあるモデルで一気に囲い込んだ。むしろPROの登場に喜んでいるユーザーたちのほうが多い印象すらある。

普及の兆しが見えるディスクロードの第1波は、2019年から始まると予想している。各メーカーは前のめりでプロモーションに取り組んでいるはずだ。VENGE PROが”後出し”された背景を考えてみると(推測だが)、TREKの新製品発表の時期と非常に近いことから、ライバルメーカーへのカウンター(隠し玉)としてVENGE PROを発表したと見るのは考え過ぎだろうか。

ユーザー観点で見れば、業界が相乗効果で盛り上がってくれるのはうれしい。そして鈍化するロードバイク市場を鑑みても好ましい動きだ。これからディスクロードが徐々に売れ始めるだろう。ドル箱になりかねない「1台目のディスクロード」という需要を獲得しようと、どこのメーカーもプロモーションや新車発売にやっきになっている。

ディスクロードを懐疑的にとらえるライダーもいまだに多いが、いよいよ普及するのは時間の問題になってきた。

そこでJCFの役員さん、はやく許可お願いします。

2~3年経過したとしてもリムブレーキユーザーの方が当分多く、シェアはそれほど変わらないだろう。5年後にはディスクが主流になっていると予想している。ただ、軽さや、機材規格、ロード特有のノスタルジーといった側面もロードバイクにとって重要な要素だから一概にディスクブレーキが良いとは言えない。ディスクロードにシフトをしない理由は無数に存在しているが、機材は過渡期だからこそ面白い。次章では組み上げる際に悩んだVENGEのアッセンブルを紹介していく。

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VENGEの機材構成

今回組み上げたVENGEのスペックと使用機材は以下のとおり。

  • S-WORKS VENGE 49(フレームセット)
  • ROVAL CLX50 DB(2019)
  • ディスクローター F140mm/R140mm
  • タイヤ:MAVIC UST イクシオン TL 25C
  • NoTubeシーラント 30ml(規定値は30-40mml)
  • AERO FLY2 380mm
  • S-WORKS POWER ARC 143mmサドル
  • S-WORKS STEM 100mm
  • コンポDURA-ACE 9100 Di2 油圧一式
  • クランク165mm

機材選択は好みが分かれるところだ。完成車を買っても良いと思うが、ホイールを自由に選びたかったことと、ディスクローター径が140mmを使用したかったためフレームセットを購入した。データーから考えてみても空力性能を高めたい場合はCLX64を選択するのが望ましい。私の場合はレース機材を想定しているから、1台目のディスクロードはオールラウンドで使えるバイクに仕上げたかった。

S-WORKS完成車と私が組み上げたバイクの違いは、ホイール、ハンドル幅、クランク長、ローター径である。

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ディスクローター径の選択

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ディスクローター径は前後140mmを選択している。普段の練習からレース、そしてCXのレースで走ってきた経験からローター径は140mmで十分だった。多くのメーカーがフロントに160mmを使用している理由については、シマノのお墨付きが関係しているようだ。

シマノのカタログにも書いてあるが、140mmローターをフロントに使用する事はシマノが推奨していない。とはいうものの、実際に使ってみると140mmで十分な制動力がある。もう少しこのローター径について考えてみたい。「シクロクロスでフロント140mmを使っているから、ディスクロードでも140mmを使う」という考えかたは、正しくもあり、間違ってもいる。先ほどの話にもあるとおりシクロクロスとロードを同じ土俵で考えてはいけない。

シクロクロスとロードではブレーキの使い方や制動時間がまったく異なっている。使い方や用途が共通している機材としてとらえることは避けておいた方がいい。シクロクロスは「短時間・制動力大」であって、ロードは「中時間・制動力小」だ(ヒルクライムを除く)。それぞれの特徴はレースでも練習であっても同様だ。

シクロクロスは、ストップアンドゴーが繰り返される。コーナーに侵入する際に一気に減速する。急な坂も下り降りねばならないし、深い泥の中も走る。シクロクロスはブレーキングの時間は短いが、大きなストッピングパワーが要求される。シクロクロスは寒い時期も影響しているからブレーキフェード(ブレーキを連続使用した結果ブレーキの制動力が低下する事象)も起こりにくい。対してディスクロードの場合はどうだろう。

ロードを走る場合ブレーキを使うのは微妙な速度の調整だ。ローテーション中にほんの少し前に出そうなとき、カーブに進入するときのわずかな調整、下り坂のスピード調整、どのようなシチュエーションでも体重60kg程度であれば140mmのディスクローターで十分だ。

しかし問題は使用する時期や長時間の下り坂にひそんでいる。関西ヒルクライマーの聖地六甲山は1時間近くヒルクライムが楽しめるコースだ。下りも長く30分以上かけて下山せねばならない。その際に140mmローターを使用すると、急こう配も相まってブレーキフェードが発生する恐れはある。

長いくだりを考慮した場合、体重と季節次第では160mmの準備しておいたほうが良いかもしれない。完成車に付属するローター径はどれもこれも160mmなのは「オールラウンドに安心して使ってもらえる」という安全面を優先しているようだ。どんな体重のライダーが乗るのかは、さすがにメーカー側もわからない。

一番小さなフレームサイズであれ、体重80kgの人が乗るかもしれないわけだ。もしもフロントブレーキローターに140mmを採用して「止まらなかった!」なんて事態をあらかじめ避ける狙い(保険)もあるのだろう。しかし30分も下りを攻める必要がなければ、よほどのことがない限り140mmを選択してもいいと思う(しかし何度も言うように保証はできない)。

日本のレースでは前後140mmがデファクトスタンダードになるように、アマだけでも協力するといいかもね。

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ROVAL CLX DB

ローター径は経験と実績から決定したが、ホイールも同じ考え方に基づいている。MAVICのコスカボUST DISCも検討していたが採用しなかった。理由としては雨天でも確実に止まるディスクロードにおいて、単純に性能だけ見ればCLXの方が良いからだ。過去にCLX32,40,50,64のリムブレーキ式を全て購入しテストしたが、すべて使ってみた上で以下の使いわけを提案したい。

  • CLX64:タイムトライアル、エンデューロ、登りが少ない長距離のロードレース、
  • CLX50:アップダウンのロードレース、高速なヒルクライム(伊吹山、富士)
  • CLX32&CLX50:ダニエルマーティンが好きな方
  • CLX32:登りがキツイロードレース、ヒルクライム、クリテリウム
ROVAL CLX50と64と32も全部インプレ! 究極の回転体に迫るカーボンクリンチャー
昨今のレースシーンにおいて、ディープリムホイールを使用することはマストだ。レースが高速になればなるほど発揮されるエアロダイナミクスの性能や、速さに直結する機材として、優位性が確実に認められている。プロアマ問わずレースを嗜む選手にとって、...

上記は、私が使うならばというひとつの例だ。参考程度にとどめておいてほしい。最後はご自身のレーススタイルにあわせたホイールを選択することが望ましい。「初めの1本」としてディスクブレーキホイール選びに悩んでしまったが、現時点で最高レベルのオールラウンドカーボンクリンチャーリムはCLX50だと考えている。

リム重量、ハブ(セラミックスピード)、エアロダイナミクスを考えても、50mmハイトのカーボンクリンチャーにおいて、ROVAL CLX50と互角に張り合えるリムはほとんど存在していない(価格には目をつぶらねばならないが)。唯一の対抗馬はENVE 3.4 DISC専用(新リム27.5mm/21.0mmプロファイル)やENVE 4.5 ARだ。

ENVEやMAVICは、DISCモデルとリムブレーキモデルでリムハイトや作りを明確に分けている。ENVE3.4のリムブレーキ版は440g前後のリム重量だが、DISCブレーキモデルは390g程とかなり軽く仕上げてる。ブレーキトラックの強度が必要なくなるため、カーボンの積層を減らし軽く作る事可能になった。

ENVE 3.4 DISCのリム重量が390g台というのはとても魅力的だ。CLX50の外周重量よりもおよそ60g以上軽い(リム内側のシェイプはENVEやコスカボUSTのほうがよいが)。

ENVE3.4のリムハイトは38mm-40mm少々とCLX50よりも10mmほどリムハイトが低い設計だ。リムハイトの高さを考えてもCLXはリムがとても軽い。ENVE3.4のリム内径幅は21.0mmとCLX50よりも0.03mm広い。この差がタイヤの転がり抵抗に良い結果をもたらすはずだが、実際は微々たる量だろう。

MAVIC USTのDB(ディスクブレーキ)も検討していたが、雨天時のCLXのブレーキ問題がもはや関係なくなり、軽さと、リム設計から考えてもディスクブレーキホイールの1本目はCLX50(20.7mm)を選択した。ディスクブレーキのホイールはまだ数が少ないが、Lightweightのディスクブレーキはまだやめておいたほうがいい。一昔前のリムプロファイルをいまだに使っている。

ところでCLXのリムブレーキとディスクブレーキ仕様のホイールを両方試してみたところ相違点がいくつかあった。ブレーキトラック面の処理、リムデザイン、使用しているリムテープ、スポークパターン、重量だ。

リムブレーキ版はブレーキトラック面が加工されている。対してDB版はトラック面の加工が無いため、ロゴがリムギリギリまで描かれている。ディスクブレーキで大きな力を受け止めねばならないためディスクローター側のスポークパターンもちがう。リムブレーキ版はフロントラジアルだが、DB版はブレーキローター側はタンジェント構成だ。

ディスクブレーキ仕様のホイールは、小さなディスクローターでブレーキの制動力を全て受け止める。そのためタンジェントで組まないと、ストッピングパワーに対応できない。フロントホイールのスポークパターンの変更がどれほどエアロダイナミクスに影響を及ぼすのか少々気になっていた。

ま、実際まったく違いはわからんけどな。

机上における想像はいつも膨らむもので、実際に走るとスポークパターンなどまったく気にならない(気がつかない)。無視できるほどの違いだから気にしなくてもいい。実際のところスポーク長が数ミリ変わる程度だし、もともと細くてエアロスポークなのだからラジアルだろうかタンジェントだろうがそれほど気にする必要はなかった。

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AERO FLY2 ハンドル

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VENGEのエアロダイナミクスの向上には陰の立て役者がいる。それはエアロハンドル AERO FLY2だ。ハンドルは空力改善に対して重要な役割を担っていて、フレームのダウンチューブをそれらしくエアロ化するよりも、ハンドルをエアロ化したほうが空力の改善効果が大きい。費用対効果で考えたら、エアロフレームを買うよりもエアロハンドルを買った方が賢い選択だ。

という話を頭の片隅に置きながら、風洞実験に熱心な各メーカーの「バイクシステム」を見てみよう。フレーム形状はどれもこれも似通っているし、当たり前だがディープホイールだ。そしてハンドルはどれも同じでハンマーヘッドシャークのように平たい。フレームどころか、各社のエアロハンドルを並べてみると、どれもこれも違いがわからない。

どのメーカーのバイクも似通っていることから、エアロを追求していくとコモディティ化し形状の差はなくなっていく。ハンドルをエアロ化することによる恩恵は、大々的にはプロモーションされていない。しかし「総合的なエアロダイナミクス」をよく見せるためには、非常に都合のいい機材だ。

ハンドルのエアロダイナミクスの話からハンドル幅の話に移そう。AERO FLY2ハンドルは380mmを選択した。試乗会のバイクは400mmが取り付けられていたが、「バイクの戻りが少し遅くてダンシングのタイミングがうまくとれない」というネガティブな印象だった。これはAERO FLY2がどうこう、VENGEのフレームがどうこうといった話ではなく、ハンドル幅の違いによる違和感だ。

VENGEに使い慣れた380mmを取り付けてみる。使用してみると感動してしまった。ありきたりな表現をすると「まるで今まで使い慣れた自分のバイク」だった。使用してみればすぐに納得できると思うが、VENGEを使用するとしたらAERO FLY2を組み合わせることはマストである。

AEROFLY2は、とてもよく考えられたハンドルだと思う。VENGE PROにも採用される理由がよくわかる。PROはフレームもS-WORKSなのだが、実はハンドルもステムもS-WORKSと同じものを使用している(スペシャライズドも思い切った)。今回のVENGEにはAERO FLY2が必要、というよりも必須の機材といっていい。その理由をいくつか述べると、

  • VENGEフレームに特化した設計
  • 油圧ブレーキホースの余剰スペース
  • Di2と油圧にやさしい設計
  • エアロダイナミクスに優れる
  • とにかく硬い

以上の5点だ。あえて書く必要もないがVENGEは「バイクシステム」だからこそ意味がある。フレームのみならず、ホイール、ハンドル、ステムすべてがインテグレートされた状態で開発された。逆のとらえ方をすると、どれか一つ欠けてしまっては最高レベルのエアロダイナミクスの恩恵は目減りしてしまうかもしれない。

2つ目の「油圧ブレーキホースの余剰スペース」は、ステムの長さを変更する際に考慮しておく必要がある。ステム長を変更した場合、ブレーキホースの余裕をあらかじめ確保しておく必要がある。ディスクロードはブレーキワイヤーホースの代わりにミネラルオイルが通る油圧ホースを使用する。「ステム長を変えたいから、ワイヤー長も変えないと….」という従来の方法は簡単に試せなくなる。

この「ホースの余剰」がおさまる部分は、AERO FLY2の変平しているハンドルトップの内部を利用する。AERO FLY2は文字通りエアロハンドルなのだが、手を置く位置が空力上、うすく、たいらになっている。このスペースをうまく活用することで、余剰分のホースを収納できる。

例えば普通の丸パイプハンドルの場合だと、油圧ブレーキホースの余剰を持たすことは難しい。AERO FLY2はエアロと整備面に優れた一石二鳥のハンドルだ。「Di2と油圧にやさしい設計」については、煩雑になりがちなシマノDi2ケーブル、油圧STIのホースルーティングの取り回しにマッチした設計になっている。

AERO FLY2には絶妙な位置にブレーキホース用の穴があけられている。STIから出た油圧ブレーキホースは一切妨げられることなくハンドル内部へと吸い込まれていく。先般の記事内でも紹介した通りAERO FLY2はバーテープを巻く場所が1段低くなっている。ハンドルのどの部分を握っても本当にフラットだ。ムダな突起や露出も無く、とにかくスマートだ。

Di2のケーブルもブレーキホースもうまく収納する事を考えると、もはやAERO FLY2ナシでは、VENGEが成り立たないのでは?と思えてくる。先般のローンチにおいてスペシャライズド社のキャメロンさんが語っていたとおり、「空気抵抗の改善が最も期待できるのはハンドル」という話もよく理解できる。

キャノンデールのSISTEMSIXや、TREKMADONEのハンドルの形状が示しているとおり、エアロ効果が高いことは一目瞭然である。各社のエアロディスクロードの姿カタチがどれも似通っているのは、エアロダイナミクスを追求した末の到達点なのだろう。ハンドル形状がコモディティ化しており少々つまらないが。

AERO FLY2のハンドルは、エアロダイナミクスにも優れているのでVENGE以外のフレームでも使用する価値はある。1/100の世界で戦うトラック競技でも有効だとおもう。硬くてエアロダイナミクスに優れたエアロハンドルはとても少ないし、それでいて380mmだからトラック競技にも使えるサイズだ(ほんとうは360mmがほしい)。AERO FLY2は3T SCATTのにぎりとも似ている。

AERO FLY2のサイズは38、40、42、44㎝の4種類。ドロップが130㎜でリーチは80㎜だ。38㎝はドロップ125㎜でリーチは75㎜とショートリーチを採用している。

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ジオメトリ

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悩んだのはジオメトリだ。ホイールのようにホイホイ変えられない。170cm前後の身長であれば、52がいいのか49が良いのか。いままでS-WORKS SL2,SL3,SL4,SL6と乗ってきたが、いつも52と49で悩んで49にしていた。じつはRETULを受けたところ52が適正サイズだった。170cm前後のライダーは迷いなく52を選ぼう。

私の身長は169.5cm(170mmとはあえて書かないことにしている)で、体重は57.0kg前後だ。余談だが体重が1ヶ月あたり5%以上減少すると、ホメオスタシスの危機管理機能が働く。いくら運動して食事を減らしても、体重が減りにくくなる。だから月5%以内の体重変化が望ましい。

結果的に減量が成功するのは、体の防衛機能が正常に働いている証拠だ。体重70Kgなら3.5kg、体重60Kgなら3.0kg、体重50Kgなら2.5kgだ。

ジオメトリの話から脱線してしまったが、フレームを選ぶ際にリーチを重要視している。より厳密に言うと、使いたいステム長とハンドルリーチから逆算し、フレームを選択しているといったほうが正確だ。フレームリーチは375mm-380mmほど、ステムは80mm-100mm、ハンドルリーチは67mm-80mmの間で調整している。

というのも、色々とポジションを試した結果を書いている。最もパワーが出しやすいポジションを探っていった結果がこの数値の範囲だった。最近のスペシャライズドやTREK、キャノンデールはジオメトリがとても美しいから安心して選ぶことができる。VENGE49サイズのリーチは378mmなので私が使いたい機材を勘案すると49に落ち着いた。

ジオメトリ選びでもう一つ参考になる情報を書いておきたい。私とほとんど同じ身長のチームメイトは52サイズを選択していた。スペシャライズドのサイズチャートを見ると170cmは52が適正である。自分の中に特別なモノサシを持っていないとしたら、サイズチャートとにらめっこするか、リテュールで最適なフレームを選んだ方がいい。

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重量

重量に関して言えば、S-WORKS TARMAC SL6が思い出される。TARMAC史上最も軽いバイクとしてプロモーションが大々的に行われた。しかしサイズや塗装の違いでカタログ重量と実重量が大きく乖離する結果となった。軽量バイクが欲しいユーザーたちは満足できなかったわけだが、ウルトラライトとノーマルの重量差がほとんどなかったこともユーザーを落胆させた。

今回のあたらしいVENGEの重量に関しても、あまり期待していなかったというのがホンネだ。

ディスクロードというジャンルを考えてみると、どうしても重量面でデメリットがあると考えていた。しかし、完成したVENGEの重量を量った結果は全く逆の結果になった。わたしの考えは間違っていたのだと認識した。重量に関していえば「フレーム重量」や「パーツ重量」も重要だが、組み上げた状態での「システム重量」が最も意味のある重さである。

フレーム単体では1mmも進みはしない。剛性でもバイクを1つの単位としてとらえた「システム剛性」が重要であるように、重量も同様にシステム重量を記載することにした。VENGEの重量は、ホイールシステム(タイヤ、スプロケ類すべて含む)、バーテープ、サイコンが含まれない状態で4427gだった。この重量内に含まれる機材を参考までに載せておく。

  • コンポ:DURA-ACE(ST,FD,RD,BR,CR)
  • PD-9100:234g
  • 純正サイコンマウント
  • プラクシスワークスBB(これが重い)
  • POWER ARC 142mm
  • ペダリングモニターセンサー
  • ステム80mm(付属品)
  • ハンドルAERO FLY2 380mm

BBは社外品のプラクシスワークスコンバージョンセラミックBBを使用している。こいつが120gぐらいあるから、付属するセラミックスピードのBBを使えばあと60gは削れる。あとはスプロケのギア構成やホイール選択、タイヤとチューブの選択、シーラント量でも完成重量は変わってくる。

参考までにROVAL CLX50 DBの実測重量は769.5 637.5g = 1407gだ。カタログ値よりも軽い。なお、リムテープを張り付けた状態の重量である。たとえばSOYOのラテックスチューブ51g x2、スーパーソニック180g x2、スプロケ208g(CS-9000 11-28T)、ディスクローター100g x2 が加わるとホイールシステム重量は前後で2277gだ。

先ほどの4427gと2277gを足すと6704gになる。サイコン100gやボトルケージが2つで50gとしても6854g程と非常に軽いバイクに仕上がる。もちろん最低限走るための装備をつけての話だ。油圧式のディスクロードとしては、思いのほか軽い。

私が愛用していたTIME ZXRSとコスカボUSTの組み合わせは7.2kgだから、およそ400gも軽いことになる。それでいてVENGEのほうが空力性能が高いわけだから、軽くて速いバイクがどちらかという議論は必要はない。カーボンクリンチャー50mmを付けたディスクロードが、6.8kgのレギュレーションギリギリに組めるわけだからどう考えても新型VENGEは魅力的である。

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コラム:ディスクロードの重心位置

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リムブレーキのバイクからディスクロードに乗り換えて気づいたことがあった。ディスクロードはコンポーネントが取り付けられている位置が全体的に低くなった。リムブレーキ用キャリパーは形を変えてホイールの中心に近づき、ディスクローターはホイールの真ん中に位置している。

ハンドル回りに集中していたケーブルワイヤー類は、ブレーキオイルのホースとしてバイク全体に分散した。ディスクロードは取り回しや利便性が悪くなったかもしれないが、余分なホースが無くなったことは軽量化にも寄与している。

フロント油圧ブレーキキャリパー、ディスクローター、クランク、フロントディレイラー、BB、リアディレイラー、リア油圧ブレーキキャリパー、ディスクローターと、バイクを「動かす、止める」という主要な部品が、キャリパーブレーキと比較して低い位置に集中している。ディスクロードはその機材構成から「低重心化」も実現してしまったのだ。バイクを乗った時の安定性は確実に増す。

バイクを振った時の挙動や、どっしりとした感覚は、主要な機材が取り付けられている位置も大きく影響している。ディスクロードであまり語られることがなかった低重心化だが、実際に使って観察してみないと気づかないこともあると考えさせられた。

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コラム:ドル箱のインテグレートシステム

最近のエアロロードは、フレーム単体のエアロダイナミクスだけではなく、ホイール、ステム、ハンドルと組み合わされた状態でテストが行われる。すべてがインテグレーションされた状態でエアロダイナミクスを追求していくと、フロントホイール~ハンドル~フレーム~リアホイールへと、風が抜けていく一連の流れを考慮した設計に行き着く。

スペシャライズドのように自社ブランドでホイールやフレームを作っているメーカーは、エアロダイナミクスの分野においても有利な開発が行える。エアロダイナミクスの向上のためには、「バイクシステム」というすべてがインテグレートされた状態で空力がどうであるかが重要だ。

ところで販売面から見ても「バイクシステム」は都合がいい。すべてがインテグレートされた状態でメーカーはバイクを売れるのだ。あれこれ抱き合わせで機材を売れるから完成車は一石二鳥といえる。スペシャライズドの場合はコンポーネント以外すべてを自社でまかなえる。チューブだって、ライトだって、バーテープだってなんだって自社で統一できる。

自社ブランドでパッケージングされた完成車はユーザーを囲い込むのに好都合だ。サイクリストはトータルコーディネートを強く意識する。スペシャライズドのフレームなら、ROVALホイールをつけたいし、ハンドル、ステム、ボトルケージもスペシャライズドで統一しやすい。

TREKならボントレガーでそろえられるし、トータルとしてまとまったバイクの方が良く見える。キャノンデールもKNOTというブランドでSISYTEMSIX用にホイールを開発した。サイクリストの独特の趣味趣向は、企業にとっても好都合になる。

全てをパッケージングして販売し、自社ブランドに囲い込んで販売拡大を図る。エアロロードの未来は、企業の資金力、開発力、トータルコーディネートができるかにも左右されていくのかもしれない。

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VENGEの細かい話

ここまでの話は、VENGEというバイクについて大枠を記してきた。次章からはすこし細かい話や、使っていて気付いたポイントをまとめていきたい。主にVENGEを使っていくうえで役立ちそうな情報を網羅的にまとめている。

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スルーアクスルの規格

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VENGEで最も気になっていたのはスルーアクスルの規格だった。シマノやSRAM、カンパニョーロが「ロードは12mmアクスル」と業界標準として規定しても、実はもうひとつ気にしておかねばならない規格がある。それは「ネジのピッチ」だ。

ディスクロードのデファクトスタンダードの規格はフロント100mm幅の12mm径で、リアが142mm幅の12mm径だ。しかし問題はねじ山のピッチである。ピッチはフレームメーカーによって異なる場合がある。そしてサードパーティでスルーアクスルを購入する際にネジピッチは1.0mm、1.5mm、1.75mm、2.0mmと4種類ほど存在している。

あたらしいVENGEのスルーアクスルのネジピッチは1.0mmだ。もしもサードパーティ製の軽量なタイプと交換する場合はネジピッチを注意してほしい。とはいうももの、やはり純正に勝るものはないし、もともと軽いシャフトが採用されている。

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スルーアクスル用六角レンチ

パンクしたときに「ハッ!」とするかもしれない。スルーアクスルを抜くためには、専用のレンチが必要だ。クイックリリースを使い慣れたローディーたちにとって、スルーアクスルの取り外しは新鮮な体験かもしれない。とはいうものの、六角レンチで回すだけだ。VENGEのスルーアクスルシャフトを外す際は7mmが必要になる。自転車の機材で4mmや5mmの出番は多いが、6mmのレンチは初めて使用した。

VENGEのスルーアクスル用にひとつ6mmの六角レンチをそろえておきたい。長さはツールボックスに入るものを考慮して短い方がいい。そして使いやすさを考えるとPBSWISSの六角レンチがいい。理由はL字部分が90度ではなくやや鈍角になっている。このため、チェーンステイとレンチの間に指を挟む心配もなくなる。

大抵、バイクを上から見下ろすような形でスルーアクスルのシャフトを回す。そんな姿勢でもやや鈍角になっているPBSWISSのレンチは作業がしやすい。

Amazon APIのアクセスキーもしくはシークレットキーもしくはトラッキングIDが設定されていません。「Cocoon設定」の「API」タブから入力してください。
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コラム:洗車してわかるVENGEのエアロ

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ここまで見てきたとおり、エアロダイナミクスを追求したVENGEは無駄な出っ張りが一切ない。スルーアクスルシャフトにはレバーすらついていない。ケーブル類は全て内装化している。Di2のジャンクションもシートポスト裏に内装されているし、バイクのどこをなぞってもなめらかだ。風がうまく流れるようにフレームが作り込まれている。

実際に購入して「そういうことか」と思ったのは、以外なことに洗車のしやすさだった。水をかけて、スポンジでVENGEをなぞっていく。無駄な作りが一切ないので、あらゆる個所に手が届きやすい。「水」と「風」は流体として非常によく似ている。風とケンカしないVENGEは、洗車をするときの水ともケンカしない。

まじで洗車しやすくて感動すんぞ。

洗車が楽だということは購入してからはじめて気づいた。買わなければ気づけないVENGEの良いポイントをまた1つ知れたのである。「エアロロード」を追求していくことは、空気や水といった複雑な流れを決してさまたげることはない。

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まとめ:ディスクロード時代の幕が開く

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あの日、ローンチ会場でスペシャライズドに関わる人たちと言葉を交わした。しかし、決して記事をお願いされて書いたわけではない。このような前置きをしてから1つ言えることは、これからディスクロードを買うとするならばVENGEは間違いなく候補に挙がる1台だ。自分でお金を出して買ったからではなく、単純にVENGEは良いバイクだと思ったからだ。

ついに、バイクを乗り換える時が来たのだ。

最後にホンネも書いておく。VENGEに乗るまでは「ディスクロードなんてブームが過ぎた業界の戦略だ」と本気で思っていた。しかしディスクロードに乗っていくうちに、エアロダイナミクスの優位性や高い制動力、低重心化といったメリットのほうが大きいと痛感した。

もしもスペシャライズドがリムブレーキ版のVENGEをこれからリリースしても、私は絶対買わないだろう。ディスクブレーキモデルだけをリリースしたことは、挑戦的である一方で一歩先のロードバイクシーンを見すえていたのだ。

ディスクロードに対する誤ったとらえかたは、VENGEによって覆されたのだ。VENGEの登場によって想像していたよりも早く、ディスクロード時代の幕が開けようとしている。

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